【覚醒編】 − 何もない日 【5】

、今すぐ16になるのは無理だぜ」
「そんなこと、判ってます!」
 ブライトの言うことは正しい。
 涙がこぼれそうになるのを、エルはじっと堪えていた。
「弱い自分が、それでも独りで戦おうってのが、そもそも間違ってるってのも、判ってるか?」
 正論が、エルの瞼の堰を打ち砕いた。涙が滝となって頬を伝い、大地に落ちる。
「泣くな」
 ブライトは視線を逸らした。
「俺は女の涙に弱い。泣いてる女を見ると、無性に助けたくなる」
 無精ひげの中の口元に、微笑みが見えた。


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2014/09/26update

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まろやか連載小説 1.41
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