夏休みの前から夏休みの終わりまでの話。 − 【29】

の家族は女の子だと思っているその子は、自分ではどちらだと思っているのだろうか。
「あの、ひぃちゃん……じゃなくて、ヒメコさんにお礼を言いたいんですけれど。服のこと、貸してくれてありがとうって」
 龍が言うと、Y先生はちょっと考え込んだ。そして、
「君に会わせて良いかどうか……」
 などという、なんだかよくわからない言葉を口の中でモゾモゾ言った。
 何故先生が悩んでいるのか、龍にはさっぱり判らなかった。彼は言葉を自分なりに選んで、
「ヒメコさんが会いたくないって言ったら、会いません。でもどうしてもお礼が言いたいです」
 頭を下げた。


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2015/09/26update

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まろやか連載小説 1.41
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