殿様からこの屋の管理を任されている、家来の誰ぞか? この離宮の掃除をし、建物の繕いをする役目を仰せつかった者が居り、主命によりここに寝泊まりしているということは、充分考えられることでした。 御子は安堵の息を吐きました。父親である殿様の家臣であるならば、自分にとっても家来であろう。ならば、何の怖れることも無い。 そう考えたすぐ後に、御子はにわかに不安を覚えました。 この忠義者の家来が……。