ブラック・ジャックの解釈学 内科医の視点 國松 淳和 (著)
出版社: 金芳堂
発売日: 2020/4/17
■なんと言おうと医学書である!不朽の名作『ブラック・ジャック』(1973-1978)は天才的技術をもった外科医を主人公にした漫画であり、形成や臓器移植などの外科技術が強調されがちだが、医師免許をもつ手塚治虫が描いていることもあり、内科疾患の描写や患者描写もまた真に迫っている。
そのため、40年間の医学の進歩による疾患概念の深化に基づけば、作中のブラック・ジャックの診断とは異なる診断が可能であるほどである。
そこで本書では全12章20話をピックアップし、
・難病・病態を再検討し、現代医学から再診断する
・難題(難病・悪条件)に取り組むプロフェッショナリズムのお手本としてのブラック・ジャックを救い出す試みを、不明熱や不定愁訴、仮病など診断困難な領域において医学界に新しい風を吹き込んだ國松淳和先生が挑戦した。
これまでも、ブラック・ジャックの診断をもとに、別の手技や治療法の再提案するファンブックはあったが、本書は手塚の描写を可能限り真であるとして、國松淳和先生がBJ世界を徹底的に探求した医学書だ。
病跡学のように当時の検査水準や疾患分類を検討した。
その結果創作上の架空症例と一般に思われてきたものも、ぎりぎりのところまで踏み込み現実の疾患との照合ができることに読者は驚くだろう。
僅かな手がかりと最新の症例報告やエビデンスから診断をひきだすという診断学の入門書でもあり、医学生レベルの知識があれば十分に診断の醍醐味を理解できる。
本書ではこうした試みをを臨床病跡学あるいは解釈学的な試みとして実践し、医学書『ブラック・ジャック』を深く掘り下げたものなのだ。
乱歩の日本語今野 真二 (著)
出版社: 春陽堂書店 (2020/6/8)
初出から現在まで50回近く出版された作品もある江戸川乱歩。
その都度、編集・校訂を加えられたテキストから乱歩の「執筆時の気分」をはかることはできるのか。それぞれのテキストを対照させながら検証する。
乱歩ならではのキーワード(麻布区K町 鬼熊事件 開化アパート…)やオノマトペ(むくむく ねっとり ギョクン…)についても豊富な用例から掘りさげる。
「新青年」「キング」などで連載した初出の誌面も多数掲載。