の幼さで、飛跳ねてはしゃいだ。
瞳は大きく見開かれ、口元も大きく開く。
さながら、大好物を目の前にしているかのような表情だった。
「ボク信じる。チカラがなんていっても、ボクはシロネンさんの味方するからね!」
…ボクの意見を否定することは許さない…優はそういう意味合いのこもった口調で言い、そういう意味合いの輝きを帯びた目で主税を見上げた。
主税は肩を落とし、大きくため息を吐いた。
はしゃぎ回る優にシロネンが同調しているのも、彼の気分を重くさせている。
ちらりと、白ずくめの方を見た。
彼女…だと思われる…は、背を向けて洞窟の奥へ向かって歩いていた。
「待ってくれ、君は…」
「どうするかは、あなたが決めることです。私の意見も、シロネンの言い分も、あなたにとっては『材料』に過ぎない」
「それは判っている。ただ…君をどう呼んだらいいのかだけ教えてくれないか? 古い名で呼ばれるのが嫌だというのなら、新しい名を教えて欲しい」
一瞬、白ずくめの足が止まった。
「お好きなように。『白いの』でも、『ホワイト』でも、何とでも呼ばれるがよろしい」
「判ったよ、ホワイト」
主税が答えると、白ずくめは満足したように頷き、再び歩き始めた。
やがて、彼女の影は漆黒の中に埋没して、消えた。
序章・了