ユネスコ(UNESCO)の世界遺産にもなっているネパール最古のヒンズー教寺院が、寺院内で戯れる恋人たちに罰金を科すことを決めた。
この寺院は、首都カトマンズ(Kathmandu)郊外にあるパシュパティ(Pashupati)寺院。聖なる川とされるバグマティ川(Baghmati River)沿いの2.6平方キロメートルの敷地に立つ同寺院は、ネパールでは最も神聖とみなされているヒンズー教寺院であることから、毎年多数の巡礼者が訪れる。その多くが隣国インドからの巡礼者だ。
ところが、パシュパティ寺院の管理運営委員会によると近年、同寺院が恋人たちの人気デートスポットとなり、寺院の境内で抱き合ったりする男女が後を絶たないという。
【2月2日 AFP】
http://www.afpbb.com/article/life-culture/religion/2784158/6763532
シヴァは配偶神
パールヴァティーと
カイラス山の
宮殿で暮らしていた。
綺麗な奥さんや可愛い子供たち(像頭の知恵の神
ガネーシャ、
韋駄天こと軍神
スカンダ)との平和で穏やかな日々だったが、
元々暴風雨の神格化である破壊と再生の神シヴァはそんな暮らしに飽きてしまった。
(困った亭主だ!)
そこで誰にも告げずに宮殿から脱走。
世界中を巡って楽しそうな場所を探し、
カトマンズ近郊の森にたどり着き、
そこで動物たちの王・パシュパティの姿を取って遊んで暮らしていた。
駄目亭主そのものみたいなシヴァでも、
最高神の一柱。
破壊の神だけど、再生の神でもある。
いなきゃ世界が回らない。
それは困るってんで、他の神々が散々探し回って漸く見つけ出し、
カイラスへ連れて帰ったんだそうな。
で、しばらくはカイラスで
瞑想の日々を送っていたんだけど、
やっぱりむずむずしちゃったらしい。
今度は狩人に化けてパシュパティに戻ってきたといわれている。
楽しく過ごしていると、美人の女狩人がやって来た。
シヴァは多情の神さんでもある。
これには理由がある。
シヴァの最初の奥さんは
サティといって、
創造神ブラフマーの孫娘に当たる。
しかしサティの父
ダクシャは乱暴者のシヴァを激しく嫌っていた。
シヴァがどんなにもてなしても心を開かない。
挙げ句、神々を招いた祭りに、彼だけを招かなかった。
シヴァを心から慕っていたサティはこれに抗議するが、
ダクシャは聞き入れないばかりか、逆にシヴァをバカにして罵った。
サティは怒りのあまり焼身自殺してしまう。
(この神話は悪名高い「
サティー:
寡婦殉死」の由来でもある)
当然シヴァは怒った。
彼はダクシャを殺すと、祭りとその会場を破壊しつくした。
狂気に駆られたシヴァはサティの亡骸を抱えて世界を放浪する。
そして都市という都市をことごとく破壊して回った。
やがて正しい葬儀を行わなかったことでサティの肉体は腐敗し、
それに伴って世界が暗黒に覆われ始めた。
見かねた維持神
ヴィシュヌが
チャクラム(リング状の投擲武器)を投げて
サティの亡骸を粉々に切り刻み、吹き飛ばした。
妻の「痕跡」がなくなったことでシヴァはようやく正気を取り戻したのだった。
さて、切り刻まれたサティの亡骸の破片は、世界中に散った。
流石に創造神の孫娘だけあって、落ちた地でその土地の女神として再生を果たす。
こうして世界中には何百もの「シヴァの妻たち」が存在するようになったとさ。
後に、「シヴァの息子じゃないと倒せない」という特殊能力持ちの悪魔をすため、
神々が相談して、シヴァに再婚をさせようとした。
サティを失ったばかりのシヴァは、自分が世界を滅ぼしかけたことを反省(?)して、
女性を遠ざけての苦行と瞑想の生活を送っており、妻を娶る気は更々ない。
そこで神々はサティを正式に転生させた。
これが
ヒマラヤの山の神の娘パールヴァティー。
話はややこしいけど、
世界中に生まれた「サティの亡骸由来の女神」たちは、サティの化身(
アバター)であり、
従ってサティの転生である
パールヴァティのアバターでもある、と。
(シヴァの妻とされる女神は山ほどいて、大抵はパールヴァティの別名・化身ってことになってる)
そんなわけで、
世界中の美人の女神はサティである(極論)ってんで、
シヴァは美人と見れば「我妻よ!」となってしまうわけだ。
……多分。
話がそれたな……。
兎も角、動物以外いないような森の奥で綺麗な女狩人に出会って、
色んな意味で嬉しくなっちゃったシヴァは、
「これも我妻に違いない」
と思ったのか思わないのか、猛烈に
アプローチ。要は
ナンパしたわけだ。
確かにこの女狩人、シヴァの妻であった。
出たっきり戻らない亭主を追っかけてきたパールヴァディが化身していたのだから。
こうして赤っ恥をかいたシヴァは、温和しくカイラス宮殿に戻った。
で、パシュパティのシヴァ系寺院は、
このかなり「お茶目」な
シヴァ神と
パールヴァティーの伝説に由来して建てられている。
境内にはシヴァ信仰の象徴である「シヴァリンガ」があり、サティーが祭られている
パゴダもある。
この「シヴァリンガ」なんだけど、お皿の上に太い棒が突っ立っているような形をしている。
この太い棒に油やら乳やらを掛けてお祈りするのが、シヴァ神へのお参り。
水を湛えるお皿の部分を「ヨーニ」、起立する棒の部分が「リンガ」と呼ぶ。
ちなみにリンガは「印・象章・シンボル」の意味。
転じて
男性器(ほら、男のシンボルって言うでしょ?)
ではヨーニは?
そう、
女性器。
シヴァリンガは「シヴァの
交合を女体の中から見た図」を表している。
そういう「有難い」物を祀る寺院で、
「男女いちゃつくな」
って言っても、説得力があんまりないなぁ。