。
白金色の髪の絹のような艶やかさも、瞳が放つ翡翠玉の様にぬらぬらとした光も、唇の桜桃のような濡れた紅さも、頬の薔薇のような輝きも、見た者の男女を問わず、心を騒がせる美しさであることに、全く気付いていない。
その無頓着さというか無知加減が、可笑しくてならないし、また愛おしくてならない。
「そのように嗤うことですか?」
エル・クレール=ノアールは憤然として、右前合わせの上着に包まれた丸く豊かな胸を憤然と張り、前窓付きのズボンをはいた柔らかく細い腰に両拳を当てて仁王立ちした。
ブライト=ソードマンは、目尻に浮かんだ涙と、口角を濡らした涎を乱暴に拭いた。
「たまらんね。その身形がすでに猥褻物だ」
「物騒な世の中だから、男の服を着て男のように振る舞え、と忠告してくださったのは、あなたでしょう?」
エル・クレールはあくまでも己の肉体そのものに「原因」があるとは思い至らないらしい。
ブライトはニタリと笑った。
「ああ、そんな服を着てりゃぁ、誰だって……」
ブライトは素早く相棒の背後に回り込み、
たわわな双丘を鷲掴んだ。
「こーでもしなきゃ、男じゃないって判りゃしないからな」