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いや、俺思うんですけどね。
すっごい人数のグループを引っ張ってるのに、まるで、
「あれ? ちょびっとの人間を引率してるのかなー」
ってぐらいにイイカンジにまとめられてるって時は、イイ案配にチーム分けができてるってコトなんじゃないっすかね。
で、すっごい人数でバトってるのに、少ない人数で戦ってるみたいに兵隊さんがスムーズに動けてるっていうのは、合図とか連絡系統とかのモロモロの決め事がビシッと填まってるってコトなんじゃないか、と。
グループ全体のメンバー全員が、敵さんチームに上手いこと対応して、負けずにいられるって事は、奇策と正攻法を、その場に応じてちゃんと使い分けられているから、なんですよね。
中までカッチカチな石ころを、殻の薄い卵にぶつけちゃったら、割れますよね、ぐしゃっと。
戦争するならそういう風に、相手の防備――あ、コレお城の塀の高さとか、相手の盾の硬さとか、そういうことだけじゃなくて、国や軍隊での人間関係や外交やら、そういう全体的な防御力のコトですけども――その卵の殻みたいに手薄なところ、つまり「虚」を、自分達のガチガチに強い攻撃――こっちも武器とか兵隊さんの強さだけじゃないですよ。作戦や政治力まで含めた国力ね――その中心まで頑丈な「実」の力をぶつければ、ぐしゃっとイッちゃうって寸法ですよ。
戦争って言うのは、まあ敵サンと正面から対峙した状態なワケですけども、勝つには相手がこれっぽっちも考えつけないような奇をてらった作戦が必要なんですよね。
奇策上手な人は、行けども行けども果ての無い天地のように、干上がらずに水がドンドン流れてくる大河のように、次々に作戦を考えちゃう。
もうネタ尽きちゃったかなーなんて思っても、お日様が沈んでもまた昇ってくるよーな、お月様が欠けていってもまたまん丸に満ちてくるよーな感じで、すーぐ新しいアイディアが出てきちゃう。
あ、これそうとうスベってるぞって時でもすぐに復活出来るのは、冬が来て草木が枯れちゃっても、じきに春が来て芽が吹いて、夏にはガンガン育っちゃうし、秋には大収穫祭ができちゃうのとの同じ事ってす。
これ、例え話になっちゃうんですけどぉ。
中華な音楽の音階は、宮・商・角・徴・羽、の五段階で、これ五声っていって、ドレミで言うとド・レ・ミ・ソ・ラなんですけどね。この五つの音階しかないのに、音楽家さんはこれを組み合わせを変えて、いろんなフレーズを作っちゃう。おかげで俺達はいろんな名曲が聴けちゃう。
中華な色の基本色は、青・赤・黄・白・黒の五色……ああ青は緑のコトですね。四聖獣の青龍ってのは、緑色だったりするんですけども、まあそれは置いといて。
ともかく、基本色は「CMYK+白」の五色しかないのに、絵描きさんはこいつを組合わせたり混ぜたりして、変幻自在の色使いをする。だから、俺達は凄い名画をたくさん見られちゃう。
中華な味の基本は、辛・酸・鹹・甘・苦の、これまた五つでこれが五味。この五つの味を料理人さんはイロイロ組み合わせを変えて、いろんな味を生み出してくれる。そして、我々はそりゃもう美味しい料理を鱈腹頂戴できちゃう、と。
ところで、戦い方には奇と正、つまりアドリブと台本通りの二つしか無いんですけども。ええ、二つしか無いけど、だからって簡単てことじゃない。この二つをいろんな分量で組合わせて、変化させて行くと、できあがりにリミッターがなくなるんですねー。
石を削って真ん中に穴を開けたまあるい環、ご存じでしょ? あれには端っこってものがない。
奇策と正攻法の組合わせもそういう物です。
セオリー通りに進んでるときにちょっとイレギュラーな動きをするから、敵サンチームは対応出来なくなる。乱れてるところに今度はドカーンと正攻法でぶつかってみる。敵サンチームはこっちがこのまま正攻法で来るのかアドリブが来るのか判らなくなって、もっと混乱しちゃうでしょーね。
こういう、どこまで巡っても始めも終わりも順序もない無限大の限度が判る人がどこにいます? って話です。
ところで、水がめっちゃ激しく速く流れると、石ころどころか岩だって、ドンブラこっこと漂わせちゃう。いや、勢いがあるってゴイスーですよね。
鷹とか鷲とかの猛禽類ちゃん達は、目にもとまらない速さで舞い降りて、掴んだ獲物の骨を一気にポキッてやって仕留めちゃう。こういうタイミングバッチリなのって、めっちゃ気持ちいっすよ。
何が言いたいかというとー、戦争の上手い人は、勢いを撓めて溜めて貯め込んで、ここぞって瞬間の一瞬でぶっ放すンんだ、ってことです。
弩の弦をめいっぱい引くのにはちょいと時間とお手間がかかるけど、引金を引くのは一瞬。ちょっとのお手間と一瞬の動作で、めっちゃ強い矢が敵めがけてギュイーンと飛んでいく、と。ヘッドショットで一丁アガリ、とね。
実際にドンパチおっ始めちゃうと、そりゃどうしたって紛紛紜紜な状態になることだってありまさーね。でもそういうときだって取り乱して慌てちゃぁいけません。
敵も味方も入り交じって渾渾沌沌な状態になったとしても、ちゃんと隊列を整えて、どこから攻められても対応出来るようにしておけば、負けることないですもん。
混乱っていうのは秩序から生まれるもンです。整ってるのが崩れるから混乱するんで。逆に混乱を整えれば秩序になります。
怯えは勇敢さから生まれちゃいます。勇気がありすぎて無謀に突き進むと、大体怖い思いをしますからね。これも、怯えながらでも進んでいければ、逆に勇気が湧いてきちゃったりしますし。
弱点は強さの中から生まれちゃうンです。ものすごく強い物でも、横っちょからちょいと突っついたら、案外ポッキリいっちゃったりしますよ。でも弱みに見えてた物が、使い方次第で強みになることだってある。
なんでも良い状態から悪い方に転ぶかも知れないし、悪い状態も持って行きようで好転出来るってコトで。表裏一体ですよ
そこで、ですよ。
チームが混乱するかビシッとまとまるかは、チームの編成で決められます。
ガンガン行けるかビビりまくるかは、そのときの勢いが決めるんです。
強みか弱みかは、チームの態勢で決まっちゃいます。
つまり、物事をイイ方向に持ってくのは、リーダーのお仕事ってことですね。
お仕事上手で煽り上手なリーダーは、敵サンチームに向かって、わざと弱そうな、ビビりな、混乱した「フリ」をして見せつけちゃいます。
すると、敵サンチームは、
「お、あいつら弱っちいンじゃね?」
って思い込んで、ホイホイ誘い出されちゃう。
おびき出しておいて、いかにもお得お得そうな「餌」を撒けば、
「こりゃ取らなきゃ損するわ!」
って勘違いして、ドッと食らいついてくれる。
こうやって敵さんチームが「お得な情報」で釣り出されたその先では、自分達チームが準備万端ウエルカムで待ち構えているワケ。ガッポリ総取り頂きます、と。
故に、善く戦う者は、之を勢に求め、人に責めず。
おっと。また名言が飛び出しちゃいましたよ、コレ。
ちゅうワケで、戦争の上手い人は、勝ち負けを「全体の勢い」に求めちゃいます。部下や仲間や勿論で自分の「個人的な力」には頼ったりしない。戦争は個人競技じゃないですもん。
確かに人材は選び抜きますけど、それは勢いに乗るための準備ですからねー。選び抜いた人材は、勢いのビッグウエイブを乗りこなせるように配置をしちゃう。
勢いの乗りこなし方が上手いリーダーが、戦場で兵隊さんを動かすってーところを見てると、コレ面白いですよー。まるで坂道の上から丸太や石ころを転がしてるみたいなんだもん。
丸太も石ころも、平らなところでは止まってますけど、急な坂に置くと動き出すますよね、ごろごろっと。ま、四角く切り出してあればウンともスンともビクとも動かないけれど、丸く加工してあればそりゃーもうゴロンゴロン転がっちゃう。
つまり、兵隊さん達がイイお仕事ができる「勢い」っていうのは、まん丸で頑丈な「石」をアルプスの山の上に持ってって――当然、あらかじめその下にぶっ壊したい「卵」を引きずり出しておきーの、で――あとは「石」を一気に転げ落としちゃう、そういう感じのヤツなんですよねー。
これ、オレの考えなンすけどね。
昔の、戦争が上手かった先輩方っていうのは、まず敵さんチームがこっちを攻撃しても絶対勝てないぐらいまで準備万端に整えといて、それから敵さんチームがボロ出すのを待って、
「よっしゃ、今ここ突けば勝てる!」
ってチャンスを見逃さないから勝てたんですねー。
それでですネ、こっちが「敵は絶対勝てない」って状況に持ってくのは自分達チームのお仕事なんすけど、「今だ、チャンスだ」って状況を作ってくれるのは敵さんチームのヤラカシなんすよね。
つまり、マジモンで戦争が上手い人なら「敵が絶対勝てない=自分達は絶対負けない」ってな状況を自分達で作るコトはできちゃうんだけど、「自分達が絶対勝てる」って状況を自分達だけで作る事は、どんな天才でも出来ないンす。
そー言う訳で、
「この調子なら、勝てちゃいますよ」
って予測は言えちゃうけど、
「何時勝つの?」
って訊かれても
「今でしょ」
って答えたりはできません。そこまのでお約束はムリっす。勘弁してちょーだい。
ところで、「敵に負けない」っていうのは守備力の堅さで決まっるコトなんですけど、「敵に勝つ」ってのは攻撃力の強さで決まるコトなんですよ。
守備固めがしっかりしてれば、チームに余裕が出ますヨ。守ってるときの戦線ってーのは「敵が攻めてくるライン」だけなんで。ぶっちゃけ前の狭い範囲だけに集中しさえすれば良い訳でー、そうなると直接ドンパチやる兵力はあんま要らないってーことになります。
ところがいざ攻撃に出ると、余裕がなくなっちゃうんです。
例えば陣地から出て攻めに行っちゃったとしましょうよ。自分チームの前は全部的。隊列が横に広がっちゃったら広がった分だけ全部「最前線」になる。伏兵なんかいたら、横とか、ヘタすると後ろも戦線になっちゃう。そうすると、守備では充分だった兵力でも足りなくなっちゃうの。
昔の、守備上手だった先輩方は、
「地面の下に隠れてるんじゃね? 攻める隙がねーぞ、これ」
ってぐらいがっちり守ってたそーですし、攻撃上手な先輩方は、
「え? どっから来たの? てか、速過ぎね? もしかして飛んで来た?」
ってぐらいの速さで、敵の考えもつかないとこから攻めちゃったそーですよ。
そうやって、自分とこの兵隊に被害が出ないようにしてたからこそ、完璧な勝利ってヤツをゲットできた、ちゅー訳です。
そうそう、将軍とか軍隊の皆さんとかは戦争のプロな訳ですから、民間人が、
「アレをソウして、コウしたら勝つ」
なんて、お茶の間でごひいき球団の監督ぶるみたいな訳知り顔で言っちゃってるのと同じような方法で勝っちゃったんじゃ、ベスト・オブ・ベストな勝ち方って言えないっすよね。
それと、みんなが、
「イヤすげー格好いい勝ち方だったよねー」
って超絶褒めてくれちゃったりするような勝ち方も、もしかしたらベストなやり方じゃなかったのかも知ンない。
だってそーでしょ?
例えばー、
「髪の毛をちょっと抓んで持ち上げられます」
っていう腕力の人を「力持ち」っていいます?
空を見上げて、
「太陽が見える、月が見える」
っていう人は「目利き」ですかね?
耳穴に指突っ込んじゃいたくなるような大音量のゴロゴロドシャーンを、
「今雷が鳴っのが聞こえたよ」
という人を「耳聡い」っていっちゃいます?
いわないでしょ? それ、普通の人だもん。
凄いっ人、っていうのは、常人にはどれくらい凄いことなのか判らないくらい凄いことをやる人のことっすよ。
普通の人の思いつきで戦争やったんさい?
敵さんチームの普通の人も同じようなこと思い付いちゃって、それがどーんとぶつかったとして、好くて引き分けで終了。
もし、向こうに普通の人じゃない人がいたら、どーなりますかねぇ……。
あー、コワイコワイ。
昔の凄い戦争上手の先輩方っていうのは、ぶっちゃけ、
「勝ち易い時に戦ったから勝った」
んですよね。
そういうと、なんかチョロいように聞こえるけど、そうじゃないんだなぁ。
相手が自分達に負けるように段取りを付けて、絶対勝てるって判った時に戦った。
そうやって「勝ち易い時を作った」から、するっと勝っちゃったんです。
そういう上手い人たちは、却って名前が知れ渡ることもなくー、当然伝説が残されたりもしなかったんですねー。本人にとっても周りの人にとっても「戦えば勝つのが当前」になっちゃっますからね。うーん、戦争芸術家というよりは戦争職人だった感じかな。
当然でしょ? 先輩方は名前残すのが目的じゃないんですもん。
勝ち易いように段取り付けるのは通常営業、勝利するのが日常業務。国家安寧が営業目標。だから勝ったからって、とりたてて騒ぐようなことじゃなかったんですよ。
ともかくも、ですね。名前も伝説も残さなかった凄い先輩方は、絶対負けないように足場を固めて、敵さんチームのヤラカシを見逃さずに攻め立てて、勝った訳です。
是の故に、勝兵は先ず勝ちて而る後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いて而る後に勝を求む。
……って、また名言出ちゃったかな。
つまりですね。
勝つ人は、勝つと確信を持って戦うから、勝つ。
負ける人は、戦った結果の勝ちを目指すから、負けちゃうんです。
戦争が上手いリーダーは、実際の戦争をやっちゃう前に、まず地元の政治をしっかりやる。
地元民の心をがっちり掴んで、王様と一緒に一つの目標を目指して走ってくれるように、国内の地盤をしっかり固めておかないとね。
その上で軍のルールをかっちりきっちり徹底させちゃう。
そうすれば兵隊さんもしっかりかっきり動いてくれますし。
こういう戦争を始める前の政治力ってヤツが、戦争が始まってからの勝ち負けを決めちゃいますからね。
戦争ってのは、度、量、数、稱、勝、の五つ成り立ってるようなもんです。
距離を測る。物資を量る。兵力を数える。相手と比較する。で、勝敗を見極める、と。
まず、自分の国や敵の国の広さ、戦場までの距離なんかを、きっちり計っておきましょう。
距離や規模が判ったら、そこまでチームを動かしたときに必要な物資の量が算出できちゃう。ここを何日かけて移動すると、一人分のご飯はコレくらいかな、とか。どれくらいの期間ドンパチ続いたら、補給物資はどれくらいいるかな、みたいなのね。
必要な物資の量が判ったら、動員出来ちゃう兵隊や戦車の数が判ってくる。
自分チームの動員力が判ったら、敵さんチームの兵力と比べっこする。
比べっこができたら、どっちが勝つかが判る。勝つと判ればやるし、負けそーだと判れば兵隊を動かさないで、他の手段を考えちゃうの。
計量大事、比較大切……って言いますけど、ただ測って比べただけじゃダメっすよ。
例えばー。おにぎり三個とご飯粒三つあったとしましょーよ。
これ比べたら、おにぎり三つの方に天秤が傾くに決まってるでしょ? 物理法則は変えられないですからね。
「だからおにぎり三個の準備をしましょう」
って、冷静に判断するところまでが勝つチームの物差。
負けるチームは、ちゃんと測ったとしても、
「いや、ご飯粒三つでおにぎり三個の天秤を傾かせることが可能だ!」
と考えちゃう訳。物理的にムリですよねー。
さてさて、イロイロ量って計算して比べて、いよいよ「これ戦争すれば勝てちゃうぞ」って判ってから、実際に兵隊さんを集めてドンパチおっ始めるんですけども。
始めるまえから勝てるってわかってるもンだから、みんな凄い勢いで突き進んでくれちゃいますよ。
ダムの水をバーっと放水するみたいな勢いでね。この形まで持って行くのが大切なんですよ!
いや、オレ思うんですけどね。
戦争で一番オイシイ勝ち方っていうのは、相手の国力を全然消費させないでまるっゲットしちゃうことなんじゃないかなーって。
相手の軍隊を無傷で降参させちゃうのがベストで、全滅させちゃったら意味が無い。
旅団はまるっと降参させちゃう方がよくて、コレ壊滅させたらだめ。
百人ぐらいのチームもまんま降伏させるのがよくて、撃破しちゃマズイ。
五人ぐらい固まってきたらそのまま仲間にしちゃうのがよくて、この人達を蹴散らしちゃ巧くない。
タイセツなコトなので、五回ぐらい似たようなこと言いました、っと。
つまり相手の国土や国民や軍隊や財産や、なんやかんやが、ボロボロになっちゃってたら、せっかく勝って手に入れても、お徳感薄れちゃいませんか、と。
よーするに、百回戦って百回とも相手ボコりました、ってのは、実はベスト・オブ・ベストじゃないンですよ。
こっちが拳骨振り回すまでもなく、相手の人たちに「ゴメンナサイ」させちゃうのが一番良いの。自分も痛くないし、相手も痛くないもんね。損するところが一つも無い。
だから、一番イイやり方っていうのは、向こうが企んでること先取りして防いじゃうこと。
その次に良いのは、向こうが仲良くしてる人とこっちがもっと仲良くなっちゃって、向こうをボッチにさせちゃうこと。
それでもだめなら、仕様が無い。軍隊動かして相手チームを叩く。
あ、でも戦うっても、こっちから相手の城に攻め込んじゃうのは、ハッキリ言ってお勧めできないなぁ。もうそれ最後の手段だもの。ホンットーに他の方法がないときは仕方ないけど、マジ、やらない方が良いですわ。
だいたいお城を落とすには、こっちも櫓組んだり、??持ってきたり、工具とか機械とか用意したりしなきゃ行けないですもん。ちゃんと準備したら……そう大体三ヶ月ぐらいかかっちゃう計算。
そうやって準備が出来たら、地盤工事するんですけどね。相手のお城の側まで行って、塹壕掘ったり、土塁盛ったりで、これも三ヶ月ぐらい必要ですよ。
半年がかりで準備しないとダメなんだけど、偶に待ちきれない短気な現場リーダーがイラついちゃって、
「兵は拙速を(以下略)!」
みたいな生半可なこと言い出したりして、何の作戦もなく攻め込んで、兵隊さん達に城壁よじ登らせよう、なんてしちゃったりするんですよ。アリンコがお砂糖に群がるみたいな、割とカッコ悪い攻め方しちゃうの。
城方に取っては、
「確変大チャンス、キタコレ!」
ってやつで、バンバン狙い撃ちしちゃうでしょ。
石落としーの、矢の雨降らせーの、お湯ブチ撒けーの。
あ、酷いトコだと、お湯じゃなくっておかゆの熱いヤツ浴びせてきたりするんですよ、あいつら。
あれ張り付くもんだから、大やけど必死なの。冷めちゃってもベタ付く上にツルッツル滑るし。
あとは、ウンコとかオシッコね、アレを湧かして撒きやがんの。熱いわ、臭いわ、病気になる、でホントに悲惨なことになるんだ、これが!
こっちとら、クライミング中で右にも左にも上にも下にも逃げようがないってのに。酷いことするんだもの。マジ極悪。
……え? 経験談かって? それ、聞いちゃいます? 答えませんけど。
こういうコトされると、兵隊の三十三%は殺されちゃいます。その上、絶対に城を落とせない。そんなやり方じゃ絶対に無理。
で、これで死んじゃった兵隊、向こうの城兵に殺られちゃったってーよりは、味方の、駄目な現場リーダーに殺されちゃった感じ、しません? それマジ、浮かばれないよねー。
城攻めなんて損しかないもの、やっちゃダメっすよ。
つまりですねー、戦争が上手なリーダーって言うのは、敵を倒すっていってもドンパチやって勝つんじゃないンす。城だってこっちから攻撃仕掛けて落城させるんじゃないのね。
敵の国を倒すのに、そんな無駄な時間をかけない。
全部まるっと、パパッと頂戴しちゃう方法で天辺取っちゃうんですよ。そうすれば、兵隊さんは疲れない、こっちの損はこれっぽっちもない。
そういう「謀攻の法」、つまり「頭使って作戦勝ち」を狙っていきましょーよ。
そこで、戦争する時の基本のキなんですけども。
自分のチームが敵のチームよりも十倍ぐらいの兵力が――兵隊の数とか、兵器の数とか、あとぶっちゃけ戦費とか、全部ひっくるめたパワーね――それくらいパワフルに力の差があったら、敵をぐるっと囲んじゃう。
周り全部が強そうな敵ばっか、ってなったら、そりゃ戦う前に降参するでしょ? でしょ?
自分ちが敵ンちよりも五倍ぐらいのパワフルさなら、どーんと攻め込んじゃう。
五倍も多い敵が向かってきたら、大体は戦う前か、ちょっと戦ったぐらいで諦めて白旗上げちゃうと思うっすよ。
二倍ぐらいかなーって時は、手を出すんじゃなくて、手を回しちゃうの。向こうの仲間内とかお友達関係をチョキっと分断しちゃう。
仲間のまとまりがないわ、お友達も頼れないわ、って状態で、戦争する気にはならないもの。
イーブンなら戦っちゃってもいいかな。リスキーだけど、目一杯頑張る。
こっちのがちょい少ないときは、逃げましょう。モチ、逃げた後でこっちの体勢を立て直して、作戦練り直しましょう、って事で。
コレ絶対向こうのが強いよねーって時は、戦おうなんてこれっぽっちも考えちゃダメ。全力回避。まずドンパチにならないで済む方法を考えましょうよ。
メンツが少なくて弱っちいチームが強がってみせたって無駄。頭数多くて強いチームにには敵わない。捕まっちゃってエンド、ですもン。
ところで、北斗七星の柄の方の端っこから二番目の星の横っちょに、ちょこっと、ちっちゃい星がくっついてるの、ご存じっすか?
そう、死兆星……って、違いますって! いや、そーだけど、今日は違うンですって!
あれ「輔星」っていう名前が付いてるんですわ。
「輔」ってのは、荷車の荷台の壁のことっすね。荷物が落っこちないように荷台の四方を囲ってるアレです。
中華な星座の世界では、北斗七星ってのは天帝のお車ってことになってまして、その横っちょにいつもいる星だから、あのコは「輔星」って名前になった。
偉い人が車から落っこちないように、付き添って支えてるお星様、ってことですねー。結構重要な役目の星デスヨ、このコ。 昔の人は面白いことを考えるもんだ。
あ、この星の話そのものは、今日の兵法とはあんま関係ないです。ただの説明、予備知識、ってヤツ? みたいな。
で、閑話休題して本題。
将軍っていうのは、国や王様にとっての「輔」みたいなもンだと思って下さい。国が滅びちゃわないように、王様が座ってるトコから落っこちないように、体を張ってヘルプするのがお仕事ですからネ。
この輔を、車に乗ってる人、つまり王様がガッツリ信頼していて、どんなときにも仲良しな国、これもうめちゃくちゃ強い。
逆に、輔と王様の間に隙間風がピューピューしてるようだと、ハッキリ言っちゃってゲロ弱い。
それで、ですね。
王様は「信頼している将軍」が取り仕切ってる「軍隊の方針」に余計な口出ししちゃいけないンです。そんなコトしたら碌な事にならない。むしろ、大惨事発生しちゃう、みたいな。
特に、これから言う三つはホントにダメ。ダメ、絶対。
チームが前へ行っちゃ駄目なタイミングってときに「ドンドン行け」って言っちゃうのと、逆に、下がっちゃ駄目なタイミングで「帰ってこい」って言っちゃう。
こういうのを、軍隊に首輪付けて縻で縛り付けちゃってる、っていう。縛られてたら動けなくなっちゃうヨ。
シフト決めたり褒めたり叱ったりってのは、ジッサイ現場がを見てて、それぞれの人のコトがよくわかってる将軍のお仕事なのに、チームの事情や状態がワカンナイ王様がしゃしゃり出てやっちゃう。
こういうコトすると、兵隊さん達が誰の言うことを聞いたら良いのかわかんなくなって、混乱しちゃう。
現場の将軍が臨機応変に考えて出さなきゃいけない命令を、チームの指揮系統も戦況もまるっと無視して、現状がワカッテナイ王様が自分で出しちゃう。
コレやると、兵隊達は
「ウチの将軍様、もしかして王様に信頼されてななくなくない? 将軍の資格、ないンじゃね?」
ってなって、味方のことを疑うようになっちゃう。
こんな風に、身動き取れないーの、混乱しーの、仲間を疑いーので、もうチーム内がぐっちゃぐちゃになってるってー時に、他の国から、
「お、アイツんとこ、今ラリってンじゃん? ちょっと突いたら簡単にやっつけられるんじゃね?」
って、カジュアルに攻め込まれたら、どうなるか判りますヨネー?
つまり、セルフ炎上案件で自爆、ってことですよ。
結局、勝つためのポイントって、五つぐらいにまとめられるかなーって。
「ゴーゴー、ガンガン行っちゃえ!」
って時と、
「ステイ、ステイ、ダメダメ」
って時の区別か付ついた方が勝っちゃう。
メンツが多いときと少ないときでやり方違うって事をちゃーんと知ってて、それぞれの時にそれぞれの方法でヤれれば勝てる。
上の人と実際動く人が、おンなじ目標目指してがっちり団結してれば勝てちゃう。
相手さんチームがまだ全然準備出来てないうちに、こっちがは全部きっちり整えちゃって、ヘイヘイ、カモーンなんちって待ち構えちゃってれば勝ち確定。
とびっきり優秀な現場リーダーを王様が圧倒的に信頼する。そして現場のコトはぜーんぶ任せておいて、余計なコト口出ししない。そうすれば勝つ。
この五つがビクトリーロードの案内板っすね。
故に曰く、彼を知りて己を知れば、百戦して殆うからず。
あ、まーたオレ良いこと言っちゃったかも。
つまりですね。
相手の状態や内情をよーく知った上で、自分達の状況もよく理解していれば、百遍ヤっても心配ないです。
相手の実情がよくわからなくても、自分のことをよくわきまえてるなら、まあ勝ったり負けたりトントンかなー。
相手のことは全然知らない、自分の能力もこれっぽっちも解ってない? そりゃ何度やっても無駄ですよ。ホント、ダメ。絶対ダメ。
オレの考えなンすけどね。
戦争やるとなると、色々用意しないといけなくなるじゃないっすか。
モリモリに盛って、馳車は千台ぐらい必要かなぁ。革車も千台ぐらい欲しいし、ビシっとキめた兵隊を十万ぐらい集めとかないと。
糧なんかも、千里の彼方まで輸送しないといけなくなるから、その費用を捻出しないと、でしょ?
ビッグな《《花火》》を打ち上げちゃうンだから、ご近所サンへの根回しも念入りにして置く方が良いんじゃないかな?
あと、行った先で必要になる機材に資材、予備の車や甲も追加することになりますよねー。
これ全部揃えると……そうですねー、まあざっと一日一千金ぐらい使っちゃうかな。ざっくり概算で。
それくらい準備して、やっと《《十万人動員イベント》》が成り立つ感じ、みたいな。
そうやって準備万端整えちゃって始める戦争ですけど、ヤってる期間がだらだら長くなっちゃうと、これ大変。
全体的に見るとイイカンジに勝てそうなフンイキでも、実際動いてる兵隊はもーダルンダルンにだらけちゃって、やる気なんかはゴルゴリ減っちゃう。
そんなときに、
「向こうの城に攻め込んじゃって」
って命令されても、そりゃ無理ですよー。だって、やる気スイッチ【オフ】なんだもの。これ動けないでしょ。
あと、長いこと遠征すると、どうしたって外泊外食が続いちゃう。《《お外》》のご飯は高く付くから、お家の方だってお財布がスッカラカンになっちゃうし。
そんな、ヘロヘロの貧乏状態の時に、絶賛戦争中の相手の別働隊とか……もっと困っちゃうのは全然別の国なんかから、
「お、アイツんとこ、今くたびれてるじゃん? ちょっと突いたら簡単にやっつけられるんじゃね?」
って、カジュアルに攻め込まれたら、どうなるか判りますヨネー?
どんな超絶天才でも、そんなときにイイカンジの対策が打てる訳がないじゃないっすか。
故に兵は拙速なるを聞くも、未だ巧の久しきを睹ざるなり。
あっ、オレ今、イイ感じのこと言っちゃったカナ?
つまり、戦争で
「まだちょっと現場慣れしてないけど、チャチャっとやって上手くいった」
って話は聞こえてきても、
「プロがズルズル長引いた状態で成功した」
っていう現場なんて見たことがない。
戦争を無駄にズルズル長引かせて良いことあったっておハナシ、まず、オレ聞いたことないですもん。
戦争は「面倒くさくてお金がかかって、人はバンバン死ぬし、ヘタこくと国が滅ぶ」っていうマズイ部分をよく理解してる人じゃないと、「凄く上手くいくと相手の国の利権がまるっと手に入る」ってことのほんとの意味も判ンないんじゃないっすかね。
そーゆー「戦争のやり方がよくわかってるリーダー」は、戦争のために一回兵隊募集をしたら、二度目の追加募集をするようなヘマはしないし、本部に資材やケータリングの追加発注を三回もするようポカはしませんって。
ま、お金は自分のとこで用意するとして、食べるものは現地調達っすよ。あ、奪うんじゃなくて、ちゃんと買いましょう。そうやって兵隊が腹ぺこリンコにならないようにするの。
戦争やって国がビンボーになるってのの一番の理由は、機材とか材料とか食い物とかをわざわざ地元から持ち出して、遠くまで運んじゃったりしないといけないから、なんですよ。モノは持ってかれちゃうは、遠くまで運ぶ手間も負担させられるわで、残った地元民はどんどんビンボーになってっちゃう。
それから、基地とか駐屯地の近くって割とインフレになるンすよ。物資が品薄になっちゃうもんですから。それで物価だけが上がるから、何でも買うのが大変になる。で、一般人はもっと貧乏が加速して、キングボンビーになっちゃうの。
そーなると大変。兵隊さんを出す余裕がなくなる。だって、兵役ってのはつまり自分の体で払う税金、つまり血税ですもん。財産がないと税金は払えないしー。
で、遠征兵隊は足らないから兵力は下がるし、地元は貧乏でヘロヘロという状態に陥っちゃうのね。そうすると一般人の暮らしは、戦争する前と比べて、七割引の生活レベルまで落っこちゃうかもしんない。
いやぁ、王様だって他人事なんかじゃないんだから。
戦争が長引くと、現場から、
「戦車が壊れて、馬が逃げたんで、追加発注しまーす」
「甲冑とか矢弩、戟楯とか蔽櫓が、なんか足りないっぽいんですけどー」
「輸送用の牛車が欲しいでーす」
なんて注文がドンドン来るようになる。
そーすると、国家予算の……そーですね、ざっくり六割方はそっちに回さないといけなくなりますよ、多分。
ええ、六割引ですよ。戦争前の四割で生活するの、キビシーですよー。
そーゆー地元の負担を増やしちゃいけないって考えられる頭の良い現場リーダーは、せめて食い物ぐらいは現地調達しようって努力するもんです。
遠征先で現地調達した「百四十本の魔剤」は、運ぶ手間は省けた上に、その分の敵の食料を減らしたことにもなる訳で、ざっくり言うと、地元から「二千八百本の魔剤」を運んでくるのと同じくらいの価値になる感じかなー。
同じ意味で、「馬や牛の餌を三十袋」が現地調達できたら、それは地元から「餌六百袋」を運ん来たのと同じぐらいの価値だってことですヨ。とってもリーズナブル。
あ、それから。敵を殺っつけるだけなら「怒り」って「《《感情》》」だけでもできちゃうんすけど、敵の物資を奪ってきちゃうには「それで自分たちが得をする」ンだって「《《知識》》」とか「《《経験》》」が必要なんですよねー。
だから、
「戦車戦をやって、敵の車を十台も鹵獲しました!」
なんて成果があったら、ケチケチしないで一等最初に戦車をぶんどってきたメンバーにたんまりご褒美を上げちゃいましょうヨ。
そうすると褒められた人は、
「また頑張ろう!」
ってなるし、今回褒められなかった人も、
「次は頑張って褒めて貰うんだ!」
ってなる。
ちょっとご褒美の費用を余分に出すだけで、みんな目標が一つに絞って突き進むようになるから、コレマタお得ですよー。
そうやって獲ってきた戦車は、敵チームの旗なんかむしっちゃって自分の旗に取り替えーので、元から自分のチームのだった戦車と混ぜて使っちゃいます。
コレで遠い地元に補給を頼まなくても戦力増えちゃったりするから、マジお得でしょ?
それから「敵チームを辞めます」っていう人達のことは、どんどんウエルカムしちゃう。
そんで優しく接して、ちゃんと美味しいご飯を食べさせてあげちゃうンです。そしたらすんげー喜んで、こっちの見方に付いてくれちゃったりするもの。
自分とこから追加メンバー呼ぶ手間を省いて人数は増やせるし、ご新規さんは敵サンの内情が判ってると来た。スゴクお得だと思いますよー。
コレが、敵に勝った上に、ますます自分たちが強くなってくマジック。ゴイスーでしょ?
何度も言いますけどぉ、戦争は勝つことが一番タイセツ。だらだら長引かせちゃダメ。
で、ですね。現場の将は、現場のことだけじゃなくて、地元で頑張ってる人たちの生活も、国の未来も、当然、王様の命も、全部背負ってる訳で。
そういうことは、戦争の本質が判ってる将なら、チャンと知ってるもンなんすよ。
いやオレ思うンすけどね。
戦争って、国家単位の一大事じゃないっすか。
人が死ぬかも知ンないし、国自体滅亡しちゃう感じ? だってアリアリなんで。
だからおっ始める前に、よくよく考えないとイケナイかなーなんてね。
なんで、まず自分たちのチームの事を五個ぐらい考えて、それから七個ぐらいの事で相手と比べっこして、しっかり情報集めてから、戦争やって良いかなーって考えた方が良いじゃないかなーって、思う訳ですヨ。
で、五個ぐらいの何を考えるのかってー話なんですけど。
ズバリ、一個目が「道」、二個目が「天」、三個目が「地」、四個目が「将」、五個目が「法」ってヤツなんですねー。
まず「道」ってのは、民衆が王様と同じゴールを目指すよーに持ってく、つまり政治っすね。これ上手くいくと、民衆が「王様のためならノー・フィアー!」って叫びながらノーブレーキで壁に向かって突っ走ってくれるっすよ。
それから「天」ってのは、ぶっちゃけお天気っすね。朝なのか夜なのか、寒いのか暑いのかとか。「今何時?」っての、割と重要なんで。
お次の「地」は場所っす。「そこ遠いの? 近場なの?」とか、「道とか歩きやすい?」とか「会場は広いの? 狭いの?」とか「「山の上? それとも下の方?」みたいヤツ。
あと、「将」はリーダーの資質っす。頭がよくて、仲間から尊敬されてて、優しくて、勇気があって、真面目な人がイイカンジかなーって。
最後の「法」はルールっすね。兵隊の役割とか、官僚の権限とか、王様とチームリーダーの連絡方法とか、そういうのはきっちり決めとかないとマズいっすから。
この五つ、まあ大概のチームリーダークラスの人なら聞いたことぐらいはあるんじゃないかなーと。
でもこれをちゃんと理解しているかどうかが大問題。
判ってないヤツは、はっきりいって勝てないんで。
ま、なんだかんだで自分チームの重要事項五個が判ったら、相手チームの情報をちょこちょこっと入手しちゃいます。それから七ポイントのチェックをしていこう、と。
王様はどっちが人気者か。
リーダーはどっちがイけてるか。
お天気や場所はどっちがお得に利用できちゃえそうなのか。
ルールはどっちの方がちゃんとしてるか。
チームの総合力はどっちの方が強いのか。
メンバーはどっちの方が訓練できてるか。
褒めたり叱ったりは、どっちが正確にやってるか。
いやぁ、オレいつもこの辺きっちり調べて、かっちり把握してから戦争おっ始めるんで、いっつも勝っちゃうんすよねー。
今言った五事七計ね。
アレをちゃんと理解して実行出来るリーダーが指揮するンなら、これ絶対勝つでしょ。そういう優秀なヤツは、手放しちゃダメダメ。がっちり仲間にしちゃっといて。
逆に、オレのハナシ全っ然聞かないヤツは絶対負ける。負け確定。そういうのは、もうバイバイしちゃおうってことで。
こういうちょっと小難しくてややこしい話でも、ちゃんと「あ、コレ重要だからちゃんと勉強しとこう」ってどんどん吸収出来る人材なら、もうすぐにでもビッグウェイブに乗っかっちゃえる、みたいな? そうなると、回りのみんなも、関係ない人も「あ、なんかこいつ凄くない?」って感じでフォローしてくれちゃうわけ。
ビッグウェイブに乗れちゃうっていうのは、お得な情報を見かけたら、それに合わせたアドリブかませていけるってことなんっすよ。
兵は詭道なり、ってね。
おっと、名言ぽろっと出ちゃったよ。
ズバリ言っちゃいますよ。戦争ってのは騙し合いっす。
騙し合いだから、こっちが完璧に出来ることでも、もう全然ダメみたいに見せちゃう。
コレすんげー欲しいなぁって物でも、要らねぇよって言っちゃう。
近くまで来てても、まだすっごく遠くに居るように思わせちゃう。
逆に、まだ全然自分ちの、言っちゃえばまだ布団の中なのに、もうすぐそこまで来てるように言っちゃう。
オイシそうなネタを振っておびき出して、ツルッツルすべって大慌てしてる隙を突いてイタダいちゃう。
相手がしっかりできあがってそうだなーと思ったら、こっちは何が来ても対応できるように準備しとく。
これ当たったら痛ぇな、と思ったら出しゃばらないで避ける。
奴さんカリカリしてるぞ、と思ったら、めいっぱいdisる。
おとなしそーな相手だったら、こっちは数倍卑屈にでて、増長テングに育てちゃう。
余裕ぶちかましてるヤツは、無駄足踏ませてヘロッヘロにくたびれさせる。
あっちのチームの団結が強そうなら、あちこち突っついて仲間割れさせちゃう。
攻め込むときは、薄っぺらなところを目指す。
むこうさんが全然マークしてない場所から突然現れて脅かしちゃう。
……てな感じで、その場その場で対処の仕方が変わるのが、戦争のビッグウエイブの乗りこなし方で、つまりこれ全部アドリブ。
敵にこっちの出方がバレないように仕掛けるンだから、仲間にもこれから何をするのか言えなかったりするンっすよ。
そもそも論なんすけど、作戦会議の机の上で「もう勝った」って言えちゃうのは、さっきから言ってる五事七計をよく検討して、こっちが圧倒的に有利だって判っちゃった時なンすよ。
逆に、会議で検討の上、こっちが全然ダメダメに不利だって判ったら、何をどうしても「勝てません」って言うって事っす。
はっきり言って、勝つ見込みが大きければ勝つ、確率が少なきゃ勝てない。
見込みが全然ない? そんなもん勝てる訳ないっしょ。オレ、はっきり言っちゃうもん。
ともかく、オレ式勝利の法則で計って検討すれば、勝ち負けなんかはっきり見えて来ますよ。で、勝つと判ったときに戦えば良い。
それだけのことッすよ。