「お気になされぬな」
ガイアは再びヴェールを身にまとった。
「私が顔を覆うのは、私自身が己を恥じているためではありませぬ。私の醜さを見て他人が気分を害することを防がんがため……」
紗の下に隠された顔がどのような表情を作っているのか、マルカスには知れない。ただ恥ともとれる申し訳なさに胸が詰まった。
「……お部屋に、ご案内いたしましょう。旅の道行きでお疲れのことでしょうから」
ようやく事務的な言葉を絞り出したマルカスに、レオンはやはり事務的な笑顔で応じた。
「後ほど、便りの内容を漏らしてくだされば、我らの疲れなど吹き飛ぶのですが、いかがでしょう?」
深いため息の後でマルカスはつぶやいた。
「……内容によります」