舞殿の【女帝(エンプレス)】 − 想い出 【22】

、むしろご褒美だ。なんて光栄なのだろう……その瞬間、ピエトロはそう思った。
 だが。
 差し出されたギネビアの手を握ったとき、彼は気付いた。
 ギネビアが自分を見ていないことに。その視線は、相変わらず窓のそのまた向こうを見ているこに。
「あの方に邪険にされるのには、なれているつもりだったのですけれど……」
 ギネビアの唇が小さく動いた。あまりに小さすぎて、その声はピエトロの耳に入らなかった。
「あの、なんと申されましたか?」
「いいえ、何も」
 暗く沈んだ瞳で、彼女は答えた。
 その寂しげなまなざしのまま、彼女は口元に笑みを浮かべた。

-了-


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2014/09/20update

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まろやか連載小説 1.41
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