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オリジナル小説・写真素材「お姫様倶楽部Petit」の更新記録&中の人の覚え書き
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 行軍篇 第九 2019年03月25日(月) 孫子
孫子曰、凡處軍相敵、絶山依谷、視生處高、戰隆無登、此處山之軍也、絶水必遠水、客絶水而來、勿迎之於水内、令半濟而撃之利、欲戰者、無附於水而迎客、視生處高、無迎水流、此處水上之軍也、絶斥澤、惟亟去無留、若交軍於斥澤之中、必依水草、而背衆樹、此處斥澤之軍也、平陸處易、而右背高、前死後生、此處平陸之軍也、凡此四軍之利、黄帝之所以勝四帝也、

孫子曰く、
およそ軍をき敵をるに、山を越ゆれば谷に依り、生を視て高きにり、たかきに戦うに登ること無かれ。これ山に処るの軍なり。
水を絶れば必ず水に遠ざかり、客、水をわたりて来たらば、これを水の内に迎うるく、半ばわたらしめてこれを撃つは利あり。
戦わんと欲する者は、水に附きて客を迎うること無かれ。生を視て高きに処り、水流を迎うること無かれ。これ水上に処るの軍なり。
斥沢せきたくゆれば、ただすみやかかに去って留まること無かれ。
し軍を斥沢せきたくの中に交うれば、必ず水草に依りて、衆樹を背にせよ。これ斥沢に処るの軍なり。
平陸へいりくには易きにりて、高きを右背ゆうはいにし、死を前にして生を後にせよ。これ平陸に処るの軍なり。
凡そこの四軍の利は、黄帝の四帝に勝ちし所以ゆえんなり。


凡軍好高而惡下、貴陽而賤陰、養生而處實、軍無百疾、是謂必勝、丘陵隄防、必處其陽而右背之、此兵之利、地之助也、上雨水沫至、欲渉者、待其定也、

凡そ軍は高きを好みてひくきをにくみ、陽を貴びて陰を賎しむ。生を養いて実に処り、軍に百疾なし。これを必勝と謂う。
丘陵隄防ていぼうには必ずその陽に処りてこれを右背にす。これ兵の利、地の助けなり。
上に雨ふりてすいまつ至らば、渉らんと欲する者は、その定まるを待て。


凡地有絶澗、天井、天牢、天羅、天陷、天隙、必亟去之、勿近也、吾遠之敵近之、吾迎之敵背之、軍行有險阻、潢井、葭葦、山林、翳薈者、必謹覆索之、此伏姦之所處也、

凡そ地に絶澗ぜっかん天井てんせい天牢てんろう天羅てんら天陥てんかん天隙てんげきあらば、必ずすみやかにこれを去りて、近づくことなかれ。
吾はこれに遠ざかり、敵はこれに近づかせ、吾はこれを迎え、敵はこれにうしろにせしめよ。
軍行に険阻けんそ溝井こうせい葭葦かい、山林、翳薈えいわいあらば、必ずつつしんでこれを覆索ふくさくせよ。
これ伏姦ふくかんの処る所なり。


敵近而靜者、恃其險也、遠而挑戰者、欲人之進也、其所居易者、利也、衆樹動者、來也、衆草多障者、疑也、鳥起者、伏也、獸駭者、覆也、塵高而鋭者、車來也、卑而廣者、徒來也、散而條達者、樵採也、少而往來者、營軍也、

敵近くして静かなるは、その険をたのめばなり。
遠くして戦いを挑むは、人の進むをほっするなり。
その居る所のなるは、利なればなり。
衆樹しゅうじゅの動くは、来たるなり。
衆草しゅうそうしょう多きは、疑なり。
鳥の起つは、伏なり。
獣のおどろくは、覆なり。
ちり高くして鋭きは、車の来たるなり。
ひくくして広きは、かちの来たるなり。
散じて条達じょうたつするは、樵採しょうさいするなり。
少なくして往来するは、軍を営むなり。


辭卑而益備者、進也、辭疆而進驅者、退也、輕車先出居其側者、陳也、無約而請和者、謀也、奔走而陳兵車者、期也、半進半退者、誘也、
ことばひくくして備えを益すは、進むなり。
ことばつよくくして進駆しんくするは、退くなり。
軽車まず出でてそのかたわらに居るは、ちんするなり。
やく無くして和を請うは、謀るなり。
奔走して兵車をつらぬるは、期するなり。
半進半退するは、誘うなり。


杖而立者、飢也、汲而先飮者、渇也、見利而不進者、勞也、鳥集者、虚也、夜呼者、恐也、軍擾者、將不重也、旌旗動者、亂也、吏怒者、倦也、粟馬肉食、軍無糧也、懸缻不返其舍者、窮寇也、諄諄翕翕、徐與人言者、失衆也、數賞者、窘也、數罰者、困也、先暴而後畏其衆者、不精之至也、來委謝者、欲休息也、兵怒而相迎、久而不合、又不相去、必謹察之、

杖つきて立つは、飢うるなり。
汲みて先ず飲むは、渇するなり。
利を見て進まざるは、つかるるなり。
鳥の集まるは、虚しきなり。
夜呼ぶは、恐るるなり。
軍のみだるるは、将の重からざるなり。
旌旗せいきの動くは、乱るるなり。
吏の怒るは、みたるなり。
馬をぞくころ)して肉食するは、軍に糧無きなり。
を懸けてその舎に返らざるは、窮寇きゅうこうなり。
諄諄翕翕じゅんじゅんきゅうきゅうとして、おもむろに人と言うは、衆を失うなり。
しばしば賞するはくるしむなり。
しばしば罰するはくるしむなり。
先に暴にして後にその衆をおそるるは、不精の至りなり。
来たりて委謝いしゃするは、休息を欲するなり。
兵怒りて相迎え、久しくして合せず、また相去らざるは、必ず謹みてこれを察せよ。


兵非益多也、惟無武進、足以併力料敵、取人而已、夫惟無慮而易敵者、必擒於人、卒未親附而罰之、則不服、不服則難用也、卒已親附而罰不行、則不可用也、故令之以文、齊之以武、是謂必取、令素行以教其民、則民服、令不素行以教其民、則民不服、令素行者、與衆相得也、

兵は多きを益とするにあらざるなり。
ただ武進することなく、もって力を併せて敵をはかるに足らば、人を取らんのみ。
それただおもんぱかりなくして敵をあなどるる者は、必ず人にとりこにせらる。
卒、いまだ親附しんぷせざるにしかもこれを罰すれば、すなわち服せず。
服せざればすなわち用い難きなり。卒すでに親附せるにしかも罰行なわれざれば、すなわち用うべからざるなり。
令にこれに令するに文をもってし、これをととのううるに武をもってす。これを必取ひっしゅと謂う。
令、もとより行なわれて、もってその民を教うれば、すなわたみふくす。
令、素より行なわれずして、もってその民を教うれば、すなわち民服せず。
令、素より行なわるる者は、衆とあいるなり。

 九變篇 第八 2019年03月25日(月) 孫子
孫子曰、凡用兵之法、將受命於君、合軍聚衆、圮地無舍、衢地交合、絶地無留、圍地則謀、死地則戰、塗有所不由、軍有所不撃、城有所不攻、地有所不爭、君命有所不受、

孫子曰く、
凡そ用兵の法は、将、命を君より受け、軍を合わせ衆を聚むるに、
圮地には舎ること無く、
地には交を合わせ、
絶地には留まること無く、
囲地なれば則ち謀り、
死地なれば則ち戦う。
塗に由らざる所有り。
軍に撃たざる所有り。
城に攻めざる所有り。
地に争わざる所有り。
君命に受けざる所有り。


故將通於九變之利者、知用兵矣、將不通於九變之利者、雖知地形、不能得地之利矣、治兵不知九變之術、雖知五利、不能得人之用矣、


故に、将、九変の利に通ずる者は、兵を用うるを知る。
将、九変の利に通ぜざる者は、地形を知ると雖も、地の利を得ること能わず。
兵を治めて九変の術を知らざれば、五利を知ると雖も、人の用を得ること能わず。


是故智者之慮、必雜於利害、雜於利、而務可信也、雜於害、而患可解也、是故屈諸侯者以害、役諸侯者以業、趨諸侯者以利、

是の故に、智者の慮は、必ず利害を雑う。
利に雑うれば、而ち務は信なる可し。
害に雑うれば、而ち患いは解く可し。
是の故に、諸侯を屈する者は害を以てし、諸侯を役する者は業を以てし、諸侯を趨らす者は利を以てなす。


故用兵之法、無恃其不來、恃吾有以待也、無恃其不攻、恃吾有所不可攻也、

故に用兵の法は、その来たらざるを恃むこと無く吾が以て待つこと有るを恃むなり。
其の攻めざるを恃むこと無く、吾が攻む可からざる所有るを恃むなり。


故將有五危、必死可殺也、必生可虜也、忿速可侮也、廉潔可辱也、愛民可煩也、凡此五者、將之過也、用兵之災也、覆軍殺將、必以五危、不可不察也、

故に、将に五危あり。
必死は殺さる可き也。
必生は虜にさる可き也、
忿ふんそくは侮らる可き也。
れんけつは辱めらる可き也。
愛民は煩わさる可き也。
凡そ此の五者は、将の過ちにして、用兵の災いなり。軍を覆し将を殺すは、必ず五危を以てす。
察せざる可からざるなり。

 軍爭篇 第七 2019年03月25日(月) 孫子
孫子曰、凡用兵之法、將受命於君、合軍聚衆、交和而舍、莫難於軍爭、軍爭之難者、以迂爲直、以患爲利、故迂其途、而誘之以利、後人發、先人至、此知迂直之計者也、

孫子曰く、およそ兵を用るの法は、将、命を君より受け、軍を合し衆を聚め、和を交えて舎まるに、軍争より難きはなし。
軍争の難きは、迂をもって直となし、患をもって利となす。
ゆえにその途を迂にして、これを誘うに利をもってし、人に後れて発し、人に先んじて至る。
これ迂直の計を知る者ものなり。


故軍爭爲利、軍爭爲危、舉軍而爭利、則不及、委軍而爭利、則輜重捐、是故卷甲而趨、日夜不處、倍道兼行、百里而爭利、則擒三將軍、勁者先、疲者後、其法十一而至、五十里而爭利、則蹶上將軍、其法半至、三十里而爭利、則三分之二至、是故軍無輜重則亡、無糧食則亡、無委積則亡、

ゆえに軍争は利たり、軍争は危きたり。
軍を挙げて利を争えばすなわち及ばず、軍を委てて利を争えばすなわち輜重捐てらる。
このゆえに甲を巻きて趨り、曰夜処らず、道を倍して兼行し、百里にして利を争うときは、すなわち三将軍を擒にせらる。
勁き者は先だち、疲るる者は後れ、その法、十にして一至る。
五十里にして利を争うときは、すなわち上将軍を蹶す。その法、半ば至る。
三十里にして利を争うときは、すなわち三分の二至る。
このゆえに軍に輜重なければすなわち亡ほろび、糧食なければすなわち亡び、委積なければすなわち亡ぶ。


故不知諸侯之謀者、不能豫交、不知山林險阻沮澤之形者、不能行軍、不用郷導者、不能得地利、

ゆえに諸候の謀を知らざる者は、予め交わることあたわず。
山林・険阻・沮沢の形を知らざる者は、軍を行ることあたわず。
郷導を用いざる者は、地の利を得ることあたわず。


故兵以詐立、以利動、以分合爲變者也、故其疾如風、其徐如林、侵掠如火、不動如山、難知如陰、動如雷震、掠郷分衆、廓地分利、懸權而動、先知迂直之計者勝、此軍爭之法也、

ゆえに兵は詐をもって立ち、利をもって動き、分合をもって変をなすものなり。
ゆえに
その疾きこと風のごとく、
その徐かなること林のごとく、
侵掠すること火のごとく、
動かざること山のごとく、
知り難きこと陰のごとく、
動くこと雷震のごとし。
郷を掠むるには衆を分かち、地を廓るには利を分かち、権を懸かけて動く。
迂直の計を先知する者は勝つ。
これ軍争の法なり。


軍政曰、言不相聞、故爲金鼓、視不相見、故爲旌旗、夫金鼓旌旗者、所以一人之耳目也、人既專一、則勇者不得獨進、怯者不得獨退、此用衆之法也、故夜戰多火鼓、晝戰多旌旗、所以變人之耳目也、故三軍可奪氣、將軍可奪心、是故朝氣鋭、晝氣惰、暮氣歸、故善用兵者、避其鋭氣、撃其惰歸、此治氣者也、以治待亂、以靜待譁、此治心者也、以近待遠、以佚待勞、以飽待饑、此治力者也、無邀正正之旗、勿撃堂堂之陳、此治變者也、

軍政に曰く、
「言うともあい聞えず、ゆえに金鼓を為つくる。視すともあい見えず、ゆえに旌旗を為つくる」と。
それ金鼓・旌旗は人の耳目を一にするゆえんなり。
人すでに専なれば、すなわち勇者もひとり進むことを得ず、怯者もひとり退くことを得ず。
これ衆を用うるの法なり。ゆえに夜戦に火鼓多く、昼戦に旌旗多きは、人の耳目を変うるゆえんなり。
ゆえに三軍には気を奪うべく、将軍には心を奪うべし。
このゆえに朝の気は鋭、昼の気は惰、暮くれの気は帰。
ゆえに善よく兵を用うる者は、その鋭気きを避けてその惰帰を撃つ。これ気を治むる者なり。
治をもって乱を待ち、静をもって譁を待つ。これ心を治おさむる者なり。
近きをもって遠きを待ち、佚をもって労を待ち、飽をもって饑きを待つ。これ力を治むる者なり。
正々の旗を邀うることなく、堂々の陳を撃つことなし。これ変を治むるものなり。


故用兵之法、高陵勿向、背丘勿逆、佯北勿從、鋭卒勿攻、餌兵勿食、歸師勿遏、圍師必闕、窮寇勿迫、此用兵之法也、

ゆえに兵を用うるの法は、
高陵には向むかうことなかれ、
丘を背にするには逆うことなかれ、
佯り北には従うことなかれ、
鋭卒には攻むることなかれ、
餌兵には食うことなかれ、
帰師には遏むることなかれ、
囲師には必ず闕き、
窮寇には追ることなかれ。
これ兵を用うるの法なり。

 虚実篇 第六 2019年03月25日(月) 孫子
孫子曰、凡先處戰地、而待敵者佚、後處戰地、而趨戰者勞、故善戰者、致人而不致於人、能使敵人自至者、利之也、能使敵人不得至者、害之也、故敵佚能勞之、飽能饑之、安能動之、
孫子曰く、
およそ先に戦地に処りて敵を待つ者は佚し、後れて戦地に処りて戦いに趨く者は労す。ゆえに善く戦う者は、人を致して人に致されず。
よく敵人をしてみずから至しむるは、これを利すればなり。
よく敵人をして至るを得ざらしむるは、これを害すればなり。
ゆえに敵佚すればよくこれを労し、飽けばよくこれを饑えしめ、安ければよくこれを動かす。

出其所不趨、趨其所不意、行千里而不勞者、行於無人之地也、攻而必取者、攻其所不守也、守而必固者、守其所不攻也、故善攻者、敵不知其所守、善守者、敵不知其所攻、微乎微乎、至於無形、神乎神乎、至於無聲、故能爲敵之司命、
その必ず趨く所に出で、その意わざる所に趨き、千里を行いて労れざるは、無人の地を行けばなり。
攻めて必ず取るは、その守らざる所を攻むればなり。
守りて必ず固きは、その攻めざる所を守ればなり。
ゆえに善く攻むる者には、敵、その守る所を知らず。
善く守る者には、敵、その攻むる所を知らず。
微なるかな微なるかな、無形に至る。
神なるかな神なるかな、無声に至る。
ゆえによく敵の司命をなす。

進而不可禦者、衝其虚也、退而不可追者、速而不可及也、故我欲戰、敵雖高壘深溝、不得不與我戰者、攻其所必救也、我不欲戰、畫地而守之、敵不得與我戰者、乖其所之也、
進みて禦ぐべからざるはその虚を衝けばなり。
退きて追うべからざるは、速かにして及ぶべからざればなり。
ゆえにわれ戦わんと欲すれば、敵、塁を高くし溝を深くすといえども、われと戦わざるを得ざるは、その必ず救う所を攻むればなり。
われ戦いを欲せざれば、地を画してこれを守るも、敵、われと戦うを得ざるは、その之く所に乖けばなり。


故形人而我無形、則我專而敵分、我專爲一、敵分爲十、是以十攻其一也、則我衆而敵寡、能以衆撃寡者、則吾之所與戰者約矣、吾所與戰之地不可知、不可知、則敵所備者多、敵所備者多、則吾所與戰者寡矣、故備前則後寡、備後則前寡、備左則右寡、備右則左寡、無所不備、則無所不寡、寡者備人者也、衆者使人備己者也、

ゆえに人を形せしめてわれに形なければ、すなわちわれは専まりて敵は分かる。
われは専まりて一となり、敵は分かれて十とならば、これ十をもってその一を攻むるなり。
すなわちわれは衆くして敵は寡し。
よく衆をもって寡を撃たば、すなわちわれのともに戦うところの者は約なり。
われのともに戦うところの地は知るべからず。
知るべからざれば、すなわち敵の備うるところの者多し。
敵の備うるところの者多ければ、すなわちわれのともに戦うところの者は寡し。
ゆえに前に備うればすなわち後寡く、後に備うればすなわち前寡く、左に備うればすなわち右寡く、右に備うればすなわち左寡く、備えざるところなければすなわち寡からざるところなし。
寡きは人に備うるものなり。衆き者は人をしておのれに備えしむるものなり。


故知戰之地、知戰之日、則可千里而會戰、不知戰地、不知戰日、則左不能救右、右不能救左、前不能救後、後不能救前、而況遠者數十里、近者數里乎、以吾度之、越人之兵雖多、亦奚益於勝敗哉、故曰、勝可爲也、敵雖衆、可使無闘、

ゆえに戦いの地を知り、戦いの日を知れば、すなわち千里にして会戦すべし。
戦いの地を知らず、戦いの日を知らざれば、すなわち左は右を救うことあたわず、右は左を救うことあたわず、前は後を救うことあたわず、後は前を救うことあたわず。
しかるをいわんや遠きは数十里、近きは数里なるをや。
われをもってこれを度るに、越人の兵は多しといえども、またなんぞ勝敗に益せんや。
ゆえに曰く、勝はなすべきなり。敵は衆しといえども、闘うことなからしむべし。


故策之而知得失之計、作之而知動靜之理、形之而知死生之地、角之而知有餘不足之處、
ゆえにこれを策りて得失の計を知り、これを作して動静の理を知り、これを形して死生の地を知り、これに角れて有余不足のところを知る。


故形兵之極、至於無形、無形、則深間不能窺、智者不能謀、因形而錯勝於衆、衆不能知、人皆知我所以勝之形、而莫知吾所以制勝之形、故其戰勝不復、而應形於無窮、
ゆえに兵を形すの極は無形に至る。
無形なれば、すなわち深間も窺うことあたわず、智者も謀ることあたわず。
形に因りて勝を錯くも、衆は知ることあたわず。
人みなわが勝つゆえんの形を知るも、わが勝を制するゆえんの形を知ることなし。
ゆえにその戦い勝つや復さずして、形に無窮に応ず。


夫兵形象水、水之形、避高而趨下、兵之形、避實而撃虚、水因地而制流、兵因敵而制勝、故兵無常勢、水無常形、能因敵變化而取勝者、謂之神、故五行無常勝、四時無常位、日有短長、月有死生、
それ兵の形は水に象る。水の形は高きを避けて下きに趨く。
兵の形は実を避けて虚を撃つ。
水は地に因りて流れを制し、兵は敵に因りて勝ちを制す。
ゆえに兵に常勢なく、水に常形なし。
よく敵に因りて変化して勝を取る者、これを神と謂う。
ゆえに五行に常勝なく、四時に常位なく、日に短長あり、月に死生あり。

 兵勢篇 第五 2019年03月25日(月) 孫子
孫子曰、凡治衆如治寡、分數是也、闘衆如闘寡、形名是也、三軍之衆、可使必受敵而無敗者、奇正是也、兵之所加、如以碬投卵者、虚實是也、
孫子曰く、およそ衆を治むること寡を治むるがごとくなるは、分数これなり。
衆を闘わしむること寡を闘わしむるがごとくなるは、形名これなり。
三軍の衆、必ず敵を受けて敗なからしむるべきは、奇正これなり。
兵の加うるところ、碬をもって卵に投ずるがごとくなるは、虚実これなり。 

凡戰者、以正合、以奇勝、故善出奇者、無窮如天地、不竭如江河、終而復始、日月是也、死而復生、四時是也、聲不過五、五聲之變、不可勝聽也、色不過五、五色之變、不可勝觀也、味不過五、五味之變、不可勝嘗也、戰勢、不過奇正、奇正之變、不可勝窮也、奇正相生、如循環之無端、孰能窮之、
およそ戦いは、正を以って合し、奇を以って勝つ。
ゆえに善く奇を出だす者は、窮まりなきこと天地のごとく、竭きざること江河のごとし。
終わりてまた始まるは、日月これなり。
死してまた生ずるは、四時これなり。
声は五に過ぎざるも、五声の変は勝げて聴くべからざるなり。
色は五に過ぎざるも、五色の変は勝げて観るべからざるなり。
味は五に過ぎざるも、五味の変は勝げて嘗むべからざるなり。
戦勢は奇正に過ぎざるも、奇正の変は勝げて窮むべからざるなり。
奇正のあい生ずることは、循環の端なきがごとし。
たれかよくこれを窮めんや。

激水之疾、至於漂石者、勢也。鷙鳥之疾、至於毀折者、節也。是故善戰者、其勢險、其節短、勢如彍弩、節如發機。紛紛紜紜、闘亂、而不可亂也。渾渾沌沌、形圓、而不可敗也。亂生於治、怯生於勇、弱生於彊。治亂、數也。勇怯、勢也。彊弱、形也。故善動敵者、形之、敵必從之。予之、敵必取之。以利動之、以卒待之。

激水の疾くして石を漂わすに至るは勢なり。
鷙鳥の疾くして毀折に至るは、節なり。
このゆえに善く戦う者は、その勢は険にしてその節は短なり。勢は弩を彍くがごとく、節は機を発するがごとし。
紛紛紜紜、闘乱して乱るべからず。渾渾沌沌、形を圓くして敗るべからざるなり。
乱は治に生じ、怯は勇に生じ、弱は彊に生ず。
治乱は数なり。勇怯は勢なり。強弱は形なり。
故に善く敵を動かす者は、これに形すれば、敵必ずこれに従う。
これを予すれば、敵必ずこれを取る。
利を以てこれを動かし、卒をもってこれを待つ。

故善戰者、求之於勢、不責於人、故能擇人而任勢、任勢者、其戰人也、如轉木石、木石之性、安則靜、危則動、方則止、圓則行、故善戰人之勢、如轉圓石於千仞之山者、勢也、
故に善く戦う者は、これを勢に求めて、人に責せず、故によく人を擇して勢に任ぜしむ。
勢に任ずる者は、その人を戦わしむるや、木石を転ずるが如し。
木石の性は、安なればすなわち静し、危なればすなわち動き、方なればすなわち止まり、圓なればすなわち行く。
故に善く人を戦わしむるの勢、圓石を千仞の山に転ずるが如くなる者は、勢なり。

 軍形篇 第四 2019年03月25日(月) 孫子
孫子曰、昔之善戰者、先爲不可勝、以待敵之可勝、不可勝在己、可勝在敵、故善戰者、能爲不可勝、不能使敵之可勝、故曰、勝可知、而不可爲、不可勝者、守也、可勝者、攻也、守則不足、攻則有餘、善守者、藏於九地之下、善攻者、動於九天之上、故能自保而全勝也、

孫子曰く、
昔の善く戦う者は、先ず勝つ可からざるを為して、以て敵の勝つ可きを待つ。
勝つ可からざるは己に在り、勝つ可きは敵に在り。
故に善く戦う者は、能く勝つ可からざるを為すも、敵をして勝つ可からしむること能わず。
故に曰く、勝は知る可くして、為す可からずと。
勝つ可からざる者は守なり。
勝つ可き者は攻なり。守らば則ち余あり。攻むれば則ち足らず。
昔の善く守る者は九地の下に蔵れ、善く攻むる者は九天の上に動く。
故に能く自らを保ちて勝を全うするなり。


見勝不過衆人之所知、非善之善者也、戰勝而天下曰善、非善之善者也、故舉秋毫不爲多力、見日月不爲明目、聞雷霆不爲聰耳、古之所謂善戰者、勝於易勝者也、故善戰者之勝也、無智名、無勇功、故其戰勝不忒、不忒者、其所措必勝、勝已敗者也、故善戰者、立於不敗之地、而不失敵之敗也、是故勝兵先勝而後求戰、敗兵先戰而後求勝、

勝を見ること衆人の知る所に過ぎざるは、善の善なるものに非ざるなり。
戦い勝ちて天下善なりと曰うは、善の善なるものに非ざるなり。
故に、秋毫を挙ぐるは多力と為さず。
日月を見るは明目と為さず。
雷霆を聞くは聡耳と為さず。
古の所謂善く戦う者は、勝ち易きに勝つ者なり。
故に善く戦う者の勝つや、智名無く、勇功無し。
故に其の戦勝忒わず。
忒わざる者は、其の勝を措く所、已に敗るる者に勝てばなり。
故に、善く戦う者は、不敗の地に立ちて、敵の敗を失わざるなり。
是の故に、勝兵は先ず勝ちて而る後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いて而る後に勝を求む。


善用兵者、修道而保法、故能爲勝敗之政、兵法、一曰度、二曰量、三曰數、四曰稱、五曰勝、地生度、度生量、量生數、數生稱、稱生勝、故勝兵若以鎰稱銖、敗兵若以銖稱鎰、勝者之戰民也、若決積水於千仞之谿者、形也、

善く兵を用うる者は、道を修めて法を保つ。
故に能く勝敗の政を為す。
法は、一に曰く度、二に曰く量、三に曰く数、四に曰く称、五に曰く勝。
地は度を生じ、度は量を生じ、量は数を生じ、数は称を生じ、称は勝を生ず。
故に、勝兵は鎰を以て銖を称るが如く、敗兵は銖を以て鎰を称るが如し。
勝者の民を戦わしむるや、積水を千仭の谷に決するが若き者は、形なり。

 謀攻篇 第三 2019年03月25日(月) 孫子
孫子曰、凡用兵之法、全國爲上、破國次之、全軍爲上、破軍次之、全旅爲上、破旅次之、全卒爲上、破卒次之、全伍爲上、破伍次之、是故百戰百勝、非善之善者也、不戰而屈人之兵、善之善者也、
孫子曰く、
およそ兵を用るの法は、国を全うするを上となし、国を破るはこれに次ぐ。
軍を全うするを上となし、軍を破るはこれに次ぐ。
旅を全うするを上となし、旅を破るはこれに次ぐ。
卒を全うするを上となし、卒を破るはこれに次ぐ。
伍を全うするを上となし、伍を破るはこれに次ぐ。
このゆえに、百戦百勝は善の善なるものにあらざるなり。
戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり。


故上兵伐謀、其次伐交、其次伐兵、其下攻城、攻城之法、爲不得已、修櫓轒轀、具器械、三月而後成、距闉又三月而後已、將不勝其忿、而蟻附之、殺士三分之一、而城不拔者、此攻之災也、故善用兵者、屈人之兵、而非戰也、拔人之城、而非攻也、毀人之國、而非久也、必以全爭於天下、故兵不頓、而利可全、此謀攻之法也、
ゆえに上兵は謀を伐つ。その次は交を伐つ。その次は兵を伐つ。
その下は城を攻せむ。
城を攻るの法はやむを得ざるがためなり。
櫓・轒轀を修め、器械を具うること、三月してのちに成る。
距闉また三月にしてのちに已る。将その忿りに勝たえずしてこれに蟻附すれば、士を殺すこと三分の一にして、城の抜けざるは、これ攻の災いなり。
ゆえに善く兵を用うる者は、人の兵を屈するも、戦うにあらざるなり。
人の城を抜くも、攻るにあらざるなり。
人の国を毀るも、久しきにあらざるなり。必ず全きをもって天下に争う。
ゆえに兵頓れずして利全くすべし。
これ謀攻の法なり。

故用兵之法、十則圍之、五則攻之、倍則分之、敵則能戰之、少則能逃之、不若則能避之、故小敵之堅、大敵之擒也、
ゆえに兵を用るの法は、十なればすなわちこれを囲かこみ、五なればすなわちこれを攻め、倍すればすなわちこれを分かち、敵すれば、すなわちよくこれと戦い、少なければすなわちよくこれを逃がれ、若かざればすなわちよくこれを避さく。ゆえに小敵の堅は大敵の擒なり。

夫將者國之輔也、輔周則國必強、輔隙則國必弱、故君之所以患於軍者三、不知軍之不可以進、而謂之進、不知軍之不可以退、而謂之退、是謂縻軍、不知三軍之事、而同三軍之政者、則軍士惑矣、不知三軍之權、而同三軍之任、則軍士疑矣、三軍既惑且疑、則諸侯之難至矣、是謂亂軍引勝、
それ将は国の輔なり。輔周なればすなわち国必ず強し。
輔隙あればすなわち国必ず弱し。
ゆえに君の軍に患うるゆえんのものには三あり。軍の進むべからざるを知らずして、これに進めと謂い、軍の退くべからざるを知らずして、これに退けと謂う。これを軍を縻すと謂う。
三軍の事を知らずして三軍の政を同じくすれば、すなわち軍士惑う。
三軍の権を知らずして三軍の任を同じくすれば、すなわち軍士疑う。三軍すでに惑いかつ疑うときは、すなわち諸侯の難至る。
これを軍を乱して勝を引くと謂う。


故知勝有五、知可以戰、與不可以戰者勝、識衆寡之用者勝、上下同欲者勝、以虞待不虞者勝、將能而君不御者勝、此五者知勝之道也、故曰、知彼知己者、百戰不殆、不知彼而知己、一勝一負、不知彼不知己、毎戰必殆、
ゆえに勝を知るに五あり。
もって戦うべきともって戦うべからざるとを知る者は勝つ。
衆寡の用を識しる者は勝つ。
上下の欲を同じくする者は勝つ。
虞をもって不虞を待つ者は勝つ。
将の能にして君の御せざる者は勝つ。
この五者は勝を知るの道なり。
故に曰わく、彼れを知りて己を知れば、百戦して殆うからず。
彼を知らずして己を知れば、一勝一負す。
彼を知らず己を知らざれば、戦うごとに必ず殆う。

 作戦篇 第二 2019年03月25日(月) 孫子
孫子曰、凡用兵之法、馳車千駟、革車千乘、帶甲十萬、千里饋糧、則内外之費、賓客之用、膠漆之材、車甲之奉、日費千金、然後十萬之師舉矣、
孫子曰わく、
凡そ兵を用うるの法は、馳車千駟、革車千乗、帯甲十万、千里にして糧を饋るときは、則ち内外の費、賓客の用、膠漆の材、車甲の奉、日に千金を費して、然る後に十万の師挙る。
 
其用戰也、勝久則鈍兵挫鋭、攻城則力屈、久暴師則國用不足、夫鈍兵挫鋭、屈力殫貨、則諸侯乘其弊而起、雖有智者、不能善其後矣、故兵聞拙速、未睹巧之久也、夫兵久而國利者、未之有也、故不盡知用兵之害者、則不能盡知用兵之利也、
其の戦いを用るや、勝つも久しければ、則ち兵を鈍らし鋭を挫く。
城を攻むればすなわち力屈き、久しく師を暴さばすなわち国用足たらず。
それ兵を鈍つからせ鋭を挫くじき、力を屈し貨を殫すときは、すなわち諸侯その弊に乗じて起こる。
智者ありといえども、そのあとを善することあたわず。
ゆえに兵は拙速なるを聞くも、いまだ巧の久しきを睹ざるなり。
それ兵久しくして国の利する者は、いまだこれあらざるなり。
ゆえにことごとく用兵の害を知らざる者は、すなわちことごとく用兵の利をも知ることあたわざるなり。

善用兵者、役不再籍、糧不三載、取用於國、因糧於敵、故軍食可足也、國之貧於師者遠輸、遠輸則百姓貧、近於師者貴賣、貴賣則百姓財竭、財竭則急於丘役、力屈財殫、中原内虚於家、百姓之費、十去其七、公家之費、破車罷馬、甲冑矢弩、戟楯蔽櫓、丘牛大車、十去其六、故智將務食於敵、食敵一鍾、當吾二十鍾、𦮼秆一石、當吾二十石、
善く兵を用うる者は、役は再びは籍せず、糧は三たびは載せず。
用を国に取り、糧を敵による。ゆえに軍食足るべきなり。
国の師に貧なるは、遠く輸せばなり。遠く輸さば百姓貧まずし。
師に近き者は貴売すればなり。貴売すればすなわち百姓は財竭く。
財竭ればすなわち丘役に急にして、力屈し財殫つき、中原のうち、家に虚しく、百姓の費、十にその七を去る。
公家の費、破車罷馬、甲冑矢弩、戟楯蔽櫓、丘牛大車、十にその六を去る。
ゆえに智将は務めて敵に食はむ。敵の一鍾を食むは、わが二十鍾に当たり、𦮼秆一石は、わが二十石に当たる。

故殺敵者怒也、取敵之利者貨也、故車戰得車十乘已上、賞其先得者、而更其旌旗、車雜而乘之、卒善而養之、是謂勝敵而益強、
故に敵を殺す者は怒なり。敵の貨を取る者は利なり。
故に車戦に車十乗以上を得れば、其の先ず得たる者を賞し、而して其の旌旗を更め、車は雑えてこれに乗らしめ、卒は善くしてこれを養わしむ。
是れを敵に勝ちて強を増すと謂う。

故兵貴勝、不貴久、故知兵之將、生民之司命、國家安危之主也、
故に兵は勝つことを尊ぶ。久しきを尊ばず。
故に兵を知るの将は、民の司命、国家安危の主なり。

 孫子兵法:始計篇 第一 2019年03月25日(月) 孫子
孫子曰、兵者國之大事、死生之地、存亡之道、不可不察也、故經之以五事、校之以計、而索其情、
孫子曰いわく、
兵とは国の大事なり。
死生の地、存亡の道、察せざるべからざるなり。
ゆえにこれを経に五事をもってし、これを校ぶるに計をもってして、その情を索む。

一曰道、二曰天、三曰地、四曰將、五曰法、
一に曰わく道、ニに曰わく天、三に曰わく地、四に曰わく将、五に曰わく法なり。

道者令民與上同意也、故可以與之死、可以與之生、而不畏危、天者陰陽寒暑時制也、地者遠近險易廣狹死生也、將者智信仁勇嚴也、法者曲制官道主用也、凡此五者、將莫不聞、知之者勝、不知者不勝、故校之以計、而索其情、曰主孰有道、將孰有能、天地孰得、法令孰行、兵衆孰強、士卒孰練、賞罰孰明、吾以此知勝負矣、

道とは、民をして上と意を同じくし、これと死すべくこれと生くべくして、危きを畏れざるなり。
天とは、陰陽・寒暑・時制なり。
地とは遠近・険易・広狭・死生なり。
将とは、智・信・仁・勇・厳なり。
法とは、曲制・官道・主用なり。
およそこの五者は、将は聞かざることなきも、これを知る者は勝ち、知らざる者は勝たず。
ゆえにこれを校るに計をもってして、その情を索む。
曰いわく、主いずれか有道なる、将いずれか有能なる、天地いずれか得たる、法令いずれか行なわる、兵衆いずれか強き、士卒いずれか練ならいたる、賞罰いずれか明らかなると。
われこれをもって勝負を知る。


將聽吾計、用之必勝、留之、將不聽吾計、用之必敗、去之、計利以聽、乃爲之勢、以佐其外、勢者因利而制權也、
将わが計を聴くときは、これを用うれば必ず勝つ、これを留めん。
将わが計を聴かざるときは、これを用うれば必ず敗ぶる、これを去らん。
計、利としてもって聴かるれば、すなわちこれが勢をなして、もってその外を佐く。
勢とは利によりて権を制するなり。


兵者詭道也、故能而示之不能、用而示之不用、近而示之遠、遠而示之近、利而誘之、亂而取之、實而備之、強而避之、怒而撓之、卑而驕之、佚而勞之、親而離之、攻其無備、出其不意、此兵家之勢、不可先傳也、
兵とは詭道なり。
ゆえに能なるもこれに不能を示し、用なるもこれに不用を示し、近くともこれに遠きを示し、遠くともこれに近きを示し、利にしてこれを誘い、乱にしてこれを取り、実にしてこれに備え、強にしてこれを避け、怒にしてこれを撓だし、卑にしてこれを驕らせ、佚にしてこれを労し、親にしてこれを離す。
その無備を攻め、その不意に出いず。
これ兵家の勢、先には伝うべからざるなり。

夫未戰而廟筭勝者、得筭多也。未戰而廟筭不勝者、得筭少也。多筭勝、少筭不勝、而況於無筭乎。吾以此觀之、勝負見矣。
それいまだ戦わずして廟算して勝つ者は、算を得ること多ければなり。
いまだ戦わずして廟算して勝たざる者は、算を得ること少なければなり。
算多きは勝ち、算少なきは勝たず。
しかるをいわんや算なきにおいてをや。
われこれをもってこれを観みるに、勝負見わる。

 「チャラ孫子 九変篇 第八」 2019年03月24日(日) 自作小説の話題歴史関連の話題孫子
 俺の考え、言いますね。
 センソーするって時の手順、も一回ッカイ確認しましょか。
 まず王様から現場リーダーの将軍さんに命令が下されーので、グループリーダーの武将を招集しーので、それから兵隊メンバーさんをシューゴーさせーのしますよね。
 ここまではさっきも言いましたっけ? じゃOKです。続き行きますよ。

 で、その後に、じゃあ出発するぞーってダンドリになりますよね?
 そういうときに注意しないといけないことの話しますよー。
 重要なのは地形の把握。ほんとこれ大切ですよー。
 ポイントを五個ぐらい挙げますね。

 一個目。
 足場が悪くて進むのが大変なところ、これ業界用語で「」ってんですけど、そういうところで、「ここを我々のキャンプ地にする!!」ってやっちゃダメです。
 大体、石ころゴロゴロしてるようなところで寝ちゃったら、休んだことにならないっしょ? かえって疲れちゃうゃう。

 二個目。
 三つぐらいの国とボーダーラインで接してるところ、ここ「」って言いますけども、そういうところではむやみにケンおっパジめるような無茶はやらないで、皆さんと仲良くしましょう。
 ケンした相手が、今は仲良しのお隣さんの《《友達の友達》》だったりしたら、えらいコトですよ。回り回って絶交とか、むしろ敵さんに味方しちゃうとか、そういうことになりかねませんからね。人脈大切。

 三個目。
 故郷ホームグランドから遠く離れたところ、これ「ぜっ」って呼んでます。こういうところに長いことうろうろしちゃヤバいっすよー。
 だって、近くに味方がいないんですよ。ひょっこり敵さんと出会うかも知れないし。さっさと通り抜けちゃいましょうね。

 四個目。
 敵さんチームの勢力域なんじゃないかなーってところは「」っていうんですけど、コレはもっとヤバい。
 逃げましょう。どうにか脳味噌を絞って逃げる方法を考えて、キューテキスミやかにトンズラこきましょう。

 五個目。
 敵さんチームの勢力圏どころじゃなくて、もう完璧に敵さんチームに囲まれている場所、つまり「」ってヤツに踏み込んじゃったとしたら、もう何か考えてる場合じゃないっすよ。
 これマジでヤバい。ヘタすると死ぬ。ヘタしなくても死ぬ。だから戦いましょう。口を動かす前に体を動かして、退路を切り開きましょう。


 それから、センソーを始めた後にホントにマジでガチで気をつけないといけないことも五個ぐらい挙げときましょう。

 一番目、世の中には通ったらヤバい道っていうのもある。
 地図マップで見たら通れそうだと思ったんで行ってみたら、もうホッソ過ぎて、路肩断崖みたいになってて、全然車幅が足らなくて進めなかった、とか、あるでしょ?
 そういう道は通っちゃダメ。別ルートを探しましょう。

 二番目、敵だからって、ヤタラと攻撃しちゃいけない敵っていうのもいる。
 いかにも弱そうで、もうラクショーな敵だと思って攻めかかったら、実はそいつらは囮部隊フェイクで、横っちょにもンの凄い数の本隊が隠れてた、なんてことだって、考えられるでしょ?
 だからそういうのは無視シカト決め込むのが一番いい。

 三番目、お城の中には絶対に攻め込んじゃいけない城っていうのがある。
 備えの薄い城だと思ってとりついたら、守城戦チートのぼっの連中が守ってたとか……あいつらが守ってる城ってホントにカッチカチに堅いんだもん……絶対無理。
 そもそも俺は基本「城攻めは非推奨」なんですよ。この辺オイオイ説明しますけど。

 四番目、土地には安易イージーに奪いに行っちゃいけない土地もある。
 がら空き空白地帯だとおもって抑えに行ったら、周囲は全部敵さんチームの息がかかってた、なんてことも大ありですからねぇ。
 周囲の状況をよく確認しましょうよ。


 そンで五番目、例え王様の命令でも、そのまま実行しちゃ駄目なこともある。
 
 戦場から遠く離れた本国では、どうしたってそういう細かい事情が判らないでしょ。判らない王様が判らないまんま出した命令だったりしたら、そりゃその場の状況に即さないことだってありまさぁね。
 仕方ないですよ、判ってないんだから。だからそういうポイントのずれた命令には従っちゃいけないんです。
 むしろソレが忠義ですよ。ヘタに命令聞いて全滅しちゃうより、ずっとイイんですから。

 これね、全部現場に行って状況を見てから適切に判断を出来ないとダメって意味です。


 そいでですね。
 現場リーダーが、さっき言ったみたいなマイナスの地形とかにぶつかった時に、そいつを自分達のプラスに変換出来ちゃうような、柔軟な思考力やわらかアタマを持っているなら、センソーのやり方をよくわかってるナイスな人材だってことになりますよね。
 こういう人を「九変の利に通じた者」って呼ぶとしましょう。
 小難しいっすか? じゃあ、リンオーヘンマンで。

 逆に「九変の利に通じてない者」……つまり、臨機応変出来ないマンだったらどうなるか、っておハナシですけどもね。

 例えば事前に地形のコトを調べて、知ってたとしても、その情報を自分達のチームが優位になるように利用出来ない。
 欠点を欠点だって知ってるだけじゃ、現場を仕切るリーダーとしてはちょっと足りないんですよ。利点を利点と知っているだけでもまだ足りない。

 目の前の欠点を利点に繋げられるリンオーヘンさがない人は、ホント管理職に向いてないですよ。


 つまりですね。
 マジで賢い人が「配慮する」って時は、大体良いことも悪いことも勘案するんですよね。
 プラスの中にあるマイナス点を憂慮しておけば、大体のことはスムーズに運びます。予め判ってたら対処のしようがあるワケですし。

 とんでもないデメリットの裏に隠れてるとんでもないメリットを見つけることが出来たなら、迷いなくコトを勧められます。

 結局、敵の王様に土下座ゴメンナサイさせるなら、相手に害があるってコトを判らせれば良いんです。戦って思い知らせるのも良いけど、戦う前に諦めて貰うのが一番落っすよね。

 そうじゃなくて、利用するなら、相手に利益を強調して《《勧める》》のがイイですね。
「ウチと仲良くすればwin-winな関係が築けますよ」
 なんて言っちゃったりして。……損は適当に隠して、ね。

「違う、そうじゃない。ドタバタ走り回せて、最終的に自滅させちゃいたい」
 ってことなら、追いかけたくてタマンナイような利益を目の前にぶら下げてあげちゃうんですよ。
 もーそっちにチューになって、他のことなんかこれっぽっちも考えられないようにして差し上げちゃう。
 そうすれば、こっちの国を攻めようなんてなことは思いもしなくなりますからね。


 だから、ですよ。
「どうせ敵なんか来ないよ」
 って感じのなーんも考えてないようなボーテキカンソクすがって、なーんもしないんじゃなくて、
「こうすれば、敵は攻めてきても大丈夫」
 っていう準備をしておくことが、上手なセンソーのやり方ってものなんですよ。
 ホントになーんも考えずに、
「攻撃されたりしないでしょ」
 って楽観するんじゃなくて、
「そりゃもう、《《えげつない》》くらいの準備をしてるし、そのことを充分アピールしてるンだから、相手さんも【ウチを攻撃したりしたらエグい反撃を喰らう】ってことは1000パー承知してるンだし、ソレを無視して攻撃してくる訳がない」
 って言い切れるくらい、自分達の態勢を整えておくのが大切なんですね。
 備えあれば《《うれしいな》》ってね。


 あ、そうだ。優秀な現場リーダーが陥りやすい「ヤバいメンタル」っていうのが五つぐらいあるんで、それもピックアップしておきますね。

 必死は殺さる可き也。必生は虜にさる可き也、忿ふんそくは侮らる可き也。れんけつは辱めらる可き也。愛民は煩わさる可き也。
 
 うん、コトワザっぽくてカッイイねー。

 つまりですね。

「必死」。
 向こう見ずな人、これヤバい。
 だって、死ぬ気で掛かって来られたら、相手は殺す気で反撃してくるからでしょ?
 当たり前ですよね。センソーですもん。
 そうなると、一番先頭の一番必死な人、この場合はリーダーさんが真っ先にられちゃう。
 兵隊さんメンバーを引っ張ってるリーダーが死んじゃったら、チームはバラけちゃいますからね。
 だからヤバいんですよ。

「必生」。
 身勝手に保身する人、これはマズい。
 自分が生き残ること第一に考える人は、ふんばりどころで逃げることが多いんですけど、そうすると大抵は敵さんに捕まっちゃうんですよね。リーダーが捕虜になっちゃうと、味方の士気はだだ下がりになっちゃうからマズい。あと、生き延びようとして敵さんにこっちの情報流しちゃう可能性もあったりして。
 これ尚更マズい。

忿ふんそく」。
 すぐ忿いかりまくる人、これはキツい。
 すぐ短気な人は敵にも味方にもあなどられちゃいます。特に味方に侮られちゃったら危ないですよー。尊敬も信頼もされない。
「あの人はすぐ怒るし、反論したらもっと怒るから、適当に返事してやり過ごそう」
 って思われて、どんな命令でも部下は真面目に聞かなくなっちゃう。頑張ろうとも思わない。そんな関係が敵にばれたらなお危ない。罠……例えば離間の計とか、仕掛けられちゃったりするんですけど、また気が短いもンだから、ホイホイ引っかかっちゃうんですよ。
 キッツいなぁ

れんけつ」。
 清く正しく欲のない人。これコワい。
 セイセキユーシューセーレンケッパクユートーセーは、馬鹿にされるのに慣れてないコトが多いでしょ? 失敗して恥をかくのも苦手だし、敵からも味方からも辱められるのなんか大っ嫌い。
 嫌いってコトは、辱めるような挑発にはあっさり乗せられちゃうってことです。
 カーっ頭に血が上って、何の策もなく飛び出して、取り囲まれて攻め立てられて、ジ・エンド。
 おお、コワい。

あいみん」。
 国中のみんなを愛しちゃってる人。これアヤうい。
 いや、民衆ファン兵隊メンバーを大切にするってのは良いことなんだけども。
 《《けど》》、ですよ。
 民のことを考え過ぎちゃって、そのことばっかり気を回してると、神経がヤられちゃうんですよ。だって、民や兵隊も一人じゃないんですから。それぞれ違うことを要求してくるのに、全部応えられないでしょ?
 優しい人は、最後には心が壊れちゃうんですね。
 アヤウいなぁ。

 この五つ、それぞれ本当に大切なことなんだけども、ほら、過ぎたるはなおおよばざるがごとしってヤツですよ。こういう性質をジョーに持っている場合は、その人は現場リーダーに相応しくないんです。

 特に、せんそーをするって場合は、ね。

 大負けして、軍隊チームはバラバラ、現場リーダー自身もご昇天、なんてサイアクな結果になっちゃうって時は、大体現場リーダーのメンタルの内ちの、この五つのどれかが過多オーバーキャパになってたンですよ。

 この辺のコトは、ホン本気マジ真剣ガチで気をつけないといけませんよ。

 「チャラ孫子・軍争篇 第七」 2019年03月10日(日) 自作小説の話題歴史関連の話題孫子

 俺の考え言っちゃいますけども。

 戦争センソーっていう国を挙げての《《大イベント》》をやる場合、将軍リーダーのところに王様から命令がきて、兵隊さんメンバーを集めて、陣地の設営をして、敵さんチームと戦うって段取りなワケですですよね。
 で、実際一番しんどいのは、どうやって戦い始めるかって事じゃないですかね。
 いや、当たり前だって話ですけども。

 さっき、センソー主導権イニシアチブを取るためには相手より早く行動した方がイイって話したじゃないですか。
 そのコツが、急がば回れ歩道橋、ですよ。
 真っ直ぐ進めば近いように見えるけど、ヒトケタコクドーは交通量バリバリで、却って渡るのが手間だし、第一危なっかしい。
 歩道橋は階段上るのがしんどいように見えるけど、実は安全確実でお得なルートだったりするんですよねー。

 これ、カッ良く言うと「ちょくの計」ってんです。
 この、マワリミチチョクシンを上手いこと使い分ける作戦、ってヤツを知っている人は、「遠回りしてるように見せかけて相手を油断させておいて、ガッツリ優位なポジに着いちゃう」とか、「遅刻確定なスタートなのに、相手より早くゴールしちゃう」みたいな凄いゴイスーなコトが出来ちゃんです。

 大体、センソーってのは、そりゃ上手いことやればお得な結果が着いてきますよ。でも、危ないことこの上ないものもまたセンソーってヤツでして。
 いくら戦場に早く着いた方が良いっていったって、「全軍グループゼンブ」をひとまとめにして進もうとしたら、どうしたって動きは鈍くなる。そもそも「全軍」の中には歩兵や騎兵や軽装備の「足の速い部隊」も、荷物の多い重装備の「遅い部隊」も混じってる訳でしょ? 全員に同じことさせたら、絶対バラバラになっちゃいますもん。
 だからって、足の速いとこだけ先に突っ走らせちゃったりしたら、大きな道具や機材を運んでる輜重部隊バックアップメンバーが取り残されちゃう。陣地を作ったりとか出来なくなっちゃったら、いくら早く現地入りしたって、準備が出来ないじゃないですか。それじゃダメじゃん。

 鎧とか着なくてもイイから、ともかく身軽な状態で、朝から晩まで、普通の倍の距離を突っ走って、四百km離れた戦場を目指せ、なんてスケジュールを組んだとしましょうよ。
 全軍敵さんに捕まってシューリョー、ですよ。
 だってそうでしょ? そんな無茶したら、元気の良い連中だけ先に進んじゃって、ヘトヘトさん達はドンドン送れちゃう。目的地に着いたときには人数が多分十分の1ぐらいになっちゃってますよ。
 半分の二百kmの移動距離だったとしても、多分一番に着いた部隊の将軍さんがヤられちゃった上に、兵隊さんメンバーも半分は落伍ドロップアウトしてるんじゃないですかね。コレじゃ勝てる訳がない。
 百二十klmでも三分の二ぐらいしか目的地まで来られないんじゃないですかね。
 付いてこられなかった三分の一ってのは、大体が足の遅い荷物の多い部隊ですよ。機材や武器やなんかを運んでくれてたり、兵隊さんメンバーのご飯のや牛馬のフードなんかを運んでくれてる大切な部隊バックアッパーですね。戦場にそういう大事な裏方さんがいなかったら……バッドエンド以外のエンディングが俺には想像できません。

 あ、そうそう。
 センソーなんていう《《でっかいイベント》》をやるからには、ご近所の王様さんにちゃんとお話をして、味方に付けとかないと不味マズいっすよね。だからそういう《《偉い人たち》》の思惑が判ってないといけない。どういうご接待をしたら喜ぶかな、とか、何をお土産にしたら仲良くしてくれるかな、とか、よーく考えて話し合っておく必要がありますよねー。
 他所の王様の皆さんだって、自分のところに得があれば協力を惜しまないでしょう。みんな利益が欲しいんですもの。逆に、損が降りかかって来るなら、むしろ敵さんチームの方に付いちゃおうってことにだってなる訳ですよ。

 あと、戦場になるところはモチロン、通り道や、万一の時の逃げ道になる場所の、地形……山とか林とか、谷や崖、川や池なんかをよく知ってないと、行くも変えるもままならなくないですか?
 そういう慣れない所に行くときには、その辺りに詳しい案内役ガイドが必要ですよ。地元の人が良いな。地形が判ってないと、例え上手く使えばこっちが有利になりそうなバツグンの地形があったとしても、気付かないまま利用できなかった、ってことになっちゃったりしますもん。

 どうしてもセンソーするのなら、あらかじめ自分のチームが有利になるようにコトを進めておいておきーの、そういうのが敵さんにバレないように……ってか、むしろこっちが不利になってるみたいに思わせて騙しーの、こっちは余裕で行動しーの、全員で固まって動いた方が良いときと小分けにして行った方が良いときを見極めてーの、臨機応変に行動しちゃうのが良いんですよね。
 ああ、俺ってば|臨機応変って言葉、大好き過ぎるかも。


 そのきこと風のごとく、そのしずかなること林のごとく、しんりゃくすること火のごとく、動かざること山のごとく、知り難きことかげのごとく、動くことらいしんのごとし。

 おっと、二千年ぐらい後の倭国ニホンの名将が旗印にしちゃうかも知れない名言が出ちゃったよ!

 動くときには風が吹くようにビューっと速くスピーディーに行っちゃいましょう。
 待機している時は静まりかえった林みたいにシーンと黙っておとなしくしてた方が良いっすね。
 攻めかかるときは火が何もかも焼き尽くすみたくにゴーっと根こそぎ奪い取っちゃう。
 動かないと決めたら山のようにピクりともしないでいましょう。
 敵さんにこっちの情報を与えないために、大事なことはカゲにコッソリ隠しておきましょうよ。
 いざ行動するとなったら雷のように、敵が思いも寄らないところへ突然且つ一気にゴロゴロドーンとやっちゃうんですよ。

 それでね。
 敵さんチームの勢力圏のサトを占領するときには、本隊でバーンと押しかけるんじゃなくて良い案配に兵力分けておきましょうね。
 そうやってゲットした占領地で、利権を一極集中にしちゃうと、後々領地が広まったときにゴタゴタに元になるンで、そういうのは分散させましょう。
 ま、それぞれの場合によってこの辺は変わってくるので、状況をハカリにかけたみたいにキッチリ見極めて、判断してから行動した方がいいンすけどね。

 とにかく、相手よりも先に「急がば回れ」の回り道ルートを見つけられた方が勝っちゃう。
 これが「兵隊を動かして戦争をする」時のセオリーです。


 昔の人はこう良くおっしゃったもんですよ。

「戦場は広いゆえ、な。口で言った命令が伝わるには時間はかかろうし、伝え間違えだって起きようものじゃて。じゃからタイ鳴り物ナリモノの合図を決めて、大きな音で伝えるのじゃ」

「手指やボウや軍配で指示したとて、遠くからでは見ようと思うてもしか・・とは確認できぬであろう? じゃから、旗とその降り方を決めて、大きな動きで命令を伝えるのじゃよ」

 こういう音や動きの合図をキッチリ決めるってのは、兵隊さんメンバー達の耳や目に間違いなく命令を伝えるナイスな方法ですね。
 コレがしっかり行き届いていれば、せっかちな勇者も出過ぎたイッけをできないし、ビビりな臆病者が勝手に撤退しちゃえない。だって、回りが「ソレはおかしい」って言えちゃいますからね。集団を動員するのにはホントに良い方法ですよ。
 それで、夜の合図に松明や太鼓を使うことが多いし、昼間は旗で合図することが多いでしょ? コレは夜と昼では物の見え方や違うからです。状況に応じて連絡手段を変えないとね。味方の情報共有はちゃんとしておかないと。

 で、ですね。
 こうやって味方に決まり事をしっかり行き渡らせてから、敵さんチームの皆さんの気力をガリガリ削り、敵さんの将軍リーダーの心をポッキリ折っちゃう作戦を実行する訳です。
 人間、朝すっきり起きられると気力が充実していて、お昼頃になるとちょいとだれて来て、夜になっちゃうとやる気がサヨナラしちゃうもんでしょう?
 だから、敵さんのやる気がビンビンな時には攻め込まないで、ダラダラにだれてる時に攻撃しちゃうのがイイ。やる気スイッチの入り具合オン・オフを見極めた上手い使い方っすよ。

 それで、こっちチームのみんながキッチリかっちり動いている状態を見せつけて、

「なんであいつらはあんな余裕ぶっこいてるんだ」

 って、敵さんチームがビビって混乱するのを待つんです。
 戦場でも落ち着いているってのを見せつけて、敵さんチームが、

「もしかしてあいつら、めちゃくちゃ強ぇえんじゃねぇの?」

 みたいに、オタオタ慌て出するのを待ち構えるんです。
 心理戦ってヤツですね。自分達のチームは勿論、敵さんチームの気力を操れれば、もう勝ったも同然ですわ。

 ソレとは違う方法もありますよ。
 先に戦場の近くに陣取って、遠くからやってくる敵さんを待ち構える。ゆっくり休んでぐったり疲れた敵さんを迎え撃つ。ちゃんとご飯を食べておいて、腹ぺこな敵さんと戦う。
 そうやって物理的な「戦闘力チカラ」を上手いこと使うっての、です。
 これ、片方だけ運用したんじゃダメです。両方を上手い案配に使うのがベストですよ。

 逆を言うとですね、敵さんチームが合図や伝令をしっかり行き届かせてて、気力体力が充実してるようならば、そりゃ攻め込んじゃダメでしょ、って事です。


 何度も似たようなことを言う感じになりますけど、物事は自分の状況と相手の状態を良く見極めて、リンオーヘンにやらないといけないんです。

 あと、大人数を引っ張ってセンソーをおっ始めようって時の注意点ですけども。
 高いところに陣取ってる敵さんに刃向かっちゃいけませんよ。高いところから石でも落っことされたら大変ですから。
 それと、丘を世にした配置で攻めてくる敵さんを迎え撃つのもヤバい。これも高低差を付けた勢いを利用されたら目も当てられない。
 逃げてるように《《見せかけてる》》敵さんを、調子に乗って追いかけてっちゃダメ。十割100パー、伏兵が横っ腹突いてきますからね。
 オラついてる敵さんに突っ掛っていっちゃいけない。カッカした状態で行動したら、思わぬ失敗をしますよ。
 こっちをおびき出そうとしてワザとらしくうろついてる敵さんに食いついちゃダメダメ。そういうときは大体、向こうさんが罠を仕掛けて待ち構えてますからね。
 国に帰ろうとしてる敵さん達の行く手を塞いじゃいけない。向こうも必死で抵抗しますよ。
 敵さんを取り囲んだときには、逃げ道を残しておくこと。窮地に追い込んだ敵さんをしつこく攻撃しないこと。でないと死に物狂いで反撃されて痛い目に遭いますから。

 コレとっても重要なことなんで、覚えておくと良いんじゃないかなーって。

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