Νεκρός Όνειρα-ねくろすおーにら-【こんな夢を見た】1話追加 ……今回「蟲ネタ」となりまするゆえ、お嫌いな方はお気を付け下さいませ。
虫食文化の中心地・長野県にあって、
そこそこ昆虫食が盛んな地域在住の田舎者(※)のくせに
激しく虫嫌いなソレガシに御座いますれば、
今日追加したヤツは、それはそれは凄まじい悪夢にございまする。
風呂蓋を開けると、一番風呂のまっさらな湯の水面に一匹の小蟲が浮かんでいた。
長さ三cmほどもある、御器噛の幼虫だ。
手桶ですくい取って捨てた。
湯面に目を移すと、また小蟲が浮いている。
今度は三匹。やはり三cm前後の御器噛と羽虫と雲母虫らしい。
はて、御器噛はともかく、羽虫や雲母虫はこれほど大きかっただろうか。
いや、大きさなどこの際どうでも良い。
ともかく捨てねばならない。
蟲の浮いた湯に入るなどまっぴらだ。
ぴくりとも動かない蟲たちを周囲の湯ごと手桶ですくって捨てた。
湯面に目を移すと、また小蟲が浮いている。
ゆらゆら揺れる透明な湯の表面全体を隙間なくびっしりと、動かない蟲たちが埋めている。
御器噛、羽虫、雲母虫、竈馬、大蚊、麦蛾、透翅、暝蛾、白火取、虫引虻、草鞋虫、団子虫、馬陸、百足……。
すくっては捨て、すくっては捨て、すくっては捨てた。
すっかり蟲たちをよけつくしたあと、湯は半分以下に減っていた。
浸かると温度も冷め切っている。
息を吐き、ふと湯船の底を見ると、何か白い物が沈んでいた。
手桶ですくい上げると、手のひらほどの大きさの半透明の凝膠の固まりだった。
中に、一頭の一角馬がいた。
凝膠を割いて取り出したが、身動き一つしない。
手桶のまま戸外へ出した。
やがて一角馬は身震いとともに立ち上がった。
身にこびりついた凝膠の断片を振り払うと、細い足を小刻みにふるわせながら、手桶から飛び出してあたりを駆け回っていた。
私は湯船の中からそれを眺めている。
……そんな夢を見た。
※そのくせ、
写真ページにはちょこちょこ
虫関連があったりする謎。