夏休みの前から夏休みの終わりまでの話。 − 【2】

)の書かれた紙が、むくむくと合体し、大きくなり、ざわざわ動き出す様を、彼は期待していた。
 しかし待ち続けても、図書袋から得体の知れないものが出てくることはなかったし、図書袋そのものが得体の知れないものになることもなかった。
 息を殺し続けた龍だったが、元来がどちらかというと行動的で積極的な質である。やがて黙っていることにも動かないことにも、そして期待することにも落胆することにも我慢しきれなくなった。
「うわっ!」
 大きな呼気の固まりを吐き出して、彼は布団をはねのけた。


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2015/09/26update

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まろやか連載小説 1.41
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