写真は加工して使いませう(モノクロ編)

※注意※
このページにある画像は「加工例」であり「素材」ではありません。素材として利用したり、加工したりしないでください。
なお、使用した写真は「こちらのページ」にあります。キャラクターは「こちらの作品」の登場人物です。


漫画をはじめとするのモノクロ印刷物の背景として写真を使う場合は、写真に加工を施してから利用しなければなりません。
理由は……次の画像をご覧下さい。
桃園結義、だと思ってください←元の画像の背景に
とりあえず
写真をはめ込む→
写真をそのまま背景にしたCG

乗せる画像の絵柄にも依りますが、写真という「リアル」は、手書きの絵という「デフォルメ」とはなかなかなじみません。
特にモノクロ印刷するまんがの背景に写真がそのまま表示されていると、 背景と前景(キャラクター)の統一感がなく、世界観が破壊されてしまいます。

理想的な写真素材の利用法は、「写真を参考にして自分の手で背景を描き起こす」ことといえます。
しかし「背景を描く」ことと「人物を描く」ことは、ノウハウ部分に大きな違いがあるため、総ての人たちが「理想的な方法」をとることはできないでしょう。
とうぜん、私にもできません。(自慢出来ることではないですけれども)

そこで、写真素材は加工して、イラストとなじませて(違和感を軽減させて)使うことをお勧めします。
加工例1 グレースケールにする
グレースケールにした写真を背景にしたCG
グレースケール(グレーレベル)とは、カラー画像から色(RGB)の情報を抜いて、明るさだけを白から黒の多階調のグレーで表現した画像のことです。

元の絵が白黒のはっきりしたモノクロペン画(線画)の場合、グレースケールの「段階的な濃淡」との間に違和感が生じることがあります。

グレースケールの画像は、「白黒写真」という意味であれば間違いなくモノクロームですが、
「段階的な濃淡」の部分は色調の違う「何色もの灰色」で表現されているため、「単色」ではありません。
このため、特に「印刷屋さんに出す漫画の原稿」には不向きです。

加工例2 1ビット(モノクロ)に減色する
「近似色」で減色した写真を背景にしたCG
「近似色(閾値法)」で減色。
明るいところは真っ白に、暗いところは真っ黒になる
モノクロコピー機での複写、あるいは
ファクスで送信されてきた画像のような見栄え
「パターン化」で減色した写真を背景にしたCG
「パターン化(組織的ディザ法)」で減色。
明るさの濃淡をドットの密度で現す。
いわゆる「網掛(あみかけ)」の処理。
新聞の写真みたいな雰囲気になる。
元の写真によってはちょっと見づらくなるかもしれない。
「誤差拡散」で減色した写真を背景にしたCG
「誤差拡散法」で減色。
明るさに応じて動的に黒で現す比率を変えて表示する減色法。
左の二つの方法の中間のような画像になる

前出の通り、グレースケールの画像は、「段階的な濃淡」の部分を色調の違う「何色もの灰色」で表現しているため、厳密な意味では「単色(モノクロ)」ではありません。
この「段階的な濃淡」を限界まで減色し、明るさを「真っ白」と「真っ黒」の二段階にすると、ペンで書かれた線画と同じ濃淡のない白黒の画像となります。

減色の方法はフォトレタッチソフト・画像加工ソフトによって色々ありますので、
前景に置く画像の絵柄と見合った方法を選ぶとよろしいかと存じます。

加工例3 エッジ(輪郭線)を抽出する
輪郭線を抽出した写真を背景にしたCG

減色して白黒にした場合、元の画像の「影の付き方」がそのまま出てしまいます。
場合によっては「人物の影の付き方と背景の影の方向が違う」というちょいと不都合な画像になってしまいます。
そういうときに使えそうなのが、「輪郭」を抽出するという方法。
こうすると「塗り絵の線画」に近い状態になります。
輪郭の「中」などにベタ(黒い塗りつぶし)や効果線を補足できますので、より不自然さの少ない画像を作れるかと存知ます。

と、いうわけで、写真を「背景」として使う場合は、「前景」に置く物にあわせた加工をすることをお勧め致します。
写真加工の薦めカラー編へ
戻る