TUNAMI − 魚 【1】 BACK | INDEX | NEXT

2014/09/20 update
 海岸線が遠くへ去っていった。
 こんなに早く引く潮は、今まで誰も見たことがない。
 魚たちも初体験だったのだろう。波に乗りきれなかった群れは、濡れた砂浜の上で呼吸を封じられ、もがき、死んでいった。
「今夜は魚のスープね」
 スカートの裾を広げて、女が言った。
「市場に持っていけば、いくらかになる」
 男がバケツを持って駆け出した。
 人々は息を弾ませ、争って魚を拾い上げている。
 目の前にあるのは白く湿った砂。頭の中にあるのは幸せな食卓。
 水平線の向こうでせり上がる茶色い水など、彼らには見えなかった。
 やがて波を避けきれなかった人々は、濁った水の水の中で呼吸を封じられ、もがき、死んでいった。
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桜〜SAKURA〜

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「死体」

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まろやか連載小説 1.41

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