プロットとは
小説・マンガ・戯曲・映画など物語の「構想」「枠組み」
のこと。
実際に物語を作る前の段階に作成する設計図や、骨組みにあたる。
プロットは出来事の因果関係を示す物であり、
実際の物語の時間軸どおりに沿って並べる必要はない。
また、プロットに正式な書式はもない。
書き手本人が分かり易ければ、
箇条書きでもメモ書きでもフローチャートでもマインドマップでも
どのような形式で書いても構わない。
兎も角、思いついたことを思いついたままに書き並べる。
プロットを立てるに当たって
1.物語のテーマ、一番描きたい部分を決める
※主人公に「本当の目的」を与える
・主人公が最初から「本当の目的」を知っている必要はない。
・「本当の目的」が行動のきっかけである必要はない。
2.主人公のキャラクタ設定をする
・主人公に「欠落している物、喪失した物、探すべき物、手に入れたい物」を与える
→主人公が「手に入れる・取り戻す・見つける・達成する」ために行動する「表向きの目的」となる
3.大筋の流れを決める
※主人公が成功する物語……ハッピーエンド
・「表向きの目的」→達成のために努力する→「表向きの目的」達成→「本当の目的」も達成
・「表向きの目的」→努力→小失敗→更に努力→「表向きの目的」達成→「本当の目的」も達成
・「表向きの目的」→努力→「表向きの目的」は達成できず→災い転じて「本当の目的」は達成
・「表向きの目的」→努力→失敗・敗北→「本当の目的」への転換→努力→「本当の目的」達成
etc.
※主人公が最終的に失敗する物語……バッドエンド
・「表向きの目的」→達成のために努力する→失敗→「本当の目的」も未達成
・「表向きの目的」→努力→小失敗→更に努力→大失敗→「本当の目的」も未達成
・「表向きの目的」→努力→「表向きの目的」を達成→じつは「本当の目的」は達成できず
・「表向きの目的」→努力→小さな成功→調子に乗って前進→大失敗→「本当の目的」も未達成
・「表向きの目的」→努力→失敗・敗北→「本当の目的」への転換→更に失敗
etc.
4.細かい「出来事」「人物」の設定を書き出す
※できるだけ細かく、且つ端的に
・主人公の名前や、外見、性格
・他の登場人物
・舞台、場所、時間
・出来事→その原因
・主人公たちへ影響
・主人公は何を思ったか、何を考えたか
・他の登場人物は何を思ったか、何を考えたか
・誰がどう行動したか→その結果
・結論
etc.
……プロットの完成
5.プロットを元にストーリーを組み立てる。
※【3】で決めた大まかな流れを元に、物語の展開・あらすじを決め、肉付けしてゆく。
で、実際の所、どんなかんじなのよ?
短めな拙作「
子壇嶺城戦記」を例に、
以下、ネタバレを含みつつ(笑)解説。
1.物語のテーマ、一番描きたい部分 ・主人公「杉原四郎兵衛」が「真田信之」に敗北する
「杉原四郎兵衛」の一党は「真田」の配下に加わる
自分は有能だと思い上がっていた人間が、上には上が居ると知る
2.主人公のキャラクタ設定をする ・杉原四郎兵衛
目標→徳川方に仕官する
3.大筋の流れを決める ・杉原四郎兵衛は徳川方に仕官したい→大きな戦い(神川合戦)勃発
→真田が負けると判断→領主・真田家に反乱、徳川方にアピール
→徳川敗走→真田方に攻められる→真田信之軍に捕らえられる。
4.細かい「出来事」「人物」の設定を書き出す ・時:天正十三年(1585)
所:信濃国青木村子壇嶺古城
・神川合戦(第一次上田合戦)、徳川7,000対真田2,000
・徳川大敗
・子壇嶺の反乱軍、戦わずして負け
・四郎兵衛、実戦経験ナシ。
・挙兵。
・反真田として徳川に拾って貰いたい。
・戦う気ナシ。戦場から遠いところ(子壇嶺)で騒ぐ
・反旗を翻すふり。
・四郎兵衛の本心を表現するには
→会話する架空キャラ(兄弟とか友人とか)
・宴会、非日常、乱痴気騒ぎ。
・徳川敗戦を知る→士気の低下
・杉原四郎兵衛
男。十代後半〜二十代中頃の若者。
地元の豪族、実情は農民。
野心家だがスケールが小さい。
・真田源三郎信之
男。二十歳。
後の上田藩→松代藩藩主。大名
・徳川家康
男。四十三歳。天下人。
5.プロットを元にストーリーを組み立てる。杉原四郎兵衛は真田は弱いと思っている。
強い勢力(徳川)に付きたい。
でも戦はしたくない(戦った経験が少ない)
↓
徳川が上田に攻めてくるとの報。
↓
四郎兵衛は徳川が勝つと予測。
このままでは敗軍の一員として下ることになると危惧。
↓
好条件で「見方」として迎え入れて貰うため
背後から真田を攻める「ポーズ」を取って、
徳川に恩を売る作戦を立てる。
↓
反真田として挙兵。
周辺の村から食料と酒を集めて、子壇嶺に「籠城」
↓
城主になって有頂天。
↓
徳川敗北
↓
杉原四郎兵衛方、混乱。配下逃げ出す。
残存兵数2。
四郎兵衛覚悟を決める。
↓
敵(真田方)方襲来。
兵数2。
四郎兵衛びっくり。
↓場面転換。
上田城内。
信之、父・昌幸から子壇嶺始末の許可を得る。
↓
信之、弟・信繁と手勢少々で出陣。
↓
子壇嶺を包囲。
鳴り物で脅かすだけ。
↓
信之・信繁で挟撃。
↓
四郎兵衛捕縛。
真田の臣下になる。
6.ストーリーに肉付けして「子壇嶺城戦記」完成。
http://jhnet.sakura.ne.jp/petit/history/sanada/komayumi/sana03.htm