用間篇 十三 − 読み下し 【2】 BACK | INDEX | NEXT

2019/10/06 update
孫子曰く、凡そ師を興すこと十万、出征すること千里なれば、百姓の費え、公家の奉、日に千金を費ついやす。
内外騒動し、道路に怠り、事を操るを得ざる者七十万家か、相守ること数年にして、以って一日の勝を争あらそう。
而るに爵禄百金を愛みて、敵きの情を知らざる者は、不仁の至りなり。
人の将に非ざるなり、主の佐けに非ざるなり、勝の主に非ざるなり。
故に明君ん・賢将の動きて人に勝ち、成功の衆に出ずる所以の者は、先知なり。
先知なる者は、鬼神に取る可からず、事に象る可からず、度ど験みす可からず、必ず人に取りて、敵の情を知る者なり。
故に間を用うるに五有り。
因間有り、内間有り、反間有り、死間有り、生間有り。
五間倶に起こりて、其の道を知ること莫き、是を神紀と謂う。人君の宝なり。
因間とは、其の郷人に因りて之を用う。
内間とは、其の官人に因りて之を用う。
反間とは、其の敵間に因りて之を用う。
死間とは、誑事を外に為し、吾が間をして之を知らしめて、敵の間に伝うるなり。
生間は、反り報ずるなり。
故に三軍の事、間より親しきは莫く、賞は間より厚きは莫く、事は間より密なるは莫し。
聖智に非らざれば間を用うること能わず。
仁義に非らざれば間を使うこと能たわず。
微妙に非らざれば間の実を得ること能たわず。
微なるかな、微なるかな、間を用いざる所ところ無し。
間事未だ発せずして先ず聞こゆれば、間と告ぐる所の者とは皆な死す。
およそ軍の撃たんと欲っする所、城の攻めんと欲っする所、人の殺さんと欲っする所は、必ず先ず其の守将・左右・謁者・門者・舎人の姓名を知り、吾が間をして必ず索めて之を知らしむ。
必ず敵人の間の来たりて我を間する者を索とめ、因りて之を利し、導きて之を舎す。
故に反間は得えて用う可きなり。是に因りて之を知る。
故に郷間・内間得て使う可きなり。是に因りて之を知る。
故に死間誑事を為して、敵に告げしむ可し。是に因りて之を知る。
故に生間期の如くならしむ可し。
五間の事、主必ず之を知る。
之を知るは必ず反間に在あり。
故に反間は厚くせざる可からざるなり。
昔、殷の興こるや、伊摯、夏に在り。
周の興こるや、呂牙、殷に在り。
故に惟明君・賢将のみ能く上智を以って間と為す者にして、必ず大功を成す。
此兵の要にして、三軍の恃みて動く所なり。
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