意外な話 或いは、雄弁な【正義】 − 【4】 BACK | INDEX | NEXT

2015/07/28 update
 ああ、その人の名前のことは勘弁してください。いつの時代の、どんな立場の人であったかも、です。
 例え殿様ご自身が願った領地替えであっても、外から見れば都落ちの左遷です。ご家中の方々にとっては恥とも言えましょう。
 とうの昔に無くなった方です。死人に鞭を打つのはあまりに可哀相だと思って頂けませんか? 
 それが駄目なら、生きているこの私を哀れんで、どうか訊かないでおいてください。
 そう。これは昔話です。遠い所の昔話。
 色々な経緯があって、深い山奥の、古い城跡に立つ寂しいお屋形……「幽霊屋敷」に閉じこめられることになった、お優しくてお寂しい殿様のお話。
 そう思って聞いてください。
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まろやか連載小説 1.41

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