【覚醒編】 − 2.覚醒 【2】

……そんな……はずが……。生きたまま……『アーム』の力を……発動……」
 空気を揺らす2度目の爆発音がした。
 地鳴りがする。
 大地が揺れる。
 熱風が吹く。
 ルカの身体は、どろどろに融け、燃え上がり、灰になった。
『クレール』
 呼ばわる声に、彼女は足下を見た。
 赤く丸い石が、火山灰の中で輝いていた。
『クレール、我が娘よ』
 拾い上げると、それはまばゆく光って、形を消した。
「……父上?」
 左の腰が、暖かい。
 正邪を量る天秤の形の紋章が、そこで赤く輝いている。
『我が名は【正義】。釣り合わぬ錘を糾す者。正しき者を守る者』
 父の声はそれきり聞こえなくなった。
 クレールは天を仰いだ。
「やっぱりクレールは母上のような、穏やかで、優しくて、おしとやかな女王には成れません。……父上の『本当の仇』を討って、囚われた母上を助け出すまでは……」
 暗雲が蒼天を覆い尽くしてゆく。
「誰か、私に力を貸して」
 灰色の雨が、彼女の頬を伝って落ちた。


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2014/09/26update

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