夏休みの前から夏休みの終わりまでの話。 − 【16】

をかみしめて、唇を力一杯結ぶ。まぶたも痙攣するくらい精一杯閉じた。
「Y君のことは、やっぱりY先生から聞いて知っていたのかい?」
 校長先生の質問は、できるだけ遠くの音を聞こうとしている龍の耳には、よく聞こえなかった。
 返事をしないどころか、そこから一歩だって動きそうもない龍を、校長先生はかなり心配したらしい。
「麦茶を飲まないかい? 砂糖を溶かしたヤツが、校長室の冷蔵庫に入っているんだよ」
 そう言うと校長先生はちょっと強引に龍の手を引っ張り、歩き出した。


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2015/09/26update

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まろやか連載小説 1.41
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