※ 子の三つ
▲ 深夜零時三十分前後
※ 五助爺さんと垂氷のセリフ(東信濃訛)の標準語訳
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「矢沢の殿様に有難い御札を頂戴できると聞いて、大急ぎで(慌てふためいて)やって参りましました。どうか私を助けてやってくださいませ」
「先日、この五助おじさんのところの一番上の倅が急に死んでしまったので、お母さん(奥さん)がそれはもう泣いて泣いて、とうとう寝込んで起きることが出来なくなってしまいまして。あまりに可哀相なので、私の所で神様にお伺いたてましたら、簡単なことだ、矢沢のお殿様には諏訪の御社宮司様の神様が入っておられるから、お殿様から御札を頂ければ、たちまち治るでしょう、と仰せになられました。そこで、矢沢のお殿様を探したら、こちらにいらっしゃるというので、慌てて参りましたのでございます。私の神様の言うことに間違いはございません。殿様、一枚拵えて(作って)ださいませ」
※ 二時辰
▲ 凡そ四時間
※ 十六の面
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能面の一種。若い武将の顔立ちを表したもの。十六中将とも。
美貌の若武者を演じる際に用いる面で、女面のように上品な顔立ちをしている。
源平一ノ谷の合戦で源氏方の武将・
熊谷直実に討たれ没した平家の公達・
平敦盛歳の姿を写した面であるため、十六と呼ばれる。