地中海をわたる風著者: ナターシャ・オークリー
訳者: 永幡みちこ
ニローリ王国の王女イザベラは会議室でドメニクを待っていた。
ホテルグループの経営者である彼に直接会い、ニローリでのリゾート建設に関する交渉をまとめるために。
このプロジェクトの成功で、私の価値が決まる。
緊張しながら待つイザベラだったが、彼はなかなか現れなかった。
ドメニクはカメラのモニター画面でイザベラを見ていた。
約束もせずに押しかけてきた相手に会う理由などない。
だが、彼女は大変美しい。
ここはひとつ、会って話してみるのもいいかもしれない。
現代ヨーロッパの架空の王国「ニローリ」を舞台としたロマンス「
ニローリ・ルールズ
」シリーズの第4弾。
ニローリ王家には厳格な家訓「ニローリ・ルールズ」がある。
王家に名を連ねる人々は、この家訓を守らねばならない……。
ニローリ・ルールズ(抄録)
1、王家の信頼を失う様なふるまいをした王族は、王位継承権を失う。
2、婚姻には君主の承認が必要。
3、王国に危機を招くような婚姻は承認されない。
4、君主は離婚歴のある人物と結婚することはできない。
5、王室内の血縁関係にある者同士が婚姻することを禁ずる。
6、君主は王族の教育について命令を下すことができる。
7、王族が支払い能力を超える債務を負う場合には、君主の承認が必要。
8、王族が遺産相続および財産の寄付をする場合、君主の承認を必要とする。
9、君主は国民のために人生を捧げるべし。
10、王族は国内または君主が承認した国に居住すること。