資料室(著作権法に抵触しない「お姫様関連文書」)に
蒲松齢 作 田中貢太郎 訳の「
蓮花公主」を追加。
膠州の竇旭という男が昼寝の最中夢を見る。
褐色の衣服をまとった男が現れて曰く
「殿様から御招待にあがりました。」
案内された竇がたどり着いたのは、この世の物では無いと言うことが一目で分かる楼閣。
楼閣の王は竇に対句を作るように命じた。
できた詩を聴いた王は、その中に公主(姫)の名が織り込まれていることに感激し、竇にその姫「蓮花公主」と結婚することを勧めた。
ところが竇は現れた公主の美しさに見とれ、王からの言葉も聞かず、かえって恐縮して退席してしまった。
目を覚ますとまだ日が残っていた。
夢の中ではあるが姫と結婚し損ねたことを悔いた竇はもう一度寝て夢の続きを見ようとしたが、その日は見ることができなかった。
しかし別の夜、またしても夢の中に褐色の衣服をまとった男が現れて、彼は楼閣に上り、公主と婚礼を上げる。
すると楼閣に妖怪が迫っているとの急報が入る。
王は竇に公主の身を託す。竇は公主を抱きかかえて宮殿から逃げ出した。
竇はようやく己の家まで逃げおおせたが、公主は
「別に家を一つ建てて、父母や民を救ってくれ」
と懇願する。
貧しい竇にはそれができず、悲嘆に暮れるところで目が覚めた。
その枕元で何かが啼く声がした。
底本:「聊斎志異」明徳出版社
1997(平成9)年4月30日初版発行
底本の親本:「支那文学大観 第十二巻(聊斎志異)」支那文学大観刊行会
1926(大正15)年3月発行
「
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