火攻篇 第十二 − 火攻篇 第十二 読み下し文 【2】 BACK | INDEX | NEXT

2020/03/10 update

孫子曰く、凡そ火攻に五有り。
一に曰く、人を火く、二に曰く、積を火く、三に曰く、輜を火く、四に曰く、庫を火く、五に曰く、隊を火く。
火を行うに必ず因有り、煙火は必ず素より具う。
火を発するに時有り、火を起こすに日有り。
時とは天の燥ける也。
日とは月の箕・壁・翼・軫に在ある也。
凡そ此の四宿は、風の起こるの日也。

凡そ火攻は、必ず五火の変に因りて之に応ず。
火、内に発すれば、即ち早く之に外に応ず。
火発して兵静かなる者は、待ちて攻むること勿く、其の火力を極め、従う可くして之に従い、従う不可ずして止む。
火、外より発す可くんば、内に待つこと無なく、時を以てて之を発せよ。
火、上風に発すれば、下風を攻むること無かれ。
昼の風は久しく、夜の風は止む。

凡そ軍は必ず五火の変有るを知り、数を以て之を守る。
故に火を以て攻を佐くる者は明也。
水を以て攻を佐くる者は強也。
水は以て絶つ可くして、以て奪う可からず。
夫れ戦勝攻取して、其の功を修めざる者は凶也。
命づけて費留と曰う。

故に曰く、明主は之を慮り、良将は之を修む。
利に非らざれば動かず、得に非らざれば用いず、危きに非らざれば戦わず。
主は怒りを以て師を興こす可からず、将は慍りを以て戦いを致す可からず。
利に合して動き、利に合せずして止む。
怒は以て復た喜ぶ可く、慍りは以て復た悦ぶ可し。
亡国は以て復た存す可からず、死者は以て復た生く可からず。

故に明君は之を慎み、良将うは之を警む。
此れ国を安んじ軍を全うするの道也。
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