をかみしめて、唇を力一杯結ぶ。まぶたも痙攣するくらい精一杯閉じた。「Y君のことは、やっぱりY先生から聞いて知っていたのかい?」 校長先生の質問は、できるだけ遠くの音を聞こうとしている龍の耳には、よく聞こえなかった。 返事をしないどころか、そこから一歩だって動きそうもない龍を、校長先生はかなり心配したらしい。「麦茶を飲まないかい? 砂糖を溶かしたヤツが、校長室の冷蔵庫に入っているんだよ」 そう言うと校長先生はちょっと強引に龍の手を引っ張り、歩き出した。