夏休みの前から夏休みの終わりまでの話。 − 【34】

もりなのだけれど、「トラ」にはそう聞こえなかったようだった。
 すぼめていた肩が、びくりと跳ねた。
「一応、生徒だから」
 下を向いて彼女はようやっと答えた。
 龍は仰天して、思わず大きな声を上げた。
「クラスは? 学年は?」
 「トラ」の顔がゆっくりと持ち上がった。
 青白くて小さな顔は、寂しそうに怒っていた。


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2015/09/26update

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まろやか連載小説 1.41
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