意外な話 或いは、雄弁な【正義】 − 【14】

ちが別の誰かに似ているようにも思えました。
 どこかで見た、見知っている顔。
 城下の人々の誰かか?
 お城で働く人々の内の誰かか?
 剣友、学友の誰かか?
 否、否、否、否。そうではない。
 もっと、近しい、もっと見慣れた、もっと、もっと……。
 ふっと、御子の脳裏に浮かんだ顔がありました。その顔に御子自身が驚いて、思わず声に出してしまいました。
「御父様」
 途端、まばゆい光が御子の目玉に突き刺さりました。
 御子は思わず身構え、腕をかざして光を遮ると、瞼を細く開いて、光の差してきた方角を見ました。
 光の中に、人の影が立っていました。
 いや、立っている人影が、光を携えていた、と言う方が正しい。
 角提灯が高くかざされ、人影が長く伸び……。


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2015/07/28update

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まろやか連載小説 1.41
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