舞殿の【女帝(エンプレス)】 − 湯殿 【13】

り着いたパトリシアは、安堵とうれしさとで文字通りに舞い上がっていた。
「ご案内頂きありがとうございます」
 まるでカーテンコールを受ける踊り子のように、しなやかな礼をし、早々に件のドアの中へ消えていった。
 独り廊下に取り残された体のピエトロは、
「先ほど宮殿の中を歩き回ったときは、果てしなく長いと思った廊下が、なぜこんなにも短く感じられるのだろう。せめてもう少しパトリシア姫と話をしていたかったなぁ」
 などとため息混じりにつぶやいた。それでも直後には、己の役務を思い出し、
「しまった、急がないとオランからのお客様をお出迎えできなくなる!」
 今来た道を振り返った。


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2014/09/20update

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まろやか連載小説 1.41
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