軍形篇 第四 − 【軍形篇 第四】読み下し文 【2】 BACK | INDEX | NEXT

2019/04/10 update
孫子曰く、
昔の善く戦う者は、先ず勝つ可からざるを為して、以て敵の勝つ可きを待つ。
勝つ可からざるは己に在り、勝つ可きは敵に在り。
故に善く戦う者は、能く勝つ可からざるを為すも、敵をして勝つ可からしむること能わず。
故に曰く、勝は知る可くして、為す可からずと。
勝つ可からざる者は守なり。
勝つ可き者は攻なり。守らば則ち余あり。攻むれば則ち足らず。
昔の善く守る者は九地の下に蔵れ、善く攻むる者は九天の上に動く。
故に能く自らを保ちて勝を全うするなり。

勝を見ること衆人の知る所に過ぎざるは、善の善なるものに非ざるなり。
戦い勝ちて天下善なりと曰うは、善の善なるものに非ざるなり。
故に、秋毫を挙ぐるは多力と為さず。
日月を見るは明目と為さず。
雷霆を聞くは聡耳と為さず。
古の所謂善く戦う者は、勝ち易きに勝つ者なり。
故に善く戦う者の勝つや、智名無く、勇功無し。
故に其の戦勝忒わず。
忒わざる者は、其の勝を措く所、已に敗るる者に勝てばなり。
故に、善く戦う者は、不敗の地に立ちて、敵の敗を失わざるなり。
是の故に、勝兵は先ず勝ちて而る後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いて而る後に勝を求む。

善く兵を用うる者は、道を修めて法を保つ。
故に能く勝敗の政を為す。
法は、一に曰く度、二に曰く量、三に曰く数、四に曰く称、五に曰く勝。
地は度を生じ、度は量を生じ、量は数を生じ、数は称を生じ、称は勝を生ず。
故に、勝兵は鎰を以て銖を称るが如く、敗兵は銖を以て鎰を称るが如し。
勝者の民を戦わしむるや、積水を千仭の谷に決するが若き者は、形なり。
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兵勢篇 第五

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