夏休みの前から夏休みの終わりまでの話。 − 【42】

もりだった。確かにすぐに帰ってきたけれど、車の中の温度の上がり方は、伯母さんの想像よりずっと急激だった。
 寅はすぐに救急車で運ばれたけれども、病院に着いたときにはもう息をしていなかった」
 暑いところに閉じこめられて、全身が真っ赤になって、汗が出なくて肌がカサカサに乾いて、呼吸をしていない「トラ」という名前の子供。
 狂乱して名前を呼んで、子供の身体を揺り動かす母親。
 龍の喉の奥はチリチリと灼けて、唾も飲み込めなくなっていた。


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2015/09/28update

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まろやか連載小説 1.41
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