謀攻篇 第三 − 【謀攻篇 第三】読み下し文 【2】 BACK | INDEX | NEXT 2019/04/10 update |
孫子曰く、 およそ兵を用るの法は、国を全うするを上となし、国を破るはこれに次ぐ。 軍を全うするを上となし、軍を破るはこれに次ぐ。 旅を全うするを上となし、旅を破るはこれに次ぐ。 卒を全うするを上となし、卒を破るはこれに次ぐ。 伍を全うするを上となし、伍を破るはこれに次ぐ。 このゆえに、百戦百勝は善の善なるものにあらざるなり。 戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり。 故に上兵は謀を伐つ。其の次は交を伐つ。其の次は兵を伐つ。 其の下は城を攻せむ。 城を攻るの法はやむを得ざるがためなり。 櫓・轒轀を修め、器械を具うること、三月してのちに成る。 距闉また三月にしてのちに已る。将その忿りに勝たえずしてこれに蟻附すれば、士を殺すこと三分の一にして、城の抜けざるは、これ攻の災いなり。 ゆえに善く兵を用うる者は、人の兵を屈するも、戦うにあらざるなり。 人の城を抜くも、攻るにあらざるなり。 人の国を毀るも、久しきにあらざるなり。必ず全きをもって天下に争う。 ゆえに兵頓れずして利全くすべし。 これ謀攻の法なり。 故に兵を用るの法は、十なれば則ちこれを囲かこみ、五なれば則ちこれを攻め、倍すれば則ちこれを分かち、敵すれば則ちよくこれと戦い、少なければ則ちよくこれを逃がれ、若かざればすなわちよくこれを避さく。故に小敵の堅は大敵の擒なり。 それ将は国の輔なり。輔周なればすなわち国必ず強し。 輔隙あればすなわち国必ず弱し。 ゆえに君の軍に患うるゆえんのものには三あり。軍の進むべからざるを知らずして、これに進めと謂い、軍の退くべからざるを知らずして、これに退けと謂う。これを軍を縻すと謂う。 三軍の事を知らずして三軍の政を同じくすれば、すなわち軍士惑う。 三軍の権を知らずして三軍の任を同じくすれば、すなわち軍士疑う。三軍すでに惑いかつ疑うときは、すなわち諸侯の難至る。 これを軍を乱して勝を引くと謂う。 故に勝を知るに五あり。 もって戦うべきともって戦うべからざるとを知る者は勝つ。 衆寡の用を識しる者は勝つ。 上下の欲を同じくする者は勝つ。 虞をもって不虞を待つ者は勝つ。 将の能にして君の御せざる者は勝つ。 この五者は勝を知るの道なり。 故に曰わく、彼れを知りて己を知れば、百戦して殆うからず。 彼を知らずして己を知れば、一勝一負す。 彼を知らず己を知らざれば、戦うごとに必ず殆う。 |
Copyright Shinkouj Kawori(Gin_oh Megumi)/OhimesamaClub/ All Rights Reserved
このサイト内の文章と画像を許可無く複製・再配布することは、著作権法で禁じられています。