H-01 星摘み HTML版/
ブログ版現代ロウファンタジー。
奇跡は滅多に起きないから奇跡だ。
小さくて、純粋で、切実な祈りは、奇跡を呼び込む。
彼らの願いは、比類無く強い物であったからこそ、叶えられた。
でも本当は、感動の大きさと幸福度とは比例しないものなのだ。
ただ、奇跡の感動は大きすぎて、当たり前にある幸せよりも輝いて見えてしまう。
無くした愛情に再び巡り会う、奇跡的な幸せ。
でももっと幸せなことは、ずっと愛されていること。
ずっと愛していること。
H-02 流るる星の行方 HTML版/
ブログ版異世界ファンタジー。
育ての親と実の親。
子供にとって重要なのはどっちだろう。
それは答えのでない命題。
少なくとも彼女には、最初から存在しないも同然だった実の親などよりは、
自分を厳しく鍛え上げてくれたその人の方が、より重要だった。
たとえ事をなしたがために重い宿命を背負うこととなったとしても、彼女は後悔などしまい。
H-03 黒衣の天使と夜の闇 HTML版/
ブログ版現代、ロウファンタジー。
高いところは嫌だ。
落ちてしまいたくなる。
飛んでしまったらどうなるだろう。
(どうなるかなんて、簡単に想像できるのに)
そう思ってしまう。
もしかしたら「招かれている」のかも知れない。
人ならざる物か、あるいは自分自身の願望の具象に。
だとしたら、それを止めてくれるのはなんだろう。
人ならざる物か、あるいは自分自身の希望の具象か。
H-04 インプリンティング HTML版/
ブログ版現代。甘酸っぱい青春恋愛もの
タイトルは「刷り込み」の意。
卵からかえったばかりのひよこが、初めて見たものを親だと思いこんでしまうという、アレのこと。
誰かの一言が、その後の運命を変えちゃったりすることがある。
でも大概の場合、その一言の発言主は、
言ったことなんか綺麗さっぱり忘れてしまっていたりして。
忘れてしまった当の本人の記憶を呼び覚ますのは大変だ。
思い出してくれない可能性の方が高い。
思い出したとしても「その程度のこと」と軽くあしらわれるかも知れない。
何事も切り出すタイミングが大切。
その時期がまだ来ていないなら、もう少し黙っていても、多分大丈夫。
H-05 吸血鬼、1280円。 HTML版/
ブログ版現代ロウファンタジー。
ツンデレのヴァンパイアというと、なんか違って聞こえるけれど……。
少なくとも発する言葉は本心とは掛け離れている。
その上、怪しさ爆発なのになぜか家庭になじんでいる。
「現実離れした押し売り労働者」
というよりは、
「異界からの押しかけ亭主」
かも知れない。
H-06 星は虚ろの月を抱く HTML版/
ブログ版外国舞台。ちょっと昔な雰囲気。
カニバリズムが駄目な人にはお薦めできないのでご注意を
etoileは星。
soleilは太陽。
luneは月。
星は月を見る。
月は太陽を見る。
太陽は月を照らす。
星は太陽でもある。
その星は自分があの月の太陽だと思っていた。
あの月が選ぶのは自分だと信じていた。
でもその月は別の太陽の月だった。
星はそれを認めたくなかった。
自分も太陽であるが故に。
(時に、エトワールは女性名詞なれど、
ソレイユは男性名詞でリューヌは女性名詞なのよね……
お話にあった命名ではあるけれど、ちょっと惜しい気がする)
H-07 教授(プロフェッサー)が目覚めない HTML版/
ブログ版現代。コメディ(かな?)
謎の言葉を残し昏睡した教授。
助手はその言葉の示すものを探求する。
探求は時として妄想をはらみ、脱線し、迷走する。
果たして謎は解明されるのか……?
文字の塊がどっと押し寄せてくるような「推理」の描写が楽しい。
H-08 星の実 HTML版/
ブログ版ファンタジー。ヨーロッパ風のどこか。
好きな人が幸せになるのは嬉しい。
好きな人を幸せにするのが自分でないのは悔しい。
好きな人が行ってしまうのは悲しい。
好きな人を行ってしまうのを止められない自分が悔しい。
独り占めにしたかったのは、伝説の星の実なんかじゃなかった。
独り占めにしたかったのは、星よりも大切な君。
悲しいけれど、悔しいけれど、
好きな人が幸せになるのは嬉しい。
H-09 ホシのヌシ釣り HTML版/
ブログ版SFコメディ。
様々な惑星の人々が乗り合わせる宇宙船。
そこはカッコイイ未来空間なのだけれども、
同時にとってもずぼらな生活空間。
だって人間が住む場所ですから。
久々の寄航で浮き足立つクルー達。
それぞれがそれぞれの休暇を楽しんでいる模様。
でもここは光速移動可能な宇宙船の中。
相対性理論に基づいた物理法則によりクルーは浦島太郎のようなもの。
切なくも笑える昔話なんかを蕩々と語る老飛行士もいたりして……。
彼らは
宇宙でも泥臭く生きている。
H-10 ツインズ HTML版/
ブログ版現代。
少女は不思議な生き物だ。
別の少女と一心同体になることができる。
連れ立って遊びに行き、連れ立ってトイレに行行くように、連れ立って死にに行くことすらある。
自分ともう一人とが同じ存在であることが、彼女にとって当たり前のことだった。
だからちょっとした違いが、許せなくなった。
相手も許せない。自分も許せない。
だって二人は同じなのだから。
自分ともう一人とが同じ存在であることが、彼女にとっても当たり前のことだった。
もう一人がいなくなった今でも。
H-11 あの星が流れたら HTML版/
ブログ版現代。ちょっと転生物
企業戦士って言葉は、もう古いのかも知れないけれど、彼はそういう人物だ。
一生懸命が過ぎて、後ろを見ることができない人。
彼女は、そんな彼が好きだった。
だから何度も何度も彼と出会おうとする。
彼女が惚れた時の彼は、戦士じゃなくて武士だったけども。
その頃の彼は、お家大事が過ぎて、後ろを見ることができない人だった。
今も大して変わらない。いいや、全く変わらない。
そして彼は帰って行く。
彼女はそれを見送り続ける。