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ここは【お姫様倶楽部Petit】の備忘録的リンク集【Petitの本棚】です

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UPDATE:2015/06/22(Mon) 15:00

お姫様倶楽部Petit資料室 お姫様と幻想と創作関連の資料文書

児童文学・童話

町のお姫さま
作家名:小川未明

「寂しいところ」が大好きだというお姫様。
どこでも良いから人のいないところで暮らしたいと言い出した。
人里離れた山奥までついて行った家臣達は退屈で仕方がないのだが、姫様ご本人は自慢の美声で歌ったり得意の楽器を奏でたりで、ちっとも寂しくないというからから困ったモノ。
ところがあるとき姫様は、自分より良い声で歌い、見事な腕前で琴を弾くその音を耳にする。
されど家臣達の耳には松風と鳥の囁きが聞こえるばかり。
しかし姫様は「ここはやかましくて仕方ない」と、今度は人家のない海辺へ住まいを移すことに。
家臣達はさらに退屈するのだが、そこでも姫様は歌い奏でてご満悦。
ところがある日
「毎晩星達が歌い鳴らすので、自分の音楽に身が入らない」
もっと寂しいところへ行きたいと言い出した。
辟易した知恵者の家臣は、姫様を賑やかな街へ連れ出した。
初めは驚いた姫様。でも、街では誰も姫様の音楽の「じゃま」をしないので、思う存分歌えると、自分の美声と名演奏を心に誇り、街で住み暮らしたのだとさ。
(2014/02/02(Sun) 18:43)
お姫さまと乞食の女
作家名:小川未明

古く寂しい城に住むお姫様は生まれてこの方城から出たことがない。
お姫様は小鳥一羽を友として、城の奥で暮らしていたが、常々世間を見て見たいと思っていた。
ある時お城に物乞いの女が迷い込む。
お姫様はその姿のみすぼらしさを怪しむが、よくよく見れば自分と同じ年頃の美しい娘であった。
物乞いの娘の身の上話を聞くうちに、お姫様の世間への興味は増して行く。
ついには物乞いと入れ替わって城外へ旅立つことにした。
お姫様は外の世界で得意の歌や演奏を生かして、旅芸人のような自由気ままな生活を始める。
そのころお姫様の身代わりにさせられた物乞いの娘はお城で心細く暮らしていた。
お姫様の飼い鳥に自らの身の不自由さを重ね見た娘は、小鳥を空に放つ。
放たれた鳥は故郷の南の港町へ戻った。
その町でかのお姫様が望郷の唄を歌っていたのだ。
お姫様は小鳥に導かれるように故郷の城へ戻る。
ところが城の様子が少々違っている。
事情を心得ていた侍女は泣きながらお姫様に告げた。
お殿様から宴席で歌うように言われた娘は、その素養がないことを言うこともできず、ついに井戸に身を……。

初出:雑誌『童話』 1922年(大正11)4月
(2014/02/02(Sun) 16:37)
赤い姫と黒い皇子
作家名:小川未明

ある国に赤い服をまとった美しい姫「赤い姫」がいた。
隣国の皇子から求婚された姫は、皇子の人となりを探ろうと家臣を送り込む。
姫を娶りたい皇子は家臣を盛大に饗す。帰国した家臣は姫に「立派な皇子で国も豊か」と報告する。
慎重な姫は別の家臣に乞食の形をさせて隣国へ紛れ込ませる。
人々の噂を聞き集めた家臣は、姫に「皇子は外出時には、黒尽くめの装束に、黒のメガネ、黒い馬車に乗る」と報告する。
少々気味悪く思った姫は、黒塗りの馬車に乗った黒い皇子の幻を見るようになる。
黒い皇子に嫁ぐことを決断した姫。しかし、ことごとく予言を当てるという老婆に「皇子と結婚すれば、国に疫病が流行る」と言われる。
国を思う姫は家臣たちの勧めを受け入れて、遠い島へ逃げ出し、身を隠すことにする。
沖へと漕ぎだす船は、やがて静かに沈み始める。
陸で船を見送っていた人々は、姫の赤い服が海を染める幻を見る。
姫が来ないことを案じた黒い皇子は、姫を追って馬車を走らせる。
夜が明けると、黒い皇子の姿も消えていた。
夕焼けの美しい晩方、海の上に雷がなり、馬車が駆けるようにして黒雲が海の彼方に流れてゆく。
人々は、皇子が姫を追ってゆくさまだと信じている。
(2012/10/03(Wed) 17:33)
ピーターパンとウェンディ
原題:PETER PAN PETER AND WENDY(ピーターパン:ピーターとウェンディ)
作家名:ジェームス・マシュー・バリー(Sir James Matthew Barrie)
訳者名:katokt

ピーターパンの物語は2作の小説と1作の戯曲(『ピーター・パンあるいは大人になりたがらない少年』:初演1904年(全三幕)。出版1928年(全五幕))を経て、現在皆が良く知る物語へと変化した。

以下あらすじ
厳格な父親と可愛らしい母親(どうやら過去にピーターパンと出会ったことがあるらしい)との間に生まれた三人の子供たち――ウェンディ・モイラ・アンジェラとジョン、そしてマイケルのダーリングきょうだい。
ある晩彼等の家にピーターパンがやってくる。
ところがピーターは子供たちの「乳母役」の犬に吠え立てられて、影を落として退散してしまった。
一週間後、ピーターは影を取り戻しに来た。ウエンディは影とピーターを縫い合わせる。
ピーターは「パパとママが僕が大人になったら、何になってほしいなんてことを話してる」事に幻滅して、生まれたその日に家を飛び出したと語る。
そして「乳母がよそ見をしてるときに乳母車から落ち」「七日の内に這い上がれなかった」「迷子の男の子達」が送り込まれるネバーランドで、男の子達の隊長をしているとも。(ちなみにネバーランドに女の子がいない理由は「女の子はカシコイから乳母車から落ちたりしない」から、らしい)
ウエンディと弟たちはピーターに誘われて(妖精ティンカーベルの「粉」の力で)空へと飛び出し、「2つ目の角をまがって、あとは朝までまっすぐ」の場所にあるネバーランドへ向かう。
ネバーランドではウエンディが皆のお母さん役となり、二人の弟たちは他の「迷子の男の子」同様にピーター達と冒険(遊び)暮らした。
人魚と出会い、インディアンと交流したり、ウエンディが男の子達にお話をしてやったり、フック船長率いる海賊と戦ったり……。
しかしやがて、ウェンディたちは、両親の家に帰りたいと訴え、ピーターは不承不承彼等をダーリング家へ戻す。
迷子の男の子達も、ウェンディの家の子どもになることになる。
ただし、ピーターはやはり大人になりたくないが為に、ダーリング家の子になることを拒む。
それでもウエンディと別れたくないピーターに、ウエンディ達の母親は「年に一度、春の大掃除のときだけ、ウェンディをネバーランドに連れて行く」という提案をした。
翌年、ピーターはウェンディを連れに来たが、その翌年は来ない。ある年は来たり、ずっと来なかったり。
暫くピーターが来ない年が続いたあと、何事もなかったかのようにピーターが訪れたときには、ウェンディはすっかり大人になっていた。彼女は結婚しており、ジェーンという娘がいた。
迷子の男の子達もみな立派な大人になっていて、それぞれの仕事を持ち、それぞれの家庭を持っている。
子供のままのピーターは、大人になったウェンディの代わりにジェーンを連れて、ネバーランドに飛び立った。

更に年月が流れ、ウエンディの髪には白いものが混っている。ジェーンも大人になって、マーガレットという娘がいた。
今ピーターは、春の大掃除の時期にはマーガレットをネバーランドへ連れて行っている。
マーガレットが大人になったら、ピーターのお母さん役はマーガレットの娘が、その娘が大人になったらそのまた娘が、受け継ぐことになるだろう。
(2011/06/25(Sat) 13:00)
ケンジントン公園のピーターパン
原題:PETER PAN IN KENSINGTON GARDENS
作家名:ジェームス・マシュー・バリー(Sir James Matthew Barrie)
挿絵:アーサー・ラッカム(Arthur Rackham)
訳者名:katokt

高名な「人間とも鳥とも妖精ともつかない男の子」ピーターパンは、もともと小説『小さな白い鳥』の中で描かれたエピソード群の登場人物だった。
この小説中の13章〜18章がピーターパンの登場エピソードとされる。各章タイトルは以下の通り
  • 第十三章:ケンジントン公園ひと回り
  • 第十四章:ピーター・パン
  • 第十五章:鶫の巣
  • 第十六章:締め出しの時刻
  • 第十七章:小さな家
  • 第十八章:ピーターの山羊
後に作者バリは『小さな白い鳥』からピーターパン関連のエピソードを抜き出し、修正加筆して『ケンジントン公園のピーターパン(PETER PAN IN KENSINGTON GARDENS)』として出版した。
んだけど、何故か同タイトルで二章分(13章と18章)のテキストがないバージョンもあったりする。
で、このテキストは、後者の翻訳版。
以下あらすじ
生後7日の赤ん坊ピーターは、人になることを拒絶して、窓からケンジントン公園に向かって飛び出し、公園の「赤ん坊の王宮とサーペンタイン池の間の広々とした芝生」の上に着地した。
そこでピーターは、人間でも小鳥でもない「どっちつかず」となる。
ピーターは小鳥たちと一緒に笛を奏でて暮らすこととなり、やがて妖精達も仲良くなる。
ある時、マイミー(別訳では「メイミイ」)という少女が、公園の閉門時間に間に合わず、公園内に「閉め込まれ」てしまう。
マイミーは妖精達の舞踏会や婚礼の騒動に巻き込まれる。妖精達は眠るマイミーの為に小さな家を造る。しかしマイミーが夢から覚めると、その家は小さく小さくなって、やがて雪の中に消えてしまった。
時が過ぎ、ピーターは母の元に帰りたいと願うようになる。
ピーターは妖精達の力を借りて空を飛び、彼の生まれた家へ戻る。
開け放たれた窓から母の寝室へ戻るが、眠っている母親に呼びかけるのを躊躇する。
行方不明の赤ん坊の気配を感じた母親が、うわごとのように彼の名を呼ぶが、ピーターはそれに答えなかった。
公園での小鳥たちや妖精たちとの暮らしが捨てきれなかったのだ。
「公園へ一度戻って、友人達に別れの挨拶をしてから、もう一遍帰ってくる」と決めて公園へ舞い戻ったピーターだったが、結局何ヶ月も家へ戻らなかった。
妖精達が彼を戻そうとしなかったというのも理由の一つだった。彼等は理由を付けてはピーターを引き留めていた。
ある晩とうとう決心して家へ飛び戻ったピーターだったが、数ヶ月前は開け放たれていた窓には閂がかけられてい、中には入れない。
覗き見れば、母親はピーターではない赤ん坊を抱いて、幸せそうに笑っている。
ピーターは必死に母親を呼ぶが、その声は彼女には届かなかった。
こうしてピーターは永遠に「閉め出され」てしまったのだった。
一応「童話」カテに入れたけれど、実際は大人向けの作品かも知れない。
(2011/06/25(Sat) 11:47)
ごん狐(ごんぎつね)
作家名:新美南吉

悪戯者の子狐「ごん」。ある日村人の兵十が取った鰻を魚籠から逃がすという悪戯をする。
十日ほど後、ごんは兵十の母親が死んだことを知る。兵十が母親のために魚を捕っていたのだと悟り、悪戯をしたことを後悔する。
償いのつもりで魚屋から盗み出した鰯を兵十の家へ投げ込むごん。しかしそのために兵十が盗人呼ばわりされたことを知り、反省したごんは自分で取った栗や茸を彼の家に届ける。
栗や茸を届けているのがごんであるということに考えが及ぶ筈もない兵十は、自分を哀れんだ神サマが山の幸を恵んでくれているのだと考えることにした。
村で念仏法要があった翌日、縄をなっていた兵十は狐が家に入ってきたことに気付く。
鰻を盗んだ狐がまた来たと思った兵十は、火縄銃を撃つ。
倒れた狐のそばに駆け寄った兵十は、土間に栗が置かれているのを見つけ、衝撃を受けるのだった。

初出「赤い鳥」1932年1月号(昭和16年11月)
(2009/10/06(Tue) 17:09)
巨男の話(おおおとこのはなし)
作家名:新美南吉
魔女を母に持つ大男。
ある日母親がお姫様と侍女に魔法をかける。
姫は白鳥に、侍女達は黒い鳥に姿を変えられてしまった。
魔女の死の間際、大男は鳥にされた人々を人に戻す術を聞き出して……。
発表年月:昭和6年12月
(2009/10/06(Tue) 16:43)
絵のない絵本
作家名:ハンス・クリスチャン・アンデルセン
訳者名:katokt

月が語った、三十余編の小さな物語。
一応「童話」に分類するが、結構シビアな内容のものもあるので、大人向きのお話じゃなかろうかと。
(もっとも、アンデルセン童話は大概がシビアで大人向きだけども)

最後のお話についてちょびっとだけ解説。
眠る前のお祈りをしていた小さな女の子に対して、お母さんが
『日々のパンってところで、いつも聞き取れないけど何かいってるわね』
とたずねるところがある。
このとき小さな女の子が唱えていたのはキリスト教の「主の祈り」で、以下のような内容のもの。
英語(欽定訳)日本語(プロテスタント訳)
Our Father which art in heaven,
Hallowed be thy name.
Thy kingdom come,
Thy will be done in earth,
as it is in heaven.
Give us this day our daily bread.
And forgive us our debts,
as we forgive our debtors.
And lead us not into temptation,
but deliver us from evil:
For thine is the kingdom, and the power, and the glory, for ever.
Amen.
天にまします我らの父よ
願わくはみ名をあがめさせたまえ
み国を来たらせたまえ
み心の天に成る如く
地にもなさせたまえ
我らの日用の糧を今日も与えたまえ
我らに罪を犯す者を我らが赦す如く
我らの罪をも赦したまえ
我らを試みに遭わせず
悪より救い出したまえ
国と力と栄えとは限りなく汝のものなればなり
アーメン
「Give us this day our daily bread.」の所をストレートに訳すと「私たちの『日々のパン』を今日も与えてください」になる。
厳密に言うと「daily bread」で一つの熟語になっていて、「日々の糧」「日々の生計」「毎日の暮らし」といった意味なので、この一文は「今日も一日真っ当に暮らして行けますように」ぐらいの意味合いになる。
四才の女の子に大人の言い回しなど判る筈もなく、でも、お祈りはちゃんと決まったように言わないといけないだろうとは思っている。
で、口の中でもぞもぞっと、小さな贅沢をお願いしてみている、と言ったわけなのでありました。
(2008/10/23(Thu) 16:17)
幸福の王子
原題:The Happy Prince
作家名:オスカー・フィンガル・オフレアティ・ウィルズ・ワイルド(Oscar Fingal O’Flaherty Wills Wilde)
訳者名:結城浩

1888年に発表された、オスカー・ワイルドの児童向け短編。
全身を金箔で覆われた王子の像。両の目はサファイア、剣の柄にはルビーがはめ込まれ、鉛の心臓を持っていた。
町の人々は美しい王子の像を自慢に思っていた。
ある晩、仲間から離れてしまった(川岸に生えた葦に恋をして旅立つのが6週間もおくれた)燕が町にやってくる。
一夜の宿を探し、王子の足下にたどり着いた燕が眠ろうとすると、大きな水滴が落ちてくる。
見上げると王子の像のサファイアの瞳から涙があふれ出ている。
生前、美しい物だけに囲まれて幸せに生き幸せに死んだ王子は、像となって柱の上に立たされてから、初めて醜悪な物や悲しいことを目にした。
そのことを嘆き悲しむが、像である身ではその場を動くことができない。
病に苦しむ男の子の母親に剣のルビーを渡して欲しいと頼む王子の願いを、燕ははじめ断ったが、王子の熱心さに根負けし、ルビーを咥えて飛び立つ。
「妙なことに」とツバメは言いました。
「こんなに寒いのに、僕は今とても温かい気持ちがするんです」
次の晩、南に向かおうとする燕に、王子はまた頼み事をする。
燕は王子の頼みを断り切れず、サファイアの瞳を一つ売れない脚本家に届け、次の晩にはもう一つをマッチ売りの少女に届けることに。
燕は目を失って物が見えなくなった王子の元に留まることをきめる。
王子は燕に自分の身を覆っている純金の箔を貧しい人々に与えるように頼んだ。
箔が剥がれ、みすぼらしい姿となった王子。寒さのために力尽きた燕。
王子の像は溶鉱炉で解かされたが、鉛の心臓は溶けずに残り、ゴミとして捨てられた。燕の亡骸もまたゴミとされた。
その頃、神が御使いの一人に「この町でもっとも尊い物を二つ」持ってくるように命ぜられた。
御使いはゴミ箱の鉛の心臓と燕の死体を御前に持って行った。
王子と燕は御国で永遠の幸福を得たのだった。

有島武郎版の「燕と王子」と読み比べてみるのもまた一興。
(2008/01/24(Thu) 11:34)
小熊秀雄全集-14 童話集
作家名: 小熊 秀雄
詩人・小熊秀雄が生涯に書いた全童話を収録。

トムは自分の財産を泥棒や乞食に分け与えてしまうのほどのお人好し。
ある嵐の晩、トムの家に嵐のために家来とはぐれてしまったという「南の国の姫」がやってきた。トムが親切に世話をすると、姫はトムのお嫁さんになった。
ところがこのお嫁さんがあまりに美しいので、トムは気が気ではない。畑仕事も上の空で手に付かない有様。
そこでお嫁さんは自画像を描いてこれを見ながら畑仕事をしなさいと、トムに渡す。
トムは絵を畑に飾って仕事に励む。ところが突然強い風が吹いて絵は飛ばされてしまった。
飛ばされた絵はお城の堀に。それを見た王様、余りの美しさにモデルを我が妃にと求め……。自画像
三人の若い騎士は、「この国でいちばん勇ましい騎士に(中略)可愛い王女をくれる」という王様のおふれ書きをを見て、王城まで旅をすることに。
旅の途中で無人の寺院に宿を取ることになった三人の前に、恐ろしげな娘が現れる。
二人の騎士は畏れたが、もう一人は勇気を持ってその女の正体を探ることに。
やがて娘は騎士を墓地に誘い、墓を掘らせた。
そして中からとりだした赤子の亡骸を、貪るように食べ始めた……。三人の騎士
ほか17編(計19編)の短編集。
(2008/01/04(Fri) 14:47)
虹の絵の具皿 (十力の金剛石)
作家名:宮沢賢治

玻璃(水晶ないしはガラス)の宮殿から内緒で抜け出した王子さま。
そっと駆け込むのは大臣の家。
大臣の息子は王子さまと同い年のお友達。
虹の脚もとにあるという『ルビーの絵の具皿』を探しに、王子さまと大臣の息子は霧の立ちこめる野原を駆け出した。
暗い森を抜け、藪を切り払って、濃い霧の中を進んでゆくと、そこは森にかこまれたきれいな草の丘。
空からぽつぽつ降る霰はダイアモンドやトパーズやサファイア。
竜胆の花は天河石(アマゾナイト)で葉は硅孔雀石(クリソコラ)、黄色い草の穂は猫睛石(キャッツアイ)、梅鉢草は蛋白石(オパール)、当薬の葉っぱは碧玉(ジャスパー)で蕾は紫水晶(アメシスト)、野薔薇の枝は琥珀と霰石(アラゴナイト)で真っ赤なルビーの実がなっている。
美しい花々は寂しげに歌う。
「十力(じゅうりき)の金剛石は今日も来ない」
花たちが言うには十里木の金剛石とは、
チカチカうるさく光ったりせず、きらめくときも、かすかに濁るときも、薄光りするときも、真っ暗なときもあり、春の風よりやわらかく、卵形に丸く、霧よりも小さいときもあれば空や大地を埋め尽くすときもあり、千の粒に分かれることもあれば、たちまち一つに集まり、堆肥の湿り気の中、草や木の体の内、子供の頬で輝くもの。
花々が待ち望むそれは、やがて漸く降り注いだ……。
(2007/09/03(Mon) 11:54)
犬の王様
作家名:夢野久作
ジャンル:童話

どれほど勧められても妃を娶らす、一匹の醜い犬を「息子」と呼んでかわいがる王様がいた。
病を得た王様は忠臣達に「息子を王に」と言い遺し崩御。
家臣達は摂政を立てた上で犬を王とした。
即位の儀式に集まった国民の中に、猫を連れた老婆がいた。
玉座にいた犬の王様はその猫を見るや玉座を飛び降り、吠えながら逃げる猫を追い、城から出て行ってしまった。
重臣達が慌てて追いかけると、犬は山奥の洞窟に入っていった。
洞窟の中には貴婦人と立派な若者がいて……。
初出:「九州日報」1922(大正11)年12月
(2007/08/06(Mon) 12:35)
お月様の唄
著者:豊島与志雄

昔々。ある国の八つになる王子様は、月の晩になるとお城の裏の森の妖精に連れられて、千草姫という白樫森の女王の元へ遊びに行っておりました。
森の精達は元々は野原に住んでいたのですが、野原が開墾され田畑となったため、仕方なく森に隠れ住むようになったといいます。
千草姫と森の精達が夏の日照りのことや秋の洪水のことを予言してくれるので、王子様はそれを父王様に告げました。
半信半疑の王様でしたが、それでも災害に備えを調えておいたところ、確かに日照りや洪水が起きました。
備えのおかげで田畑は無事であったので、王様も国の人々も、王子様は神の子かも知れないと思うようになりました。
災害を乗り越えた国はだんだん豊かになってきたので、新しい家を建てるための材木や、田畑を開く土地が必要になりました。
そこで、白樫の森の木を材木にし、その跡を畑にしてしまうという計画が持ち上がったのです……。
底本: 豊島与志雄童話集
(2007/07/02(Mon) 13:32)
燕と王子
作家名:有島 武郎

オスカー・ワイルドの「幸福な王子」(The Happy Prince)の翻案。
大筋は原作と同じだが、王子が人々に分け与える貴金属の順番、王子の瞳の宝石の由来、王子と燕の最期の部分などに、原典との大きな違いがある。

初出:「婦人の国」1926(大正15)年4月
(2006/12/02(Sat) 19:33)
湖水の鐘
作者 鈴木三重吉
山奥の村近くの湖に妖女(妖精)の王とその娘達が棲んでいた。
妖女(妖精)たちは、湖の畔に建つ礼拝堂で日に三度鳴らされる鐘の音を苦手としていた。
妖精の王は策をこらしてこの鐘を湖に沈めたうえ、取り返そうとする村人達の魂を奪い、体を湖深く沈めてしまう。
村人達は鐘を作り直したが、妖精の力のためにこの鐘は音を出すことができなかった。
時が過ぎ、一人の牛飼いの若者が妖精の王女と出会い、これを妻とした。
湖から出た妻は人間と変わらない姿をしていたが、年をとらなかった。
牛飼いと妻との間に男の子が生まれ、やがて立派な若者へと成長した。
その頃村は日照りが続き、井戸も枯れ果ててしまったが、湖の水は減るどころか逆に溢れ出し、村が水没しかねない被害を受けた。
牛飼いの妻は息子に「これはおまえの祖父である湖の妖精の王の仕業。湖の底の水晶の宮殿へ行くように」と告げる。
牛飼いの息子はマルメロの枝を一本持ち、水晶の宮殿へ向かった……。

初出:「湖水の鐘 世界童話集第六編」春陽堂   
1918(大正7)年1月
(2006/10/16(Mon) 13:49)
黄金鳥
作者 鈴木三重吉
貧しい農家に子供が生まれたが、名付け親が見つからない。
物乞いにやってきた老人がその役を買って出、子供にウイリイという名を付ける。そしてさびた鍵を一つ与えると、ウイリイが14歳になるまでしまっておくように告げて姿を消した。
ウイリイが14になると、家の前に美しい家が忽然と現れる。
件のさびた鍵で戸口を開けると、そこには彼の為にあつらえたように立派な服と、鞍を乗せた小さな灰色の馬が一頭いた。
ウイリイが馬に乗り、旅立つと、馬は人の言葉をしゃべり出した。
旅路に黄金に光る三枚の羽根を見つけたウイリイ。馬は「拾うと大変なことになる」と止めるが、彼はは羽根を拾い集める。
その羽根を並べると、そこに美しい女性の顔が描かれていた。
やがてウイリイは大きな城の馬丁となるが、夜になると羽根に描かれた女性の姿を書き写すことに熱中した。
その絵が王の手に渡り、彼は王の前に引き出された。
年老いた王に曰く「これは間違いなく自分が略奪しようとしたがかなえられなかった王女の姿である。お前がその姿を描けるならば、その居所を知っているはずだ。彼女を連れてこられないなら処刑する」
落胆するウイリイに灰色の馬は「それは羽根を拾った祟り。私に任せれば良くしてさしあげます」と、王に巨大船を建造させよと言った……。

初出:「世界童話集 第一編『黄金鳥』」春陽堂
1917(大正6)年4月
(2006/10/16(Mon) 13:49)
小公女
作者 フランシス・ホジソン・エリザ バーネット
翻訳者 菊池寛

裕福な家庭に生まれたセエラ・クルウは父と二人でインドに暮らしていたが、7歳の時に母国英国に戻り、寄宿学校に入学。
裕福で美しく賢いセエラは、あっという間に学校中の人気者となった。しかし、父は事業に失敗し、客死。セエラは地位と財産を失う。
貧しくなった途端に掌を返したかのごとく冷たく当る大人達。
学校を退学になったセエラは、メイドとして寄宿舎の屋根裏に暮らすこととなった。
同年代のメイドやセエラを慕う少女達に支えられ、セエラは辛く苦しい日々を耐える。
やがて学校の近くにインド人の紳士が引っ越して来る。紳士は名も知らぬ貧しい娘を影ながら応援する。
病に倒れた紳士を見舞ったセエラは、この紳士が亡き父の共同経営者であることを知る。
紳士もまた、セエラが友人の娘であることを知り、歓喜する。
父の事業は失敗しては居なかったのだ。
こうして貧困から救い出されたセエラは、紳士と共にインドへ渡ることとなった。
(2006/10/16(Mon) 13:49)
ラマ塔の秘密
作家名: 宮原晃一郎
戦前・戦中の中国大陸を舞台にした、児童向け冒険活劇。
おてんばな満州族の姫ニナールと、気の弱い蒙古族の王子ジウラは、肝試しとして古いラマ教の寺院に行きました。
そこは馬賊の根城となっており、ジウラは人質にとられてしまいます。
(2006/10/16(Mon) 13:49)
シンデレラ
フランスのシャルル・ペロー(1628-1703)が著した『昔話、およびその教訓』所収「サンドリヨン」の英訳版「シンデレラ」をもとに、水谷まさるが自由に再話した翻案作品。
底本: 「世界名作物語」少女倶樂部第十五卷第六號附録
出版社: 大日本雄辯會講談社
初版発行日: 1937(昭和12)年6月1日 (2006/10/16(Mon) 13:45)
オシャベリ姫
かぐつちみどり(夢野久作)作の童話。
たいそう美しいが、生まれついてお喋りなお姫様「オシャベリ姫」
見た夢のハナシを本当のことのように話すので、お怒りになったお父様は姫をお城の石牢に閉じこめてしまいましした。
寂しい石牢の中で泣くウチに、姫はやがてうとうとと眠ってしまい……
初出: 「九州日報」1925(大正14)年9〜10月


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