、むしろご褒美だ。なんて光栄なのだろう……その瞬間、ピエトロはそう思った。
だが。
差し出されたギネビアの手を握ったとき、彼は気付いた。
ギネビアが自分を見ていないことに。その視線は、相変わらず窓のそのまた向こうを見ているこに。
「あの方に邪険にされるのには、なれているつもりだったのですけれど……」
ギネビアの唇が小さく動いた。あまりに小さすぎて、その声はピエトロの耳に入らなかった。
「あの、なんと申されましたか?」
「いいえ、何も」
暗く沈んだ瞳で、彼女は答えた。
その寂しげなまなざしのまま、彼女は口元に笑みを浮かべた。
-了-