ペン画の描き方: 初心者の為に [Kindle版]洋画研究会 (著)
フォーマット: Kindle版
ファイルサイズ: 13404 KB
出版社: 君見ずや出版 (2014/9/30)
太平洋戦争直前大阪の洋画研究会による『ペン画の描き方』!
心得から実践までひととおりを解説。
昭和15年(1940)刊の国会図書館所蔵本を画像のまま復刻
============================
序
近來、日本の美術方面の發展は實に目覺ましいものがある、同胞がこんなに美に目覺め、美を欲求する心の兆して來た事は實によろこぶべき事である。
繪畫の中に自分を入れ、その中に自分を見出すといふ事。
それは、何といふ朗かな、愉快さであらうか、私はこれを傍業畫家、地方に在つて適當の師を得られない人のせめてもの參考書ともなれば幸と思つて筆を下した。
描かれた繪の巧拙は別物だ、物を觀て繪を描き、その中に宇宙を感じる、それは何んといふよろこびであらうか、それは人間の生活に缺くべからざる一大要素であらう、無味乾燥を潤すオアシスではないであらうか。
諸君は毎日の如く、ペンを握つて字を書いてゐられるであらうと想ふ、それをもつて繪を描く、それは誰れでもか、望む事に違ひない、けれども、いざ繪を描くとなる時、その生優しい仕事でない事を痛感なさるゝであらう、それが爲、すべての人はそれを望み乍ら指を喰へ拱手傍觀の嘆を發してゐるのみである。
此の事は非常に遺憾だ。
ペン畫をもつと普及したいものである。
一枚の紙と一本のペン、それにインク、この三つがあれば、ペン畫が描けるのである。
さあ諸君。
ペンを握り、物を見つめようではないか。
============================