、弟同然に扱っているので、義娘の王索は簡雍を叔父として敬っている。
歯切れの好い返事を聞いて、簡雍は薄目を開けた。
「さっきの計算だがな、間違っているぞ」
「は?」
王索はきょとんとした目で簡雍を見た。周囲の者の視線も、全て彼に集まる。
視線の中心で、簡雍はゆっくりと上体を起こした。そして欠伸を一つしてから言った。
「翼徳が一年間に腹ン中に捨てちまう酒は、兵千余りを三年間飢えさせる。百人じゃ利かねぇよ」
簡雍に視線を浴びせていた者すべてが爆笑した。
ただ一人、張飛を除いて。
かくして禁酒令は発動し、違反者には十杖以上の棒罰が科せられる事と相成った。