玉藻の前 | |
作者名:岡本綺堂 伝奇物。 美しい少女藻(みくず)と、その幼なじみで烏帽子職人見習いの少年・千枝松。 毎夜父親の病平癒を願って清水詣をする藻だったが、ある夜、出掛けたきり戻らなかった。 千枝松と陶器師の老人が探しに行くと、妖しげな古塚の麓で眠る藻を見つける。藻は髑髏を枕に眠っていたのだった。 この出来事の後、藻の美しさは妖艶なまでに増した。これを知った関白忠道に召し出され、藻は宮仕えの身となる。 藻と離ればなれとなった千枝松が傷心の余り命を失いかけたところを救ったのは、陰陽博士安倍晴明が六代の孫の播磨守泰親。千枝松は泰親の弟子となり、陰陽道の修行を始める。 一方、藻は「玉藻の前」と呼ばれる女官となっていた。 玉藻の前の妖しい魅力のため、宮中では勢力争いが活発化し、刃傷沙汰や高僧の怪死などの変異が起きていた。 玉藻の前には魔性が取り憑いていたのだ。 敵味方に分かれた藻改め玉藻の前と、千枝松改め千枝太郎。千枝太郎は魔性の敵となった玉藻が、それでも忘れられずにいた。 陰陽師の調伏の祈祷と玉藻の前の神通力の闘いは、玉藻の前の勝利に終わるが、これは実は陰陽師側の作戦でもあった。 千枝太郎は玉藻の前の変化が古塚にあると気付き、その地に祭壇を築いて調伏祈祷を始めた。 祈祷は覿面。玉藻の前は雷鳴と供に姿を消す。 やがて那須篠原に白面金毛九尾の狐が現れ、人畜に害なすという報告が上がる。 その正体は玉藻の前。 陰陽師により調伏された玉藻の前は、不思議な形の石に変じた。 石となってなお、九尾の狐は周囲に呪いを振りまき、近づく獣も鳥も、そして人も死んでゆく。 石はやがて「殺生石」と呼ばれるようになった。 いまだ藻の面影が忘れられぬ千枝太郎は、殺生石を訊ねた。 千枝太郎が「藻よ、玉藻よ」と呼びかければ、石は美しい玉藻の前の姿に変じた。 玉藻は問う。 「お前はそれほどにわたしが恋しいか。人間を捨ててもわたしと一緒に棲みたいか」 千枝太郎が答える。 「おお、一緒に棲むところあれば、魔道へでも地獄へでもきっとゆく」 幾日か後、ひとりの若い旅人が殺生石を枕に倒れているのが見付かった。 旅人の顔には微笑があったという。 | |
天守物語 | |
作者名:泉鏡花 1917年初出の戯曲。台本形式。 播州姫路。白鷺城の天守には、あやかし達が棲んでいた。 主は絶世の美女・富姫。奥女中・薄を筆頭に、桔梗、萩、葛、女郎花、撫子の侍女達に傅かれている。 そこへ猪苗代から妹・亀姫が遊びに来る。お供は舌長姥と朱の盤。亀姫が手土産の「猪苗代の城主の首級」を眺めながら、煙管で一服したり、手鞠に興じたり。 亀姫の帰り際、富姫は鷹狩りの一行から奪った見事な鷹を土産として持たせたのだった。 その晩、天守に一人の若侍が上がって来た。 鷹匠の姫川図書之助は、行方の知れぬ鷹を探せと、城主・播磨守のに命じられてきたのだった。 怪異あやかしである富姫と対面しても一行に動じぬ図書之助の涼やかな態度に感じ入った富姫、本来なら生かして返さぬところを還してやることにした。図書之助から人間界、こと侍の世界の話を聞くうち、富姫はその理不尽さ呆れ、同情するうちに、その思いは思慕、恋情恋へと転じていた。 富姫は図書之助が天守へ登った証拠として、姫路城主が家宝「青竜の御兜」持たせてやるのだった。 ところが、その兜のために図書之助は家宝を盗み出したと疑われ、処刑されそうになる。 大立ち回りの末、あわやの所を逃げだした図書之助、天守へ駆け上り……。 | |
十萬石(十万石) | |
作者名:泉鏡太郎(泉鏡花) 松代真田家第6代藩主・真田幸弘(幸豊)公と、家老・恩田木工民親のエピソード。 「上」は倹約を推し進める主君の心身を思って「小鳥を飼ってみては」と勧めた家臣某に対して、それは贅沢だと判じた幸豊公の某に対する裁断(仕打ちと云っても良いかも)と、それに対する恩田杢(木工)の忠言。 「下」は、恩田杢(木工)を家老職勝手係に取り立てようとしたときの顛末。 旧字・旧仮名 (2012/01/30(Mon) 16:48) |
獅子王《ライオン》と鼠《ネズミ》のこと | |
作家名:イソップ 「ねずみの恩がえし」「ライオンに恩返しをしたネズミ」「ライオンとねずみ」といったタイトルのイソップ寓話について、 英文(The Lion And The Mouse:タウンゼント版)+イソポのハブラス(Xixito , nezumino coto:天草版)+伊曾保物語(師子王と鼠の事:訳者不明)+通俗伊蘇普物語(獅子と鼠の話:渡部温版) の4パターンを並べてみる試み。 それぞれちょっとずつニュアンスが違う様な気がするわけで。 各パターン共通な、大まかな粗筋。 |
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