♥ | 瓜子姫子 |
| 作者:楠山正雄
老夫婦が河から拾ってきた大きな瓜から、可愛らしい女の子が生まれた。 子供のない老夫婦は女の子に「瓜子姫子」と名付け、育てる。 やがて機織りの匠になった瓜子姫子の元に「あまんじゃく」が現れ、言葉巧みに彼女を裏山に連れ出し、柿の木の高見に縛り付けてしまう。 姫子の着物を奪って着込んだあまんじゃくは、まんまと老夫婦を欺いて姫子になりすます。 可愛らしい上に織物上手の姫子の噂を聞いたお城の奥方様は、一度姫子に会いたいと、使者を老夫婦の元に送る。 姫子になりすましたあまんじゃくを乗せた駕篭が裏山の柿の木の下を通ったとき、使者の侍が本物の姫子の存在に気付いた。 姫子は助けられ、あまんじゃくは打ち首にされた。 その時、近くの黍の畑にあまんじゃくの血が飛び散ったので、以来黍の殻は赤い色となったという。 (2006/12/02(Sat) 19:34)
|
♥ | 殺生石 |
| 作者:楠山正雄 徳高い玄翁和尚という御坊が、下野国の那須野の原を通りかかった折のこと。 草原の真ん中に、一の背丈ほどの滑らかな石が立っていた。 夜も暮れていたため、和尚はこの石の傍らで休むことにした。 その枕元にひとりの女の影が立つ。 女は「この石の精」であると言い、元をたどれば天竺の九尾の狐が化身したものであったと語る。 曰く、 天羅国に災いを起こして王の命を奪い、殷の紂王の后(妲己)となって国を滅ぼした。 日本へ渡って玉藻前を名乗って鳥羽上皇に仕え、この国も滅ぼそうとしたが、陰陽師に見破られてこの地で死んだ。しかし怨念は石となって残った。 石の側による者は人も獣も毒気に当たって死ぬので、殺生石と呼ばれるようになったが、御坊は寄っても災いを受けることがない。 きっと徳の高い方であろうから、どうか我が身を救ってほしい……。 (2006/10/16(Mon) 17:26)
|
♥ | 一寸法師 |
| 作家名: 楠山 正雄 摂津国に住む夫婦には子供がなかった。 住吉明神に「指ほどの小さな子でもよいから授けてほしい」と願をかけると、やがて本当に指ほどの大きさの子を授かった。 一寸法師と名付けられた子は、夫婦に大切に育てられたが、いつまで経っても背が伸びなかった。 十六になった法師は、立身出世のために京に上ることとした。 縫い針の刀、麦藁の鞘、お椀の船に箸の櫂。 住吉の浜から淀川を上り、鳥羽から京へとたどり着いた法師は、三条の宰相の屋敷で働くこととなった。 三条の宰相の十三になる姫は法師をいたく気に入って、どこに行くにも共をさせた。 ある日、些細なことから姫は屋敷から追い出されることになり、法師も姫と一緒に船に乗った。 ところが折悪しく時化に遭い、船は鬼の住む島へ流された。 鬼は小さな法師を侮って、つまみ上げると、一のみに飲み込んでしまった……。 (2006/10/16(Mon) 16:33)
|
♥ | 大江山 |
| 作者:楠山正雄 日本の昔話。 源頼光に天皇より酒天童子退治の命が下る。 頼光は優れた四人の部下「四天王」と無二の友・平井保昌を引き連れて鬼の済む大江山へ向かう。 鬼に捕らえられた人々の中には、池田中納言の姫もいた。 (2006/10/16(Mon) 13:49)
|
♥ | たにしの出世 |
| 作家名: 楠山 正雄 昔々あるところに土地持ちの長者と、長者から土地を借りている貧しい百姓の夫婦がおりました。 跡継ぎのない百姓の夫婦は、「かえるの子でもたにしの子でも構わないから、子供を授けてくれ」と水神に願をかけました。 すると、百姓のかみさんはほんとうにたにしの子供を産んだのです。 姿は「たにし」でも水神さまの申し子だというので、百姓夫婦はその子を大切に育てました。 数年経ってその子は「たにし」の姿のままでしたが、ある日突然人の言葉を喋りました。 言葉をしゃべるたにしを珍しがった長者は、これを家宝にしようと策を講じ、そのために「娘の婿に」とたにしに持ちかけました。 するとたにしが本気にしたので、仕方なく下の娘の婿にすることにしました。 下の娘とたにしの婿は仲がよく、二人そろって出かけるときは、娘は婿を自分の帯の間に挟んで出かけました。 ある日連れだって出かけた二人でしたが、娘がたにしの婿を帯からおろして水神様にお参りしているわずかな間に、婿の姿が見えなくなってしまいました。 娘は自分の着物が汚れるのも構わず、田んぼの中まで婿を探して回りました……。 (2006/10/16(Mon) 13:49)
|
♥ | 葛の葉狐 |
| 作家名: 楠山 正雄 摂津の国の侍、阿部保名は、先祖が残した膨大な蔵書が朽ちてゆくのに、己にそれを解読する学力がないことを悲しみ、和泉国の信田の森の明神に「学問に秀でた子がほしい」と願をかける。 ある年の秋、保名は家臣達をつれて参詣した帰りに、狐狩りの武士達に追われていた一匹の牝狐を助ける。 それを恨みに思った武士達の主の悪右衛門が、保名主従を捕らえ、殺そうとした。 悪右衛門は妻の病を治すためには狐の生き肝を煎じて飲ませろと弟の芦屋道満に言われ、狐狩りをしていたのだった。 そこに現れた和尚が「病を治そうと言うときに、人の命を奪ってはいけない」との説得に悪右衛門が応じて去る。 実は和尚は先ほどの狐の化身だった。 命拾いをした保名だったが、受けた傷は、屋敷に帰ることができぬほどに重かった。 山中で出会った美しい娘が彼を哀れんで家に運び、親身に手当をしてくれた。 体は中々治らず、時ばかりが過ぎる中、保名と娘との間に男の子が生まれて……。 (2006/10/16(Mon) 13:49)
|