♥ | えぞおばけ列伝 |
| 作家名:知里真志保(編・訳)
アイヌの人々の間に伝わる「おばけ(妖怪)」の小話、及び、ちょっと艶っぽい伝説・民話など。
知里真志保(ちり ましほ、1909年2月24日 - 1961年6月9日)は、アイヌの言語学者。文学博士。専攻はアイヌ語学。姉は、『アイヌ神謡集』の著者・知里幸恵。 (2014/03/26(Wed) 21:55)
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♥ | 女王スカァアの笑い |
| 作家名:フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 訳者名:松村みね子(片山広子)
強い女王スカァアが剣持つ手の掌に死の影を握って支配していたスカイの島をクウフリンが立ち去った時、そこには彼の美を惜しむなげきがあった。
スカイ島の女戦士の支配者スカァアは、愛弟子クウフリンがアルスターの戦争のためにアイルランドへ戻ってしまったことを嘆いていた。 スカァアはクウフリンが島にいた間の出来事を回想する。 美男子のクウフリンはスカイ島の女性を誰一人として愛することがなかった。女達も彼を愛することが出来なかった。……狂気の女王スカァアが彼を愛していたからである。 女王はクウフリンの気を引くために、様々な、そして残酷なことを為した。 どうやら若いクウフリンには現実世界の女性に対する恋愛感情はない様子だ。 スカァアは戯れにクウフリンに「好きな女はいるか」と尋ねた。彼が「いる」と答えたとき、スカァアの脳裏には己の足元に転がるクウフリンの無惨な亡骸が思い浮かぶ。 クウフリンが去った後、悲しみに沈む狂気の女王の元に、女将軍が「難破した海賊船の生き残りを捉えた」という「朗報」を持って現れる。 スカァアは彼等を残酷に処刑し、笑う。 だが彼女の心の痛みは、決して癒えないのであった。
スカァア(スカアハ:Scáthach) ケルト神話の女神。その名は「影」を意味する。「影の国(スカイの国)」と呼ばれる異界・冥府の女王。 呪術師であるが、むしろ武術に優れる。クー・フーリンの武芸の師。 弟子の中でも特に彼を気に入り、魔槍ゲイ・ボルグを与えた。 北欧神話のスカディ(巨人族の女神)に相当。
クウフリン(クー・フーリン:Cú Chulainn) ケルト神話の英雄。太陽と光の神ルーと人間の王女デヒテラとの間に生まれた半神。 元の名はセタンタ(Setanta)で、クーフーリンは「クランの猛犬」の意。 大変な美男子だが、いざ戦闘となると、「額から光線」「あごが頭くらいの大きさになる」「両目の間に七つの瞳が生じる」「片方の目は頭の内側に入り、もう片方は外側へ飛び出す」「手足の指が七本に増える」「両頬には黄・緑・赤・青の筋が浮かぶ」「逆立った髪は、根本では黒く、先端に向かうほど赤く変色し、そこから血が滴る」という異形となる。 ある日ドルイド僧から「騎士となればアイルランドの歴史に名を残す英雄となるが若死にする」という予言を聞き、勇んで騎士となる。その修行のために「影の国」へ赴き、スカアハの弟子となった。 その最期は、師から授かったゲイ・ボルグを敵に奪われ、それに刺し貫かれるというもの。 この際に溢れた内臓を洗って腹に収めなおし、倒れぬように自ら石柱に体を縛り付けたという。
(2012/06/25(Mon) 15:36)
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♥ | アーサー王物語 |
| 作家名:アルフレッド・テニソン Alfred Tennyson 訳者名:菅野徳助、奈倉次郎 初出:「第八篇 アーサー王物語」青年英文學叢書、三省堂書店 1907(明治40)年6月11日
アルフレッド・テニスン(1809〜1892)「KING ARTHUR'S ROUND TABLE(アーサー王の円卓)」を翻訳。原文と訳文を対照して示す。 (2011/05/16(Mon) 17:33)
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♥ | シャロットの妖姫 |
| 作家名:アルフレッド・テニソン Alfred Tennyson 訳者名:坪内逍遙 アルフレッド・テニスン(1809〜1892)の"The Lady of Shalott"(1832、改訂版1842)を、明治期に坪内逍遥(1859〜1935)翻訳したもの。 「The Lady of Shalott」というタイトルを逍遙先生は「シャロットの妖姫」と訳しましたが、他には「シャロット(シャーロット)の乙女」「シャロットの女」「シャロットの姫」などとも。 アーサー王と円卓の騎士の挿話をモチーフにした詩。
島の塔の中で機を織る一人の娘。彼女にはキャメロット(アーサー王の領地)をその目で見ると何か良くないことが起きる、という呪いがかけられている。 娘は鏡写しになった外界を眺め、その景色を織物に描いていた。 そんな寂しい暮らしを嘆いていたある時、鏡に円卓の騎士の一人ランスロット卿が映り込んだ。 その姿に一目惚れした娘、矢も楯もたまらず窓から外を見る。 途端、彼女が織っていた布が独りでに広がり、糸が乱れ舞い、鏡が割れた。 呪いが掛かったと娘のは、塔から外へと彷徨いで、川面に浮かぶ小舟に乗り込む。 ランスロットのいるキャメロットを目指し、船は進む。 娘は小舟の中に横たわって賛美歌を口ずさむが、キャメロットにたどり着く前に息絶えてしまう。 キャメロットの人々は娘の亡骸を見て訝しがり、畏れる者さえいた。 ただランスロット卿だけが、彼女の冥福を祈るのだった。 (2011/03/08(Tue) 17:40)
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♥ | 失樂園物語:新潮社版 |
| 作家名:ジョン・ミルトン 訳・編集:繁野天來
ミルトン(John Milton, 1608年12月9日 - 1674年11月8日から11月10日の間)による旧約聖書の『創世記』をテーマにした壮大な初期近代英語の叙事詩『失楽園』(Paradise Lost)の抄訳。 初出:昭和4年12月25日 編者の繁野天来(しげのてんらい:1874‐1933。本名・繁野政瑠(まさる))は詩人、英文学者。 (2009/11/23(Mon) 11:23)
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♥ | 繪本 失樂園物語:冨山房版 |
| 作家名:ジョン・ミルトン 訳・編集:繁野天來
ミルトン(John Milton, 1608年12月9日 - 1674年11月8日から11月10日の間)による旧約聖書の『創世記』をテーマにした壮大な初期近代英語の叙事詩『失楽園』(Paradise Lost)の抄訳。 初出:昭和15年3月28日なお、底本に掲載されていたドレの銅版画は(物語倶楽部アーカイヴのファイルに添付されていなかったため)このファイルにはなし。 ドレの銅版画をご覧になりたい方は Dore Gallery CD-ROM and Book (Electronic Clip Art)やDores Illustrations for "Paradise Lost" (Dover Pictorial Archive Series)と言った画集、 または、 無為庵主人さまのWebサイト「無為庵乃書窓(http://www.muian.com/)」へどうぞ。 (トップ→Gallery-Y→ギュスターヴ・ドレ Gustave Dore→Milton's The Paradise Lost(失楽園))
編者の繁野天来(しげのてんらい:1874‐1933。本名・繁野政瑠(まさる))は詩人、英文学者。 (2009/11/23(Mon) 11:22)
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♥ | アイヌ神謡集 |
| 作家名: 知里幸惠(編・訳)
アイヌ民族に伝わる「カムイユカラ(神の叙事詩・神謡)」。 カムイユカラは「カムイ(神々)が自ら語る形式のユカラ(ユーカラ 謡・叙事詩)」で、神(自然)とアイヌ(人間)の関係を表す物語・教訓などがうたわれている。
編者であり訳者の知里幸恵は、ユーカラクル(ユカラの語り部)であった祖母・金成モナシノウクが謡い、母方の叔母・金城マツがローマ字で書き留めたユカラ(アイヌ叙事詩)を、大和言葉に翻訳し、言語学者・金田一京助の助言と協力によって脱稿。 出版を目前にしていた1922年9月18日に心臓麻痺で急逝。享年19。 文字を持たないアイヌ語は、歌と語りでその歴史を綴る。 明治以降、北海道が急速に開発され、アイヌが大和民族に飲み込まれてゆく過程で、語り部達はその数を減らしていった。 知里幸恵は祖母と叔母の影響でアイヌ語が堪能であり、失われてゆく自らのアイデンテティ(北海道の自然、アイヌの文化)を守りたいという強い願いから、命を削ってこの神謡集を著したといえる。 (2008/02/26(Tue) 11:37)
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