新しく開けられた野外への出口に向かって歩き出した。
新しい出口はしかし、その動く物体には小さすぎた。
強引に通り抜けた「それ」の背に梁が引っかかり、強引に歩を進める「それ」につられて柱がおれた。
一部分の倒壊に連鎖して建物そのものが歪み、軋み、崩れ始めた。
屋敷の主と、メイドと、来客達が悲鳴を上げた。披露宴会場の壁には亀裂が走り、天井からは埃が降り注ぐ。
人々はドアに殺到したが、ドアは彼らの避難を拒否した。屋敷に生じた歪みが、ドアを開かせないのだ。
窓も同様だった。開かない上に、割れたガラスを散乱させ、近寄ることすら拒絶している。
それでもパニックに陥った人々はドアに身体をぶつけ、ガラスで手を切りながら、脱出をはかった。
ドアを打ち破った者たちの上には天井が崩れ落ちた。
そして、窓から飛び出した者たちの目の前には、えぐれた大地とボロ雑巾のような二人の人間と小山のような不可解な化け物があった。