そうして、ピエトロが知っている出口とはまるきり違う方向へ歩き出す。
今度はピエトロがあわてる番だった。
「待ってくれ、僕はギネビア様に君たちが舞踏会に出てくれるように説得しろと言われて来たんだ」
二人の足が止まった。互いに顔を見合わせて、同時に肩を落とす。
「それが君を更迭しない条件ですか?」
エル・クレールの問いに、ピエトロが蒼白顔で頷く。
「あのオヒメサマ、俺らのことまるきり信頼してねぇな」
力無く天井を仰ぐブライトの落胆しきった声を聞き、エル・クレールは
「ギネビア殿もお人の悪いこと」
仕方なさげに苦笑いした。