2012/10/28発行【文芸同人「主婦と創作」】に掲載した文章です。
 ※あくまでも「自己流」の創作メモです。
  このメモを参考にすれば確実に何かが書ける、という訳ではありません。
手順1:「これだっ!」というネタを探す。◯一言のセリフ、風景、状況などの「出だし」「途中経過」「山場」部分、
 成功・失敗などの「結果」「結末」に当たる部分、
 あるいは登場人物、場所などの「仕掛け」「舞台」に当たる部分、
 なんでもいいから何か「引っかかるもの」を見つけ出す。
            ↓ ↓ ↓
          そのためには……
→普段見ない物・読まないジャンル・やらない事に、一寸だけ手を出してみる。
 ⇒自分にとっての新しい斬新なアイディアを発見できるかもしれない。
 ※ただし、他の人には「常識」「古臭い」ものの可能性もあるので注意。
→読み古した史料・古典的作品などを読み返してみる。
 ⇒温故知新。
 ※ただしハマりすぎると最悪「劣化コピー」「パクリ」になるので注意。
◯浮かんだアイディア・ネタは、できるだけ早くメモる。
 ⇒特に寝入り端に浮かんだものをメモらずにおくと、翌朝忘れ呆けていて、
  非常に悔しい思いをする。
 ※ただし、逃した魚は大きいとも云う。
手順2:どうすれば見つけた「これだっ!」を描けるか考える。◯セリフだったら「どういう状況で言うか」「どんな人物が言うか」
◯風景だったら「どうしてそこへ行くのか」「何故そこにいるのか」
◯結果だったら「なぜそうなったのか」「どうすればそうなるのか」
            ↓ ↓ ↓
     シノプシス(プロット・概要・枠組み・構成)完成
例:「
眞田源三郎の休日」でいうと、
 プロットは
「オヤジと少年が戦争を切掛に出会って、戦争を切掛にわかれてゆく」
手順3:登場人物を考える。◯主役は? 脇役は? 黒幕は? 人数は?
◯それぞれの人物設定(キャラ付け)はどうする?
→容姿・性格・思考・口調・得手不得手・立場などを決める。
 ⇒キャラ付けによって物語内での「行動」が決められる。
例:良く云えば慎重、悪く云えば小心な源三郎は、物事を考えすぎる。
  若いので血気にはやることもあるが、最終的には抑えこんでしまう。
例:一族を守る立場の昌幸は、愛する子供達に厳しく当たらなければならず
  懊悩するが、それを他人に悟られないよう行動する。
→良いキャラクタが出来上がると、あとはそのキャラが勝手に動き出す!
 ⇒八割方完成したも同然!(一寸大げさか)
手順4:プロットに合わせて登場人物の大まかな動きを考える。◯このキャラはこの状況だったらどう動くか、どう話すか。
◯このキャラを動かすと、状況はどう変化するか。
            ↓ ↓ ↓
       ストーリー(あらすじ)完成
例:「
眞田源三郎の休日」でいうと、
 あることをきっかけに源三郎は慶次郎と出会い、友情を育む。
 しかし本能寺の変発生で状況は一変。
 源三郎は慶次郎と敵味方に別れるかもしれない不安を抱きながら
父親の命令で出陣する。
 主戦場とは遠く離れた峠で偶然に再会する二人。
 それぞれの主君の思惑から、別れて歩き出す。
手順5:資料・史料を最終確認。◯物理的に正しいか、歴史的に間違っていないか。
※小説は「作り話」だけど、中心に「事実」が入ることによって、
 ただの「嘘話」ではないものになる。
※現代モノを書く場合は、社会の制度や常識などをよく確認すること。
 特殊な職業の場合には業務内容、特別な資格が必要でないか、
 業界内の慣習、符丁ほか。
※病気などの治療方法は適当にしない。
(実際にその立場にある人に不快感を与えてしまったりしないように)
※物理法則注意。
→SFやファンタジー物で現実世界と違う「物の動き」を表現するとしても、
  なぜそれが「現実と違う動きになるのか」を考えておく必要が有る。
 ⇒なお、考えた「理由付」を作品内で発表する必要は、必ずしも無い。
例:某ロボットアニメでは、宇宙空間での戦闘シーンでも「爆発音」などが
  聞こえる。
  これは、劇中世界において、
  「無音状態だとパイロットが不安になるから」
  「中継で見ている市民にわかり易くするために」
  などとして、軍部やTV局が効果音をつけているから、という設定がある。
※SFと歴史物は特に「間違い」が突っ込まれやすいので要注意。
(たまにツッコミのほうが間違ってることがあ……げふんげふん)
※突っ込まれた場合に「まあ、フィクションですから」と言い張れる程度の
「創作」をすることが重要。
 史実や現実に「沿うだけ」だと「小説《オハナシ》」じゃなくて
「読み物《柔らか目の教科書》」になってしまう。
(だいたい「史実」だって新史料とかが出てきて変わっちゃうこともあるし)
手順6:あらすじを膨らませる。◯どんなエピソードを「入れる」か。
◯どのエピソードを「入れない」か。
※本編と無縁とも思えるシーンを入れることで、
 キャラクターが生きてくることがある。
※しかし、思い切ってばっさり捨てることも肝要。
手順7:文体・人称の決定◯読者層はどこか
→女性向け? 男性向け?
→年齢層は?
 ⇒児童文学・ジュブナイルなら、漢字少なめの優しい感じに、とか。
 ⇒ヤング・アダルト層なら「砕けた感じ」の文章にするか、とか。
 ⇒エンタメ系なのか、純文学を目指すのか。
(まあ、最終的に自分が書ける文体に落ち着くわけですが……)
◯誰に語らせるか
 一人称? 三人称?
→一人称なら「誰」が語り手か?
 ⇒主役を見る視点がどこに置かれるかが決まる。
  語り手が「見ていない」場面の処理はどうするか。
→三人称なら「三人称一限(個人)目線」か「三人称カメラ(神)目線」か
 ⇒三人称一限(個人)目線:一人の登場人物の目線で語る。一人称に近い。
 ⇒三人称カメラ(神)目線:すべての登場人物を俯瞰した目線で語る。
手順8:書く。◯書く、書く、書く。
 できれば一気に書き上げる。
 それが無理なら、エンジン(創作意欲)が冷えないようにする。
※とにかく「最後まで」書き上げること。
 エンドマークが付けられていれば、たとえ未熟さが見えても「作品」。
 途中で投げ出されたものは、どんなに文章がうまくても
 「場所をとる紙束」あるいは「邪魔なデータ」に過ぎない。
◯着地点を見据えて書くこと。
→書いている途中で筆が滑って、物語がプロット・予定から外れることがある。
 どんなに外れても「結末」に戻すようにする。
(どうしても軌道修正ができなかったら、結末を変えるという最終手段もある。
 ただし、それまで積み上げてきた伏線やなんかが全部とっ散らかるので、
 再度プロットから練りなおして「回収方法」を考えること)
手順9:読み直す。◯読み直す、読み直す、読み直す。
→推敲する。
 ⇒今の文章よりも「よりよい表現」はないかを確認。
  エピソードの順序の入れ替えも視野にいれる。
 ⇒その世界観・キャラクタに合っている言葉遣いか?
 ※「その時代・世界には存在しえない単語を『喋らせて』いないか」とか、
  「そのキャラクタの性格にあった言葉遣いをしているか」とか。
 ⇒構成上の無理・ミス・矛盾がないかを確認。
→校正する。
 ⇒文法の間違いはないか?
 ⇒誤字脱字がないか?
 ⇒用語の間違いはないか?
 ⇒勘違い・思い込みのまま使っている言葉はないか?
 ⇒漢字にする? それとも開く?
 ⇒句読点の位置、段落の位置は適切か?
手順10:一応完成。◯誰かに読んでもらう。
 感想・講評がもらえるならよし。
※ミスを指摘されたら真摯に受け止め再確認。必要なら修正。
※間違っていないのに(意図して書いたことなのに)ミスと言われたなら、
 作者の意図が伝わらない、判りづらい表現だったということ。
 読者に「別途説明(種明かし)」するのはなく、本文を直したほうがいい。
 以上。
 頑張れ、私。