作戦篇 第二 − 【作戦篇 第二】読み下し文 【2】 BACK | INDEX | NEXT 2019/04/10 update |
孫子曰く、 凡そ兵を用うるの法は、馳車千駟、革車千乗、帯甲十万、千里にして糧を饋るときは、則ち内外の費、賓客の用、膠漆の材、車甲の奉、日に千金を費して、然る後に十万の師挙る。 其の戦いを用るや、勝つも久しければ、則ち兵を鈍らし鋭を挫く。 城を攻むればすなわち力屈き、久しく師を暴さばすなわち国用足たらず。 それ兵を鈍つからせ鋭を挫くじき、力を屈し貨を殫すときは、すなわち諸侯その弊に乗じて起こる。 智者ありといえども、そのあとを善することあたわず。 ゆえに兵は拙速なるを聞くも、いまだ巧の久しきを睹ざるなり。 それ兵久しくして国の利する者は、いまだこれあらざるなり。 ゆえにことごとく用兵の害を知らざる者は、すなわちことごとく用兵の利をも知ることあたわざるなり。 善く兵を用うる者は、役は再びは籍せず、糧は三たびは載せず。 用を国に取り、糧を敵による。ゆえに軍食足るべきなり。 国の師に貧なるは、遠く輸せばなり。遠く輸さば百姓貧まずし。 師に近き者は貴売すればなり。貴売すればすなわち百姓は財竭く。 財竭ればすなわち丘役に急にして、力屈し財殫つき、中原のうち、家に虚しく、百姓の費、十にその七を去る。 公家の費、破車罷馬、甲冑矢弩、戟楯蔽櫓、丘牛大車、十にその六を去る。 ゆえに智将は務めて敵に食はむ。敵の一鍾を食むは、わが二十鍾に当たり、𦮼秆一石は、わが二十石に当たる。 故に敵を殺す者は怒なり。敵の貨を取る者は利なり。 故に車戦に車十乗以上を得れば、其の先ず得たる者を賞し、而して其の旌旗を更め、車は雑えてこれに乗らしめ、卒は善くしてこれを養わしむ。 是れを敵に勝ちて強を増すと謂う。 故に兵は勝つことを尊ぶ。久しきを尊ばず。 故に兵を知るの将は、民の司命、国家安危の主なり。 |
Copyright Shinkouj Kawori(Gin_oh Megumi)/OhimesamaClub/ All Rights Reserved
このサイト内の文章と画像を許可無く複製・再配布することは、著作権法で禁じられています。