※ある意味「特殊」な用語についての覚え書き※
陰間【かげま】
元々は、修業中でまだ舞台に出られない年若い歌舞伎俳優のこと。
給金の貰えない修行中の役者の中に、小遣いを稼ぐ為に(自発的でない場合もあるが)男色を売る者がいた為、男相手に売春する男の事をこう呼ぶようになった。
陰間専門の売春宿を「陰間茶屋」という。
男色【なんしょく/だんしょく】
男性間の同性愛。衆道。
男色の対象となる男そのものを指すこともある。
男娼【だんしょう】
男色を売る者。陰間。
野郎【やろう】
男性をののしっていう語……というのがデフォルト。
若衆(少年)を役者として使う事を禁止された時代、若衆に前髪を落として月代を沿った大人の髪型「野郎頭」をさせたことから、「野郎頭の若衆」を略してこういった。
そこから転じて、野郎頭の若い役者で男色を売る者や、単に男色を売る者のこと。
野郎専門の売春宿は「野郎茶屋」
ちなみに時代劇でよく「役者」役が月代部分を隠すために縮緬の小さな布をかぶっているが、あれは「野郎帽子」というもの。
若衆でも女形でも普段は野郎頭でなければいけないため月代を剃るのだが、そり上げた額を保護するためにあれをかぶる。(私見だが、保護と言うよりは、女形が「男の髪型で女らしさを出す」ためのファッション、あるいは、女の心根を持っている女形にとって髪を剃るのは恥ずかしいことであるから、せめて綺麗な布で隠そうという乙女心……のような気がする)
念者【ねんじゃ】
男色関係にある者で、兄貴分の方。念友。念人。
ソドミー【sodomy】
広義では同性愛・獣姦・肛門性愛・口腔性愛などの「生殖を目的としない性行為」全般。
狭義では男性同士の同性愛。
旧約聖書創世記18章〜19章に登場する不道徳がはびこっていたために滅ぼされたとされる都市「ソドム」を語源とする。
このような行為は「道徳上よろしくない」とされ、特に旧約聖書を聖典とする宗教(ユダヤ教・キリスト教・イスラム教)の信者は、これらの行為を軽蔑する傾向がある。
現在(2004年)でも、アメリカの一部の州ではソドミーを法律(州法)で禁止するいわゆる「ソドミー法」がある。しかし2003年6月にテキサス州のソドミー法が最高裁判所から「そいつぁプライバシーの侵害だろうよ」といった旨の違憲判決を受けている。
またイランでは狭義のソドミーを法律で禁止し、その刑罰は最高で死刑となっている。
なお、ソドムの民が「主」の怒りを買った原因は「男色や快楽のためだけの性行為」だけではなく、偶像崇拝・不信心や驕慢や暴力などを含めた「不道徳全般」がは町全体にびこっていたためであったと思われる。
なにしろアブラハムが「主」に対して「10人の義人がいたらその人達の為に町を滅ぼさないで欲しい」と嘆願したところ、「主」は「それなら滅ぼすのをやめる」と約束しているのだ。
以下旧約聖書(日本聖書刊行会 新改訳)より引用
創世記18章23節〜24節:
アブラハムは近づいて申し上げた。「あなたはほんとうに、正しい者を、悪い者といっしょに滅ぼし尽くされるのですか。
もしや、その町の中に五十人の正しい者がいるかもしれません。ほんとうに滅ぼしてしまわれるのですか。その中にいる五十人の正しい者のために、その町をお赦しにはならないのですか。」
創世記18章26節:
主は答えられた。「もしソドムで、わたしが五十人の正しい者を町の中に見つけたら、その人たちのために、その町全部を赦そう。」
創世記18章32節:
彼はまた言った。「主よ。どうかお怒りにならないで、今一度だけ私に言わせてください。もしやそこに十人見つかるかもしれません。」すると主は仰せられた。「滅ぼすまい。その十人のために。」
このようにアブラハムと契約した「主」であったが、先にソドムへ赴いていた二人の御使い達にその市民が危害を加えようとしたり、それを防ごうとしたロトに暴力を奮ったりする彼らの振る舞いを見、結局町を滅ぼされた。
このときロトは娘婿達に「主が町を滅ぼそうとしているから逃げよ」と告げるが、彼らはそれを信じなかった。
御使い達はロトとその妻、二人の娘たちのみ連れて町の外に逃れさせる。
振り返ることなく逃げよと命じられた彼らだったが、ロトの妻は町の滅ぼされるその瞬間にを振り返り見たため、塩の柱に変えられてしまった。
女衒【ぜげん】
女を遊女屋・遊郭・売春宿に売るのを商売にした者。人買い。判人。