【12月26日 AFP】世界中でクリスマスが盛大に祝われるなか、正教徒が大半を占めるロシアでは、ユリウス暦に従い2008年1月7日にクリスマスが行われる。
ユリウス・カエサル(Julius Caesar 英語読み:ジュリアス・シーザー)が制定したユリウス歴は、
原則「1年は365日」とし、
地球の公転周期と実際の季節とのズレを補正するために4年に1度閏年を設定、
閏年には2月に1日を加えて366日とする
という暦。
現在世界で標準的に使われている
グレゴリオ暦(ローマ教皇グレゴリウス13世が1582年に制定)との違いは、
グレゴリオ暦では原則「1年は365日」とし、
地球の公転周期と実際の季節とのズレを補正するために4年に1度閏年を設定、
閏年には2月に1日を加えて366日とする
ただし、西暦の年数が100で割り切れてかつ400では割り切れない年は閏年としない(400年間に概ね3回)
という微妙な物。
ユリウス歴では365.25日と考えられていた太陽年が
実際にはが365.2422日であったため、
ユリウス歴を続けてゆくと1000年ごとに約8日の誤差が生じることが判った(13世紀の哲学者ロジャー・ベーコンが指摘)。
このまんまじゃ季節はずれるし宗教行事の日付(特にイースターとか)がずれちゃうというので、
ローマ教皇猊下が命じて修正版を作ったという次第。
ところがこの「ローマ教皇の命令」ってのがくせ者で、
ローマカトリックとあまり仲のよろしくなかった(あえて過去形)プロテスタントの方々は
しばらく新しい暦に従わなかった。
それでもやっぱり季節がずれちゃまずいというので、
プロテスタント諸派も徐々にグレゴリオ暦を採用してゆく。
例えばドイツ系のプロテスタントは、ユリウス暦で日付を勘定しながら、
ルドルフ星表という「改良暦」で補正するという妥協案をひねり出す。
このルドルフ星表を拵えたのが、ヨハネス・ケプラーという天文学者。
「ケプラーの第三法則(惑星の公転周期の2乗は、軌道の半長径の3乗に比例する。)」の、あの人。
天文学者のケプラーは、暦としてはグレゴリオの方が断然正しいと判っていたので、
ルドルフ星表は実はグレゴリオ暦そのまんまだった、というオチですが。
んで、ギリシア・ロシア正教の皆さんはどうしたのかっていうと。
正教会では古くからの習慣で
「ユダヤ教のお祭りの日付が決まってから、ハリストス(キリスト教)のお祭りの日付を決める」
ことになっている。
ところが、キリスト教の大本であるユダヤ教は
お祭りの日付の決定には昔からの伝統で太陰暦のユダヤ歴を使っているから
話がややこしくなる。
ちなみに太陰暦は
1ヶ月は29日か30日で、1年は354日
実際の太陽年とのズレが概ね11日あるので、
19年に7回(3年に1回ぐらい)、季節に合わせてどこかに閏月を付け足す
というカレンダー。
兎も角。
今でも正教会はいろんな理由からユリウス暦でお祭りの日付を勘定している。
グレゴリオ暦の07年12月25日に祝うお祭りは
13日後の明くる08年1月7日にずれ込む、という次第なのであります。