7つの大罪
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お姫様舞踏会/トパーズ
※始めに ReadMe※
このページは、幻想あるいは歴史・伝承・文学における「七つの大罪」に関する「メモ書き」です。
このページの内容は、サイト管理者が古い著述や各種資料、口伝などを読み聞きして得た情報を、 サイト管理者本人が「創作のヒントとして利用するための覚え書き」として纏めたものです。
そのためサイト管理者の主観や思いこみ、あるいは記憶間違いによる誤った記述などが大いに混じっており、神学などの学術的には正しくない可能性が高くなっています。
それでもよろしければどーぞご覧下さい。
なお、このメモ書きを鵜呑みにしてしまったり、言葉通りに解釈してしまうのは、大変危険です。
くれぐれも用法用量をお間違えになりませんように……。
サイト管理者:銀凰恵(神光寺かをり)拝
※7つの大罪についての覚え書き※
七つの大罪(Seven deadly sins)
別訳「七つの罪源」。キリスト教の思想の一つ。
罪そのものではなく、人に罪を犯させる可能性のある欲望・感情のこと。
それぞれの罪源の象徴として7人の悪魔が示される。
16世紀初頭、文盲率が高かった庶民に「七つの大罪の思想」を広めるため、罪源に動物を当てはめて描く手法が取られ始める。
描かれる動物には諸説があるが、ヨーロッパの絵画(や、映画・小説など)などでこれらの動物が描かれているモノに出逢ったら、描き手が何らかのメッセージを込めている可能性があることを疑ってかかるのもまた一興。
また、罪源と対を成す「七つの美徳」という思想もある
七つの罪源象徴する動物七人の悪魔七つの美徳
高慢 (Pride)
(うぬぼれ・自慢)
孔雀・獅子ルシファー(Lucifer)
または
ベリアル(Belial)
忠実(Faith)
(信仰・貞淑・信念・誓約)
嫉妬 (Envy)
(ねたみ・うらやみ)
犬・蛇レヴィアタン(Leviathan) 節制(Temperance)
(控えめ・自制)
暴食 (Gluttony)
(むさぼり・欲張り)
ベルゼバブ(Beelzebul) 智慧・忍耐(Fortitude)
(不屈・我慢)
色欲 (Lust)
(スケベ・淫ら)
熊・蠍・山羊アスモデウス(Asmodeus)愛(Charity)
(博愛・慈悲)
怠惰 (Sloth)
(無精・なまけ)
驢馬ベルフェゴール(Belphegor)
または
アスタロト(Astaroth)
希望(Hope)
(望み・期待・有望)
強欲 (Greed)
(貪欲・意地汚さ)
針鼠・狐マモン(Mammon) 賢明(Prudence)
(慎重・分別・倹約)
憤怒 (Wrath)
(怒り・激怒)
狼・一角獣・龍サタン(Satan)正義(Justice)
(勇気・公平)
4世紀のエジプトの修道士エヴァグリオス・ポンティコスの著作では、七つの罪源に「虚飾」を加えた「八つの枢要罪」とされていた。
時代が下るウチに「虚飾」は「高慢」に吸収されて、最終的にキリスト教では象徴的な数である「七」にまとめられる。

おぼろげな記憶……
ウルティマIV 聖者への道(Ultima IV: Quest of The Avatar 日本語版)で、どこぞの街で出逢った女の子(シスターだったかな?)が、プレイヤーに
「あなたには誇りがありますか?」
といった意味合いの質問を投げかけるイベントがある。 ここで「ハイ」と応えると、彼女は
「それは『徳』ではありません」
と答え、アバタール(神の代行者にもなりうる、人間を超越した存在)になる為に必要なポイントががくんと減らされる。
彼女の言う「誇り」は英語の「Pride」が翻訳された語であろう。
つまり、彼女は「あなたは傲慢な人ですか?」と訊ねていた訳だ。
一つの単語の意味は必ずとも一つではないという好例。
さすがロード・ブリティッシュ公。ナイスな引っかけだ。
※グノーシス派の考える「七つの大罪」※
ダ・ビンチコードなどでおなじみの異端派「グノーシス主義」は、独特な思想を持っている。
その思想は複雑で難解なため要約することは難しいが、特徴的なモノをいくつかを挙げると
  • はじめに善なる至高の神が存在し、そこから多くの霊的存在が生まれた。
  • 至高の神と、物質界を創造した「創造神」は別物で、 創造神・デミウルゴス(工匠・建築家の意)は下等な神。
  • 下等な創造神によって作り出された物質界は悪しき物。
  • 肉体という物質を持つ人間も悪であるが、魂の中には至高神の聖なる炎(聖霊)が含まれている。
    知識(グノーシス)を持つ「選ばれた者」は悪から抜け出して至高神の元に帰ることができる。
  • 創造神の教え(聖書などの教典)は悪。そこで悪とされているモノは善。
    (エデンでアダムとエバを「誘惑」して「善悪の知識の木」を食べさせた「蛇」は、人間達に「知識」を与えるために至高神から使わされた善なる使者)
といった具合。

彼らから見れば、創造神の使いである「天使」は、人間を誘惑する「悪魔」的存在となる。
このため、彼らの考える「七つの大罪」には、それを象徴する「悪魔」として、7人の「天使」が当てはめられている。
なお、グノーシス主義の「七つの大罪」には「暴食」がなく、代わりに「虚偽(ウソ・だまし)」が入っている。
七つの大罪七人の悪魔(天使)天使としての役目
傲慢(高慢)ザドキエル(zadkiel)慈悲の天使
「神は正しい」
嫉妬ガブリエル(Gabriel)神の言葉を伝える天使
「神は力強い」
虚偽ミカエル(Michael)闘う天使・守る天使
「神の好み(神の如き)」
色欲アニエル(Aniel)
異称:ハニエル(Haniel)
金星・金曜日の守護天使
「神の栄光」
怠惰カフジエル(Kafziel)
異称:ケフジエル、カッシエル(Cassiel)
死の天使の一人。王の生命を司る
孤独と涙の天使
強欲ラファエル(Raphael)癒し・薬・医術の天使
「神の癒し」
憤怒サマエル(Samael)死を司る天使。エデンに葡萄を植えた天使。
「神の毒(神の悪意)」
あまり意味のないことだが、キリスト教的「七つの大罪&七つの大罪に比肩する悪魔」と グノーシス的「七つの大罪&比肩する悪魔(天使)」を対比させると……
七人の悪魔七つの罪源七つの大罪七人の悪魔(天使)
ルシファー(Lucifer)
または
ベリアル(Belial)
高慢傲慢ザドキエル(zadkiel)
レヴィアタン(Leviathan) 嫉妬 嫉妬ガブリエル(Gabriel)
ベルゼバブ(Beelzebul) 暴食 虚偽ミカエル(Michael)←罪の定義が違うので
厳密には比較できない
アスモデウス(Asmodeus)色欲色欲アニエル(Aniel)
ベルフェゴール(Belphegor)
または
アスタロト(Astaroth)
怠惰怠惰カフジエル(Kafziel)
マモン(Mammon) 強欲強欲ラファエル(Raphael)
サタン(Satan)憤怒 憤怒サマエル(Samael)
追記
七大天使
七つの美徳に当てはめられる天使については諸説有り、定かでない。
一応、キリスト教的には「神の御前に侍る七大天使」という括りがあるが、その候補者名は流動的。

聖書正典に名前の出てくる天使はミカエル・ガブリエル・ラファエル の三人のみ。
(ラファエルの名が出る旧約『トビト記』を正典とするのはカトリックと東方正教。プロテスタント&ユダヤ教では加えない)
この三名を三大天使と呼ぶ。
それ以外の天使の名は偽典にのみ見られるもの。
「それ以外の天使の名前」は、古代・中世の神学者達が偽典や聖書以外の書物から調査して今に伝えたもの。
八世紀ごろ、極端な「天使信仰」を押えるために当時のローマ教会は三大天使以外を否定。
このため黙示録に記述のある「七人の御使い」や神の御前に立つことを許された「七大天使」が誰であるのか等についても、はっきりとしたことが解らなくなっている。

ちなみに七大天使(の候補)は以下の通り
名前別発音や異称役目
ミカエル(Michael)ミカール
ミハエル
ミッシェル
マイケル
天使の軍団長。・闘う天使(イスラエルと相撲を取る・サタンの化身の龍と闘う)・守る天使(ロトをソドムから救出・イサクが贄されるのを止める)
ルキフェル(Lucifer)の双子の弟
ガブリエル(Gabriel)ジブリール
ガウリール
伝える天使(受胎告知・ムハンマドにコーランを口伝)
ラファエル(Raphael)癒しの天使。薬・医術の天使。
人間の友人
↑ココマデは聖書(正典)に名前のある天使。この三名を「三大天使 」とも呼ぶ。
ウリエル(Uriel)アウリエル七大天使の長。懺悔の天使・エデンを守る天使(ケルビム・智天使)預言と解釈の天使。
(旧約外典・偽典にのみ名がある)
↑ココマデは四大天使として確定。↓残り三名は以下から選ばれる事が多い
メタトロン(Metatron)契約の天使。神の代理人・出エジプトするイスラエルを導く火の柱・エノクの転生 
サンダルフォン(Sandalphon)の双子の弟
サリエル(Sariel)スリエル(Suriel)
サラカエル(Sarakiel)
ザラキエル(Zerachiel)
死を司る天使。邪視を防ぐ天使・堕天使を裁く天使
ラグエル(Raguel)ラグイル(Raguil)
ラスイル(Rasuil)
ルファエル(Rufael)
アクラシエル(Akrasiel)
諸天使を監視する天使。エノクを天に運んだ天使。
レミエル(Remiel)ラミエル(Ramiel)雷の天使。幻視を統括する天使・指示を伝える天使
ラジエル(Rasiel)ラシエル竜巻の天使。秘密の領域と至高の神秘の天使・天地の総てを記した書「セファー・ラジエル(Sefar Raziel)」の著者
蛇足
西洋占星術の世界では悪魔・天使と惑星(天文用語の惑星と同意ではないので注意)が結びつけられている。
そこで、惑星の悪魔と惑星の守護天使を無理矢理につなげると
七つの罪源七人の悪魔七つの
惑星
「惑星」を司る天使七つの美徳
嫉妬 (Envy)レヴィアタン(Leviathan) ガブリエル(Gabriel)節制(Temperance)
憤怒 (Wrath)サタン(Satan)火星サマエル(Samael)
または
ハマエル(Hamael)
正義(Justice)
暴食 (Gluttony)ベルゼバブ(Beelzebul) 水星ラファエル(Raphael)智慧・忍耐(Fortitude)
高慢 (Pride)ルシファー(Lucifer)
または
ベリアル(Belial)
木星ザドキエル(zadkiel)
または
ザカリエル(Zachariel)
忠実(Faith)
色欲 (Lust)アスモデウス(Asmodeus)金星アナエル(Anael)
または
ハニエル(Haniel)
愛(Charity)
強欲 (Greed)マモン(Mammon) 土星オフィエル(Ophiel)
または
ザフキエル(Zaphkiel)
慎重(Prudence)
怠惰 (Sloth)ベルフェゴール(Belphegor)
または
アスタロト(Astaroth)
太陽ミカエル(Michael)希望(Hope)
となる。 ただし、これは相当に強引な結び付けなので、ここに上げられた天使の名と「七つの美徳」には整合性はないと思った方がイイ。
……所謂「七大天使」とも別物だし……。
蛇足その2 「-エル」が沢山
エル、あるいは、エール(El)、ないしはイル(Il)はヘブライ語で「神」を表す一般名詞。
または「唯一神」「最高神」を表す固有名詞。
語尾に付くと「神の・神は」という意味合いになる。
たとえば四大天使の名を直訳すると
ミカエル(Michael)は「神の好み(神の如き)」「神は好む」、
ガブリエル(Gabriel)は「神の力」「神は力強い」、
ラファエル(Raphael)は「神の癒し」「神は癒す」、
ウリエ(Uriel)は「神の光(神の火)」「神は光なり(神は火なり)」
といった具合になる。

以下は、キリスト教(プロテスタント・カトリック)的には「異端思想」ゆえ、取り扱い注意
天使に「神」の名詞が付いている理由には、
古い時代、多神教的信仰の中で「最高神に従属する神」(太陽の神様とか、雷の神様といった、何らかの力・役割を神格化したもの)として崇められていた存在が、系統だった一神教に変わってゆく中で「唯一神に仕える霊的存在」に変化した名残である
という説もある。
すなわち、
ミカエルは「最高神に一番似ている神(神の息子)」、ガブリエルは「力の神」、ラファエルは「癒しの神」、ウリエルは「光の神(火の神)」
といった意味合いであったと。
(ちなみにミカエル=イエス・キリストって説を唱えている宗教もあるのねん)
2007/03/07追記
サンダルフォン
サンダフォン/サンドルフォンとも。綴りはSandolfonまたはSandolphon
その名は「共通の兄弟」を意味する。
メタトロンとは双子の兄弟とされており、共にエノクの転生(と、言う表現は妙なのだけれども)だとされる、若い天使。
(他の天使達は天地創造時に生まれている。メタトロン・サンダルフォンがもともとエノクであったとするならば、彼らは諸天使にかなりおくれて生まれたことになる。天使なのに名前に「エル」が付かないのも、彼らが他の天使よりも若い〔多神教の影響が少なくなってから生まれた〕からか?)
音楽と祈りを司る、あるいは胎児(性別の決定)を司ると言われている。
メタトロンとは光と影、陰と陽、太陽と月の関係であるとなぞらえられており、同一人物の表裏であるとも言われる。
(メタトロンの名の語源はギリシア語で「玉座にはべる者」を意味するメタトロニオス(Metathronios)とさる)
メタトロンは18対(36枚)の翼と数多(一説には36万5千)の目、そして巨躯(地球の1/3であるとも、足下から頭までの距離を人の速さで歩けば500年かかるとも、足は大地にあって頭は天国にあるとも)という異形の天使であるが、双子とされるサンダルフォンも同様に巨躯であるとされている。
エノク
旧約聖書創世記にその名が見られる重要人物。
偽典(エチオピア正教では外典扱い)とされる「エノク書」は、彼の掲示による黙示録的な内容とされる。
創世記にはエノクという名の人物が二人登場する。
一人はアダムとエバの長子カインの息子として。
もう一人はアダムとエバの第三子セツの子孫(そしてノアの曽祖父)として。
二人目のエノクについて、創世記5章24節にはこう書かれている。
エノクは神とともに歩み、神が彼を取られたので、いなくなった。(口語訳)
他の人物達は「○○年生き、死んだ。」と簡潔に記述されるのにもかかわらず、彼のみが「神が彼を取られた」という特殊な書かれ方をしている。
このため、後の信徒や研究者などに好んで取り上げられることとなった。

追記:
新約聖書ユダ書1章14〜15節にエノク書の引用個所がある。
アダムから七代目にあたるエノクも彼らについて預言して言った、「見よ、主は無数の聖徒たちを率いてこられた。
それは、すべての者にさばきを行うためであり、また、不信心な者が、信仰を無視して犯したすべての不信心なしわざと、さらに、不信心な罪人が主にそむいて語ったすべての暴言とを責めるためである」。

このことから、初期のキリスト教徒の間ではエノク書を読むことが一般的だったことが判る。