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[その他小説]薤露行(かいろこう)
作家名:夏目漱石
初出:明治38年11月「中央公論」

アーサー王伝説を元にした短編。5章構成。
アーサー王と騎士達は北方で行われる槍試合に出るためカメロット(キャメロット)の居城を後にする。
留守を守る王妃ギニヴィア(グィネヴィア/ギネビア)の元へ、怪我を理由に王達と別行動をしたランスロットが現れる。
二人は道ならぬ恋をする仲だった。
ギニヴィアが不吉な夢を見たと語るのを聞いたランスロットは、不吉を感じながらも、王の後を追って旅立つ。(夢)
シャロットの台(うてな:高殿)に住まい機を織る女は、その目で外を見れば呪われるため、鉄鏡越しに世の中を見ている。
その鏡に、北へ向かう騎士が映る。女はそれがランスロット卿と認め、その名を呼ぶ。
気配を感じ取ったランスロットの目と、思わず窓から顔を出した女の視線は交錯するが、ランスロットはその場から急ぎ立ち去った。
砕けた鏡の鉄片と、千切れた織物の糸とが舞い上がり、蜘蛛の糸のように女の体にまとわりつく。女はランスロットを呪う言葉を叫び、死ぬ。(鏡)
アストラットに立ち寄ったランスロット。
馬上試合に遅れたのを恥た彼は、正体を隠して試合に出ようと考え、城主の息子から武具を借り受ける。
城主の娘エレーンは彼に恋心を抱く。父や兄は諦めさせようとするが、エレーンは思い断ちがたく、騎士元へ行くと、赤い布を贈り、愛の証として身につけて欲しいと懇願する。
この布と借りた武具によってによって正体を隠せると考えたランスロットは、この申し出を受ける。
ランスロットはエレーンに「戻るまで楯を与って欲しい」と告げ、試合へ向かう。(袖)
王と騎士達がカメロットに帰還する。しかしランスロットの姿はない。
ランスロットが「美しき少女」から贈られた赤い布を身につけ戦っていたとアーサーに聞かされたギニヴィアは、嫉妬の念に駆られる。
そこへモードレッド卿が現れ、王の前でランスロットとギニヴィアの不義を告発する。(罪)
馬上試合で傷を負ったランスロットは、熱に浮かされて姿を消す。
アストラットのエレーンは戻ってこないランスロットに焦がれるあまり、衰弱して死ぬ。
遺言により亡骸はランスロットへの文と数多の花々と共に小舟に乗せられ、川に流される。
舟はカメロットの水門で止まり、城内から人々が集まり来る。
エレーンの持っていた文を読んだギニヴィアは、彼女が「美しき少女」であると気付き、涙を流した。(舟)

ちなみにこの作品のタイトルは、漱石自身の解説によれば、
「題は古楽府こがふ中にある名の由に候。ご承知の通り『人生は薤上の露の如くかわきやすし』と申す語より来り候。無論音にてカイロとよむつもりに候」
だとか。(2011/03/08(Tue) 20:01)