簡単が難しい


 ぶんちゃかぶんちゃ。ぶんちゃかぶんちゃ。
 恒例、恒例。村祭りだよ。
 ぶんちゃかぶんちゃ。ぶんちゃかぶんちゃ。
 壮麗、壮麗。仮装パレードだよ。
 みんなみんな大張り切りさ。
 だって、一等賞には賞品が出るもの。
 だからさ。毎年毎年、趣向をこらす。
 それでさ。毎年毎年、派手になってく。
 一昨々年はデメテル女神の像、一昨年はスフィンクス、去年は手足の生えたお城。
 もう、仮装パレードと言うより変身大会。
 今年のトップバッターは、わらの案山子。
 きっと中では大騒動。
 高い高い竹馬に乗って、ご隠居のテラじいさんが大汗をかいているハズさ。  二番手は、ボール紙の三日月。
 きっと中では大騒動。
 ゆらりゆらり風で揺れて、煙草屋のルナおじょうさんが大汗をかいているハズさ。
 次は、イルミネーション付きの鉄塔。
 きっと中では大騒動。
 重い重いバッテリーを背負って、科学者のハル先生が大汗をかいているハズさ。
 子犬の中では肉屋のバウおじさんが、曲芸師の中ではパン屋のホレおばさんが、青い鳥の中では牧場のアルにいさんが、みんなみんな、み〜ぃんな、大汗をかいているハズさ。
 それでね、村を一周ぐるっと回って、仮装をみんなに披露して、投票してもらったのさ。
 一番すてきだった仮装に、一人一票。
 じゃんじゃかじゃん、じゃんじゃかじゃん。
 お祭り広場で大発表。今年の一等はこの人。
 じゃんじゃかじゃん、じゃんじゃかじゃん。
 みんなで見守る。今年の一等はどの人?
 村長さんが言うことにゃ
「みんなすてき。でも大げさ過ぎる」
 だから今年はシンプルイズベスト。
 付け髭と眼鏡だけで、豊作農家のおじさんにふん装した、アース坊やが一等賞!
 教訓。過ぎたるは及ばざるが如し、ってね。

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