九變篇 第八 − 【九変篇 第八】読み下し文 【2】

孫子曰く、
凡そ用兵の法は、将、命を君より受け、軍を合わせ衆を聚むるに、
圮地には舎ること無く、
地には交を合わせ、
絶地には留まること無く、
囲地なれば則ち謀り、
死地なれば則ち戦う。
塗に由らざる所有り。
軍に撃たざる所有り。
城に攻めざる所有り。
地に争わざる所有り。
君命に受けざる所有り。

故に、将、九変の利に通ずる者は、兵を用うるを知る。
将、九変の利に通ぜざる者は、地形を知ると雖も、地の利を得ること能わず。
兵を治めて九変の術を知らざれば、五利を知ると雖も、人の用を得ること能わず。

是の故に、智者の慮は、必ず利害を雑う。
利に雑うれば、而ち務は信なる可し。
害に雑うれば、而ち患いは解く可し。
是の故に、諸侯を屈する者は害を以てし、諸侯を役する者は業を以てし、諸侯を趨らす者は利を以てなす。

故に用兵の法は、その来たらざるを恃むこと無く吾が以て待つこと有るを恃むなり。
其の攻めざるを恃むこと無く、吾が攻む可からざる所有るを恃むなり。


故に、将に五危あり。
必死は殺さる可き也。
必生は虜にさる可き也、
忿ふん速そくは侮らる可き也。
廉れん潔けつは辱めらる可き也。
愛民は煩わさる可き也。
凡そ此の五者は、将の過ちにして、用兵の災いなり。軍を覆し将を殺すは、必ず五危を以てす。
察せざる可からざるなり。



2019/04/10update

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