夏休みの前から夏休みの終わりまでの話。 − 【24】

っとりと重たそうに地面に落ちた。
 その後すぐ、龍は木の枝にかかっていた自分の服をひっつかんだ。それはまだ乾ききってはいなかったけれど、彼は無理矢理に袖を通した。
 しめった服を強引に着たものだから、布地が奇妙にねじれてしまって、ギュウギュウと体を締め付けた。
 ズボンは特に酷かった。穿いた途端、お尻の縫い目が変な風に体に食い込んでしまって、歩こうとするとしただけでお尻の穴が痛くなった。
 龍は着心地が悪いのや痛いのをがまんして、走り出した。
 とにかくお墓から離れたかった。
 闇雲に池の周りの土手になっているところをぐるりと走る。でも、彼は元来た取水口のあたりには戻らなかった。土手が一段高くなっている方へ駆けて、草の根っこを掴みながらよじ登った。
 そっちに何があるのかはぜんぜん知らなかったし、見当も付いていなかったのだけれども、なんとなくその方が良いような気がしていたのだ。
 そしてその「なんとなく」は、ほんとうになんとなくだけれども正解だった。
 土手を上りきると、そこには太い道路があった。何台ものトラックがすごいスピードで行ったり来たりしている。


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2015/09/26update

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まろやか連載小説 1.41
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